さん‐ぎょう〔‐ゲフ〕【産業】
産業
労働人口は同様に、産業 1、または経済活動分野 1によって分類される。この分類は個々人が働く企業 2または事業所 2の特性によって異なる。農業就業者 3と非農業就業者 4に人口を分けることが一般に重視される。公務員 5は時に別掲され、軍人 6または軍関係者 6は通常、分類を別にする。ただし公共企業の雇用者は、産業人口に含まれるのが常である。産業は一般に三つの部門、すなわち第一次部門 7(農業、狩猟、漁業および鉱業)、第二次部門 8(製造業、建設業および電気・ガス・水道などの公益事業)、第三次部門 9(商業、金融業、運輸業およびサービス業)に分類される。開発途上国では、伝統的部門 10が別掲され、経済の近代的な部門と対比される。
産業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/05 03:36 UTC 版)
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産業(さんぎょう、羅: industria、英: industry)とは、人々が生活するうえで必要とされるものを生み出したり、提供したりする経済活動のこと。また、経済活動の分類の単位という意味でも使われる。
産業は、社会的な分業として行われる製品・サービスの生産・分配にかかわるすべての活動を意味し、公営・民営のかかわりなく、また営利・非営利のかかわりなく、教育、宗教、公務などの活動をも含む概念である。なお、日本語の「産業」という語は西周によるものとされている[1]。
産業分類
産業分類は、分析の枠組みや目的に応じてそれぞれに適した方法が用いられる。基礎的・標準的な分類としては公的な統計において標準産業分類が設定されている。
産業分類は、経済学が学問として確立しはじめた当初から経済学者によって論じられてきた。重農学派のフランソワ・ケネーは『経済表』(1758)において地主階級、生産階級(農業)、不生産階級(商業)の3分類を示し、農業だけが生産的であると考えた。カール・マルクスは『資本論』第2巻(1885)で第一部門(生産財生産部門)と第二部門(消費財生産部門)という産業間分析を行っている。1930年代に入ると、経済発展を産業構造の変化という視点でとらえるようになり、本格的に産業分類が研究されるようになった。
ホフマンの産業分類
ヴァルター・ホフマン(de:Walther G. Hoffmann)は、経済発展を、消費財を直接に生産する段階から、製造設備などの資本財を作りこれを利用して生産性を高める段階への変化としてとらえた。従って、産業を消費財産業と資本財産業とに分類し、「消費財産業の純生産額」÷「資本財産業の純生産額」(ホフマン比率)を見ることで経済発展の程度がわかると考えた。ホフマンによれば、比率は第1段階では5.0、第2段階では2.5、第3段階では1.0、第4段階ではそれ以下となる。ただしホフマンの方法は、産業連関分析が発達した今日から見れば難点が多いとされている。
クラークの産業分類
コーリン・クラークは、『経済的進歩の諸条件』(1941)において、産業を第一次産業、第二次産業、第三次産業に3分類し、経済発展につれて第一次産業から第二次産業、第三次産業へと産業がシフトしていくことを示した。これは17世紀にウィリアム・ペティが『政治算術』(1690)で述べた考え方を定式化したもので、両者にちなんで「ペティ=クラークの法則」と呼ばれる。
- 第一次産業 - 農業、林業、水産業など、狩猟、採集。
- 第二次産業 - 製造業、建設業など、工業生産、加工業。電気・ガス・水道業
- 第三次産業 - 情報通信業、金融業、運輸業、小売業、サービス業など、非物質的な生産業、配分業。
クラークの産業分類に関しては、第三次産業に単純労働が含まれ、後進的な産業が先進的な産業と同じ扱いになっているという批判がある。さらに、経済発展につれて産業内部で生じている構造変化をとらえきれないという弱点がある。また、第三次産業は、公益事業のような資本集約的な産業も、飲食業のような労働集約的な産業も、教育のような知識集約的な産業も含むという雑多な産業の集合体であり、雑多な産業を単一のくくりで単純化することについても批判がある。
ルイスの2部門モデル
アーサー・ルイスは、開発途上国の経済を伝統的部門(主に伝統的な農業)と近代的部門(資本集約的産業)とに分ける2部門モデル[要曖昧さ回避]を提案した。ルイスによれば、経済が一定の発展段階に達するまでは伝統的部門からの固定賃金での無制限労働供給が続くため、経済援助の効果がなかなか現れないと説いた。
ルイスのモデルは、ラニスとフェイによって精緻化され、ラニス=フェイモデルでは、農業部門からの労働力流出によって、経済発展の「第1局面」「第2局面」「第3局面」が訪れ、1人あたり農業所得が上昇してゆくと説明される。
