残留抗菌薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 17:28 UTC 版)
「テトラサイクリン系抗生物質」の記事における「残留抗菌薬」の解説
飼料に配合されることから畜産産物の牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、養殖魚など幅広く食品に残留している。 日本においては、薬機法と飼料安全法の定めにより認可され、家畜感染症の治療のために投与することがある。オキシテトラサイクリン(70ppm)による成長促進(体重増加)作用も示され、抗生物質を飼料に配合し予防的に長期連続使用することもある。 獣医学によるTC系の大量使用や不適切使用により、安全ではない濃度で牛乳などに残留し、公衆衛生に悪影響を及ぼすことがある。規制当局は、動物の乳を絞る前に、適当な休薬期間を設けるよう徹底しなければならない。一般的に、乳牛に使用されている薬剤は牛乳中に残留するため、ヒト用に販売することは禁止されている。それらは廃棄乳と呼ばれ、米国内の酪農場の1/3が離乳前の子牛に廃棄乳(代用乳)を与えている。酪農産業は抗生物質が残留した大量の牛乳を廃棄処分しており、土壌や水環境などへの大きな懸念材料である。TC系はカルシウムなど2価の金属イオンとキレートを形成するため、厚生労働省通知の動物用医薬品一斉試験法で定量することは困難であった。 授乳中の母親ラットへテトラサイクリン少量(250, 500ppm)を与えた研究では、その母親ラットの乳を飲んだ仔ラットは成長後に脳重量の減少や異常行動がみられ、テトラサイクリンは少量でも生理的発達や行動に影響を与えることが示唆された。 また、作物の種子発芽と根伸長に対し、低濃度(0.01ppm)では僅かに促進し、高濃度(300ppm)では約90%も抑制するため、植物毒性(英語版)が指摘されている。
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