原子量16
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 07:41 UTC 版)
原子量は、現在の12Cに基づいて定義される以前は、酸素により定義されていた。酸素は他の元素と酸化物を作りやすく、酸素と他の原子との相対質量を調べるのが容易だったためである。かつては同位体の存在が知られていなかったという歴史的経緯から、16O原子の質量を基準に原子量16を定義した物理原子量と、酸素の同位体の平均相対質量でもって原子量16を定義した化学原子量が存在していた。化学原子量が同位体の存在比によって可変であることから、一種類の原子の質量を基準にしている物理原子量の方がより厳密であることは化学者にもわかっていたが、化学原子量の値を変更することはそれまでに書かれた化学論文が全て数値的に無効になってしまうため、16O原子を基準とした物理原子量に移行することは大きな反発があった。ところで、原子量の基準に酸素が使われたのは他の元素と化合しやすいという化学者にとっての都合のためであり、物理学者にとっては何か特定の同位体を基準とするのであれば酸素にこだわる理由はない。そしてたまたま、12C原子の質量はそれまで化学者が使用していた化学原子量でほぼ正確に12であった。12C原子を基準とした原子量と旧来の化学原子量の差はわずか0.003%であり、それは16O原子を基準とした物理原子量と化学原子量との差よりもずっと小さいものとなる。そこで1961年IUPACの検討により、12Cの質量を原子量12とする現在の国際原子量が決定された。
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