軽工業と重工業・素材産業と組み立て産業
製造業は、古典的な分類では食品、繊維などの軽工業と、鉄鋼、機械、化学などの重化学工業とに2分され、工業化の進展に連れて重化学工業の比率が高まってゆくと説明されてきた。しかし1960年代の日本では、重化学工業化率がアメリカやイギリスの同水準に達していながら、製造業の生産性において大きな隔たりがあることが観察されていた。
篠原三代平は、製造業を素材産業と組立て産業とに分類して分析する必要性を指摘した(1967)。篠原によれば、当時の日本では素材産業の大きさに比べて、素材を加工し組み立てる産業が未熟であり、それが工業の生産性の低さに現れていた。こうして、経済発展の指標として高加工度化という分析視点が不可欠とされるようになった。
ポラトの産業分類
1970年代になると、産業構造の知識集約化という視点が注目されるようになった。これは繊維産業は単純製品からファッション性の高いブランド製品へ、サービス業も単純・反復労働から金融工学やコンサルティングへというように、経済発展につれて同じ産業であってもより知識・技術の集約度の高い方向へと変化し、「物」の生産そのものよりも「情報」の生産がより大きな付加価値を生んでいるという見方である。
マーク・ポラトは、『情報経済入門』(1977)において、情報交換の場として市場と組織内(企業や政府の内部)を考え、市場における情報の供給主体(通常の意味での情報産業)を第1次情報部門、組織内情報の生産活動を第2次情報部門と呼んだ。ポラトはこの枠組みに基づいた産業連関表を作成し、1967年のアメリカ経済では第1次情報部門の付加価値がGNPの25.1パーセント、第2次情報部門が21.1パーセントを占めるとした。
輸出産業と国内産業
産業は、その製品・サービスが国際的に取引され国際競争にさらされているか、あるいは主に国内で取引されているかによって、輸出産業と国内産業とに区分される。こうした輸出産業と国内産業という分析視点は日本経済の二重構造を論じる際に用いられる。一般に、日本の代表的な輸出産業である自動車産業やエレクトロニクス産業(ハイテク産業、IT産業)は国際競争力が高いが、建設、農業、医療、金融などの国内産業は生産性が低いと言われる。輸出産業と国内産業との区分は政策や社会環境によっても変わってくる。農産物は国際的に取引されている商品であるが、日本では農業保護政策によって各種の農産物が国際競争から隔離されている。電力は日本では国内産業であるがヨーロッパでは国際取引されている。情報通信業は従来は国内産業と考えられてきたが、情報通信技術の発達を背景に、インドや中国を拠点として遠隔地からサービスを行う動きも出てきている(オフショアリング)。
標準産業分類
標準産業分類は、各種の統計間の比較可能性を確保するために、統計調査の対象となる各種産業の標準的な分類体系を定めた統計基準である。国際的には、1948年に国際連合の統計委員会により国際標準産業分類(International Standard Industrial Classification of All Economic Activities、ISIC)が設定されている。各国においても、統計の国際比較を可能にするため、産業分類をできるだけISICに準拠して作成するよう配慮がされている。
日本でも、日本標準産業分類がISICに準拠する形で作成されている。最初の日本標準産業分類は1949年に完成された。その後改定が重ねられたが、2002年に大改定が行われ、情報通信業が新たな産業分類として設定された。
上場企業の産業分類
証券コードによる業種分類
日本の証券取引所に上場されている企業は、証券コード協議会が定めた統一的な基準により33の業種に分類されている。証券コード協議会は全国の証券取引所により組織され、東京証券取引所が事務局を務めている。 証券コードによる業種分類は基本的には日本標準産業分類に準拠している。毎年の決算書を元に、上場企業の各事業のうち最も売上が大きい事業の業種がその企業の業種とされる。事業内容が大きく変化する場合は、年に2回、所属業種の見直し審査が行われる。
GICS
Global Industry Classification Standard(世界産業分類基準)の略。1999年にスタンダード&プアーズとMSCIが定めたグローバルな産業分類の一つで、統一的な基準により大きく11のセクター(開始当初は10)、24の産業に分類されている。現在は主に、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスおよびMSCIが使用している。
ICB
