残留放射能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 00:09 UTC 版)
広島型原爆規模で計算すると、強く影響があるのは被爆後100時間、被爆前と同じレベルに戻るのは1年とされている。よって、現在日本にある被爆建造物から人体に影響を及ぼすほどの放射線は発生していない。 未だ爆弾による放射線が発生していると誤解されているのは理由がある。広島原爆投下2日後の1945年8月8日付ワシントン・ポストに、「原爆の脅威にさらされた地域は約70年間放射線が消えないと実験で示された」とマンハッタン計画に携わったハロルド・ジェイコブソンの談話が載った。これにアメリカ政府は糾弾を恐れすぐさまもみ消しにかかり、ロバート・オッペンハイマーがこれを否定し後にジェイコブソンも自身の発言を否定した。一方でアメリカは未だ降伏しない日本に対し「広島は75年間人畜の生存を許さぬ土地となった。また被害調査のため学者を派遣するごとき行為は自殺に等しい。」と情報操作をした。 終戦後の同年8月下旬、これをソースに朝日新聞や毎日新聞などの各紙が70年あるいは75年生物不毛説を報道した。これに加え、投下後に入市被爆した被爆者が数多くいる事から、建造物もいまだに人体に悪影響があると一部で風説が残っている。さらに放射性物質が消えたことに関しては、原爆投下1ヶ月後に上陸した大型台風の枕崎台風により洗い流されたという説もある。 また、戦後アメリカの主要な核実験場(クロスロード作戦)として有名なビキニ環礁も、現在では短期間の滞在では問題ないレベルまで下がっている。 被曝線量の測定目安にはレンガ建築物が適しており、レンガの中に含まれる石英の結晶は、何十年、何百年経っても放射線量を記録している(ガンマ線が照射されると結晶に電子的な傷がつく)ため、この石英を取り出し、測定(500℃に加熱することで元の状態に戻り、その際に光=ルミネッセンスが発せられ、その発光強度は吸収量に比例)することで、どの程度の線量を被曝したかがわかる。
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