原子量
原子量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 08:16 UTC 版)
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原子量(げんしりょう、英: atomic mass)または相対原子質量(そうたいげんししつりょう、英: relative atomic mass)とは、「一定の基準によって定めた原子の質量」[1]である。
その基準は歴史的変遷を経ており、現在のIUPACの定義[2]によれば1個の原子の質量の原子質量単位に対する比であり、Eを原子や元素を表す記号として Ar(E) という記号で表される。すなわち12C原子1個の質量に対する比の12倍である。元素に同位体が存在する場合は核種が異なるそれぞれの同位体ごとに原子の質量が異なるが、ほとんどの元素において同位体存在比は一定なので、原子量は存在比で補正された元素ごとの平均値として示される[1]。同位体存在比の精度が変動するため、公示されている原子量の値や精度も変動する。
質量と質量との比なので比重と同様に無次元量だが、その数値は定義上、1個の原子の質量を原子質量単位で表した値に等しい。
また物質量が1 molの原子の質量をグラム単位で表した数値、すなわちg/molで表した原子のモル質量をモル質量定数 1 g/molで除して単位を除去した数値にほぼ等しい。2019年5月20日の定義変更までは原子量にg/molを付すと厳密にモル質量であったが、再定義以降、モル質量定数は定義定数でなくなり、CODATA2018推奨値では0.99999999965(30) g/molとなった[3]。
同位体存在比は、精度を高めると試料の由来(たとえば産地、地質学的年代)によって厳密には異なる[4]。測定精度の向上と各試料の全天然存在量予測の変動により、同位体存在比の精度が変動する。そのことによりIUPACの下部組織である原子量および同位体存在度委員会 (CIAAW) により定期的に「原子量表」の改訂が発表され、これが「標準原子量」と呼ばれている。その改訂は隔年で行われ、奇数年に発表されている。日本化学会原子量小委員会はこの表をもとに原子量表を作成し、日本化学会会誌「化学と工業」4月号で毎年発表している。
原子量表の改定や試料間の原子量の差異があるとは言え、有効数字3桁程度では大部分の元素の原子量は十分に安定している(主な例外: リチウム、水素)。そのため、化学反応等においては、実用上は問題を生じない。一方、精密分析や公示文書の値を計算する場合は、最新の原子量表の値を使うべきである。
1961年まで、物理学では16Oの質量を、化学では天然同位体比の酸素の質量を原子量基準としていた。
参考文献
- ^ a b 原子量、『理化学事典』、第5版、岩波書店。ISBN 978-4000800907。
- ^ “IUPAC Gold Book” 外部リンク参照
- ^ molar mass constant The NIST Reference on Constants, Units, and Uncertainty. US National Institute of Standards and Technology. 2019-05-20. 2018 CODATA recommended values
- ^ すなわち試料ごとに異なる同位体存在比が年代測定法の原理や鉱物の産地特定にも利用されている
関連項目
外部リンク
- IUPAC Gold Book “相対原子質量”(英語)
- IUPAC Gold Book “標準原子量”(英語)
- IUPAC Gold Book “相対分子質量”(英語)
- IUPAC Gold Book “原子質量単位”(英語)
- 化学と工業 - 日本化学会
- 原子量表/化学で使われる量・単位・記号 - 日本化学会
- 原子量一覧(英語) - National Institute of Standards and Technology
- 英国王立化学会:ヴィジュアル周期表(英語)
原子量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 02:01 UTC 版)
元素 E の原子量 Ar(E) は、原子 E のモル質量 M(E) をモル質量定数 Mu で割ったものとして定義される。これは、原子 E の平均質量 ma(E) を原子質量定数 mu で割ったものに等しい。 A r ( E ) = M ( E ) M u = m ¯ a ( E ) m u {\displaystyle A_{\text{r}}(\mathrm {E} )={\frac {M(\mathrm {E} )}{M_{\text{u}}}}={\frac {{\overline {m}}_{\text{a}}(\mathrm {E} )}{m_{\text{u}}}}} 原子量 Ar(E) は単位を付けない(単位が1の)無次元量である。原子量に単位 g mol−1 をつけたもの(正確には、モル質量定数 Mu を乗じたもの)は、モル質量に等しい。原子量に単位 Da または u をつけたもの(正確には、原子質量定数 mu を乗じたもの)は、原子1個分の質量、すなわち原子の平均質量に等しい。 定義から明らかなように、原子量 Ar(E) と原子のモル質量 M(E) は実質的に同じものである。この二つの量はいつでも、モル質量定数の乗除により互いに換算できる。 一方、その名に反して原子量 (atomic weight) と原子質量 (atomic mass) は区別されるべきものである。原子量は対象試料中の原子質量の平均(を mu で除したもの)で与えられ、天秤ばかりで測定可能な量の物質を扱うのにより適したものである。例えば塩素の原子量は通常 Ar(Cl) = 35.45 であるが、原子質量が 35.45 u の塩素原子は存在しない。塩素原子を含む試料には原子質量が 34.97 u と 36.97 u の二種類の塩素原子が通常ほぼ 3 : 1 の個数比で含まれている。35.45 u はその数平均である。原子質量は核種に固有の値であるが、同位体の存在比は試料ごとに異なるので、原子量は試料ごとに異なる値をとる。 同位体の存在比は試料ごとに異なる、とはいうものの、天然由来の試料の同位体存在比はほぼ一定であることが知られている。元素の天然存在比に基づいて算出された原子量は標準原子量と呼ばれ、原子量表としてまとめられている。実用上は標準原子量を試料の原子量として用いることが多い。例えば、天然由来の試料の塩素の原子量は 35.446 から 35.457 の範囲内にある。人の手が入った市販の化学物質の塩素の原子量は、必ずしもこの範囲にはない。いずれの場合でも、より正確な原子量が必要なときには、質量分析法で試料ごとに塩素の同位体存在比が測定される。
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原子量
出典:『Wiktionary』 (2021/07/23 13:39 UTC 版)
名詞
発音(?)
- げ↗んし↘りょー
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