Industrial Classification Benchmark(業種分類ベンチマーク)の略。2005年にFTSEとダウ・ジョーンズが定めたグローバルな産業分類の一つで、統一的な基準により大きく11の産業、20のセクターに分類されている。現在は主に、FTSEラッセル、NASDAQ Inc.、STOXXが使用している。
産業別の統計
脚注
出典
- ^ 毎日新聞社編『話のネタ』PHP文庫 p.55 1998年
関連項目
外部リンク
- 日本標準産業分類
- 国際標準産業分類(ISIC)
- 世界産業分類基準(GICS)
- 業種分類ベンチマーク(ICB)
- 『産業』 - コトバンク
- 『産業日本』 - 昭和初期に製作された無声短編映画で、当時の日本の産業を海外向けに製作した映画と思われる。紹介されているのは製紙、電気モーター製造、製鉄、電気機関車製造などの各現場。『科学映像館』より
産業(魚問屋・製網・漁業)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 06:12 UTC 版)
「富田一色」の記事における「産業(魚問屋・製網・漁業)」の解説
魚問屋 富田一色地区は漁業が盛んだった村落で江戸時代の古い時期から魚問屋があり富田一色の寺町の中横町通りに創設された伊藤氏の最初の魚問屋があった。 初代渡部与助問屋は二代目渡部与助が後継者になるなど代々渡部家が渡部与助を襲名して富田一色渡部家が富田一色寺町の中横町通りに魚問屋を開業していた。 江戸時代は魚問屋の発展と円滑な取引のために、宝進社・宝積社・豊富講など20名から30名で組織される講が結成された。1917年(大正6年)に富田一色鈴木家の鈴木源八問屋が開業して、1924年(大正13年)から1925年(大正14年)の大正時代末期に富田一色小川家の小川松次郎問屋が開業した。 製網 漁業の盛んな富田一色村と天ヶ須賀村と農業が盛んな松原村と天ヶ須賀村の農村と漁村で成立した富洲原地区は、近代化した明治時代になって新たに初代平田佐次郎の経営する平田紡績の麻網の麻を加工したり、「つづね」に撚をかけたり、手すき網を製造する仕事が誕生した。明治30年代に綿糸漁網が普及した事で、本目網機が完成したが幼稚な機械であり、手すき網の内職加工業が行われていた。1900年(明治33年)に製網機が完成して手すき網の内職は減少したが女子の大半は四日市市立富洲原小学校(三重郡富洲原村立富洲原尋常高等小学校)を卒業した後に平田家の平田製網株式会社や伊藤勘作が経営する網勘製網株式会社の女工となって家計を助けた。 漁業 漁師は、春はこうなご漁、秋はひしこ漁、冬は白魚漁をしていた。
※この「産業(魚問屋・製網・漁業)」の解説は、「富田一色」の解説の一部です。
「産業(魚問屋・製網・漁業)」を含む「富田一色」の記事については、「富田一色」の概要を参照ください。
産業
出典:『Wiktionary』 (2021/06/16 13:53 UTC 版)
名詞
発音(?)
- さ↘んぎょー
関連語
翻訳
- アラビア語: صناعة (ar) (ṣināʿa) 女性
- イド語: industrio (io)
- 英語: industry (en)
- エストニア語: valdkond (et), majandusharu (et)
- オランダ語: sector (nl) 女性
- ギリシア語: βιομηχανία (el) (viomichanía) 女性
- スウェーデン語: industri (sv) 通性, bransch (sv) 通性
- スペイン語: industria (es) 女性
- 中国語: 產業 (zh), 产业 (zh) (chǎnyè)
- テルグ語: పరిశ్రమ (pariSrama)
- ドイツ語: Branche (de) 女性
- トルコ語: endüstri (tr)
- ノルウェー語: forretningsområde (no) 中性
- ヒンディー語: उद्योग (hi) (udyog) 女性
- フィンランド語: toimiala (fi), ala (fi)
- ヘブライ語: תעשייה (he) (ta`asiá) 女性
- ポーランド語: przemysł (pl) 男性
- ラトヴィア語: rūpniecība (lv) 女性, industrija (lv) 女性
- リトアニア語: pramonė (lt) 女性, industrija (lt) 女性
- ルーマニア語: industrie (ro), branșă industrială (ro)
- ロシア語: промышленность (ru) (promýšlennost’) 女性, индустрия (ru) (indústrija) 女性
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