放射壊変の微分方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/15 18:42 UTC 版)
「指数関数的減衰」も参照 放射壊変による原子数の減少は以下の式のように原子数に比例するが、この比例定数λのことを崩壊定数と呼ぶ。 d N d t = − λ N {\displaystyle {\frac {dN}{dt}}=-\lambda {N}} また、半減期T1/2 との関係は λ = ln ( 2 ) T 1 / 2 {\displaystyle \lambda ={\frac {\ln(2)}{T_{1/2}}}} である。すなわち、崩壊定数と半減期は反比例の関係にあり、また平均寿命τとも τ = 1 λ {\displaystyle \tau ={\frac {1}{\lambda }}} と逆数の関係となっている。崩壊定数は崩壊する確率を表しており、崩壊定数が大きいほど短時間で数が減少すると理解できる。 もう少し具体的にいえば、微分方程式 dN (t) = -λN (0)dt を一次近似とみなせば、微小時間dtを 普通の時間t とおいて、単位時間t 後に崩壊している原子数が N ( 1 ) = − λ N ( 0 ) × 1 {\displaystyle N(1)=-\lambda N(0)\times 1} で表せる。ここで、差分である時点の放射能を求めるとき、簡単のため原子数を1とおけば N ( 1 ) − N ( 0 ) = e − λ × 0 − e − λ × 1 = 1 − e − λ × 1 {\displaystyle N(1)-N(0)=e^{-\lambda \times 0}-e^{-\lambda \times 1}=1-e^{-\lambda \times 1}} が単位時間後の残留放射能である。これを微分で一次近似するとまず N ( t ) = 1 − e − λ × t {\displaystyle N(t)=1-e^{-\lambda \times {t}}} とする。これが差分でのある時点t での残留放射能の割合である(原子数まで考えるならば両辺に原子数A を掛ける)。半減期ではある時点での残っている割合を計算するが、この式では減った割合を計算していることに注意せよ(1はe0 でもあるが、そのように式をみなせば補確率q = 1 - p とも理解できる)。この時刻t での微分係数を比例定数とするt に関する一次式が微分での一次近似となるから、まず導関数を求めて d N ( t ) d t = − ( − λ e − λ t ) = λ e − λ t {\displaystyle {\frac {dN(t)}{dt}}=-(-\lambda {e^{-\lambda {t}}})=\lambda {e^{-\lambda {t}}}} t = 0とおけばe0 = 1であるからλが比例定数となる。つまり、 N ( t ) = 1 − e − λ × t ≃ N ′ ( 0 ) t = λ t {\displaystyle N(t)=1-e^{-\lambda \times {t}}\simeq {N'(0)t}=\lambda {t}} で表せる。 簡単な例をあげれば10個の原子核が単位時間内に崩壊する確率が10%であれば、確率ゆらぎや測定誤差を無視すれば単位時間後には10×0.1×1 = 9個となっている。同様に2単位時間後には8個となっている・・・と一次式で近似して計算できる。あくまで半減期ではなく一次式で近似しているのであるため、時間が大きいほど、あるいは崩壊定数が大きいほど(指数関数の変数、つまり崩壊定数が小さくて時間が大きいとも数学的にはみなせるため)誤差が大きくなる。この考えを応用すればベクレルなどの物理量を微分で計算することができる。 崩壊定数は粒子のエネルギー準位の幅に比例する。
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