ほうしゃ‐ねんだいそくてい〔ハウシヤ‐〕【放射年代測定】
放射年代測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/25 13:28 UTC 版)
放射年代測定(ほうしゃねんだいそくてい、英: radiometric dating)とは、原子核崩壊による核種変化、または放射線による損傷を利用して、岩石や化石の年代(形成以降の経過年数)を測定することである。
昔は測定された年代を絶対年代と言っていたこともあったが、現在は放射年代と言う。これは、年代測定の方法や試料の性質によって測定された年代の意味が異なるためである。その解釈は慎重に行う必要がある。
概要
放射年代測定は2種類の方法に大分される。特定の放射性核種の崩壊を利用する方法と、自然放射線による固体物質内の損傷を利用する方法である。
特定の放射性核種の崩壊を利用する方法
- カリウム - アルゴン法[1]
- アルゴン - アルゴン法[2]
- ウラン - 鉛法 (U-Pb)
- ルビジウム - ストロンチウム法 (Rb-Sr)
- ヘリウム-ヘリウム法 (He-He)
- ヨウ素-キセノン法 (I-Xe)
- ランタン-バリウム法 (La-Ba)
- 鉛-鉛法 (Pb-Pb)
- ルテチウム-ハフニウム法 (Lu-Hf)
- ネオン-ネオン法 (Ne-Ne)
- レニウム-オスミニウム法 (Re-Os)
- サマリウム-ネオジム法 (Sm-Nd)
- ウラン-鉛-ヘリウム法 (U-Pb-He)
- ウラン-トリウム法 (U-Th)
- ウラン-ウラン法 (U-U)
- ヨウ素129法 - ウランの放射壊変や宇宙線等、自然から供給される半減期1,570万年であるヨウ素129とヨウ素127の存在度比を利用する。
- 炭素14法(放射性炭素年代測定) - 半減期約5,730年の炭素14を使用する。地層の中から産出した貝殻、埋れ木、木炭、泥炭などの有機物を対象として測定され、年代の特定には他の手法を併用した総合的な分析が行われる。±50年くらいの精度である。
上記の方法では、対象とする核種が移動しなくなった時点が年代の出発点となる。たとえば、炭素14法では、生物が死んで外界と物質交換を行わなくなった時点である。それ以外の多くの方法では、鉱物が結晶化した時点である。ただし、火成岩・変成岩がゆっくり冷えた場合などは、結晶化後も拡散等による元素移動があるので、ある程度冷却が進んだ時点に相当する。ある温度で元素移動がなくなったとみなすことができる場合、その温度を閉鎖温度という。
一般に、N0 : 出発時点での放射性元素の個数、N : 出発時点から時間 t 後の核の残数、T : 半減期 としたとき、
放射年代測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/01 03:04 UTC 版)
詳細は「放射年代測定」を参照 既知の半減期を持つ放射性同位元素の放射性崩壊の量を測定することにより、親物質の絶対年齢を確定できる。この目的のために多くの放射性同位元素が使用されており、崩壊速度に応じて、さまざまな地質年代の年代測定に使用されている。よりゆっくりと崩壊する同位体は、より長い期間では有用だが、引き替えに絶対年の特定精度は低下する。放射性炭素年代測定を除いて、これらの手法のほとんどは、実際には、放射性親同位体の崩壊生成物である放射性核種の存在量の増加を測定することに基づいている 。2つ以上の放射測定法を組み合わせて使用すると、より確実な結果を得ることができる。ほとんどの放射測定法は地質学的年代にのみ適しているが、放射性炭素法やアルゴン-アルゴン法などのいくつかの方法は、人類史の初期の年代や有史期間にも拡張できる。 一般的に使用される代表的な手法は次のとおり。 放射性炭素年代測定。この手法は、有機材料中の炭素14の減衰を測定し、約60,000年未満のサンプルによく適用できる ウラン・鉛年代測定法。この手法は、鉱物または岩石中のウランの量に対する2つの鉛同位体(鉛206および鉛207)の比率を測定する。火成岩の微量鉱物ジルコンによく適用されるこの方法は、地質年代測定に( アルゴン - アルゴン法とともに)最も一般的に使用される。モナザイト年代測定法(英語版)は、特に変成年代測定に使用されるウラン鉛年代測定の別の例である。ウラン鉛年代測定は、約100万年以上前のサンプルに適用される。 ウラン-トリウム法。この手法は、洞窟生成物、サンゴ、炭酸塩、化石骨の年代測定に使用される。その範囲は数年から約70万年である。 カリウム-アルゴン法およびアルゴン - アルゴン法。これらの技術は、変成岩、火成岩および火山岩の年代を特定する。それらはまた、古人類学的な遺跡内またはその上の火山灰層の年代測定にも使用される。アルゴン-アルゴン法は数千年より古い物に適用できる。 電子スピン共鳴法(ESR)。試料中の不対電子の量を測定することで年代を特定する。
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