ワーク‐シェアリング【work-sharing】
ワーク・シェアリング(わーく・しぇありんぐ)
一人ひとりの労働者の労働時間を短縮すると、企業の必要とする仕事量を維持するため、新たな雇用が生まれる。一人がたくさんの仕事を抱えるのではなく、多くの人が職に就けるように仕事を分かち合うことをワーク・シェアリングと言う。
たとえば、全部で10人分の仕事しかないとき、それを20人、30人の人に配分する。その代わり一人あたりの労働時間は減らする。ワークシェアリングは、不況などで仕事が減ったときに、クビになる人を少なくするための方法でもある。全体としての雇用者数を維持し、さらに増大を図ろうとすることから、失業率の改善など雇用対策の手段としてワーク・シェアリングが実施されることがある。
例えば、オランダでは、フルタイム労働者の時短とパートタイム労働の促進によるワーク・シェアリングを導入し、その結果、雇用者数を増大させた。その他、ドイツやフランスなどヨーロッパ諸国の一部で採用されている。
日本では、2000年の春闘で、経営側である日経連がワーク・シェアリングによる雇用の安定を提案し、話題となった。このとき、時短の分は給与がカットされるという内容になっていたことから、総額人件費を削減するものだとして論議を呼んだ経緯がある。
社会経済生産性本部が行った調査によると、労働時間を5%短縮するだけで、215万人から285万人の雇用を創出することが明らかになった。また、同時に、景気にもプラスの効果をもたらすとされている。
(2001.01.21更新)
ワークシェアリング Work sharing
ワークシェアリング
ワークシェアリング
ワークシェアリングとは、1つの仕事を2人以上の従業員で分担して行うことであり、ワークシェアリングの主な目的としては雇用者数の増大、育児・介護と仕事の両立等が挙げられる。
上記目的から考えると、ワークシェアリングは4つのグループに分類が可能である。
① 雇用維持型(緊急避難型):一時的な経済状況の悪化に対応するべく、各従業員の労働時間を短縮し、より多くの雇用者数を確保する
② 雇用維持型(中高年対策型):中高年層を雇用するために、各従業員の労働時間を短縮し、より多くの雇用者数を確保する
③ 雇用創出型:失業者に職を提供すべく、国・企業単位で労働時間を短縮し、より多くの人々に職を提供する
④ 多様就業対応型:短時間労働等の多様的な勤務体系を提供することで、女性や高齢者などより多くの人々に職を提供する
雇用者数増大・失業率改善、家庭と仕事の両立といったメリットの他に、以下のようなメリットが挙げられる。
・自己研鑽の時間が設けられる
・余暇増加にともない消費が活性化する
・家族や友人と過ごす時間が増える
・心身ともに休養できる
一方で、以下の様なデメリットが生じる。
・給与が下がる
・労働者数の増加にともない、社会保障費や従業員育成コストが増える
ワークシェアリング 【Work Sharing】
ワークシェアリング work-sharing
全体 ★★☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
一人当たりの労働時間を短くし,多くの人で仕事を分かち合うこと
- 一人当たりの労働時間を短縮し,多くの人の雇用を維持・創出しようという考え方であり,具体的な取組には幾つかの形がある。
- 従来よく言われてきたのは,景気の悪化を乗り越えることなどのために,従業員一人当たりの勤務時間を短縮して,多くの従業員の雇用を維持しようとする取組である。
- 最近注目されてきているのは,短時間労働者を正社員として雇用する機会を増やし,過剰な残業を減らしたり,生涯段階に応じて働き方を選べるようにしたりする取組である。社会全体で仕事を分かち合おうとする取組であるが,「多様な働き方のできる職場環境の整備」などと説明することも考えられる。
- 上記の二つの形は,2002年に政府・日経連・連合により合意された「ワークシェアリングについての基本的な考え方」の中に,それぞれ「緊急対応型ワークシェアリング」「多様就業型ワークシェアリング」として,盛り込まれている。
- 「ワークシェア」という語形で用いられることもあるが,意味は同じである。
ワークシェアリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/23 21:26 UTC 版)
ワークシェアリング(英: work sharing / job sharing)とは、勤労者同士で雇用を分け合うこと。各々の労働時間を短くする時短によるのが典型的な方法である。
|
- ^ a b ワークシェアリングの現状と課題RIETI 2002年5月
- ^ 森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、152頁。
- ^ a b c d 雇用危機:克服への処方箋RIETI 2009年2月18日
- ^ 【日本の未来を考える】東京大・大学院教授 伊藤元重 企業任せの雇用に転換点MSN産経ニュース 2009年3月7日(2009年3月10日時点のインターネットアーカイブ)
- ^ a b c d e f 世界経済の潮流 2002.
- ^ a b 大竹文雄 『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』 中央公論新社〈中公新書〉、2005年、171頁。
- ^ Productivity, labour demand, and employment Nick Rowe, Worthwhile Canadian Initiative
- ^ 大竹文雄 『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』 中央公論新社〈中公新書〉、2005年、165頁。
- ^ 大竹文雄 『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』 中央公論新社〈中公新書〉、2005年、166頁。
- ^ 大竹文雄 『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』 中央公論新社〈中公新書〉、2005年、167頁。
- ^ 大竹文雄 『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』 中央公論新社〈中公新書〉、2005年、168頁。
- ^ 竹中平蔵 『竹中平蔵の「日本が生きる」経済学』 ぎょうせい・第2版、2001年、153-154頁。
- ^ a b c 労働時間改革:日本の働き方をいかに変えるかRIETI 2009年4月2日
- ^ a b 野口旭 『「経済のしくみ」がすんなりわかる講座』 ナツメ社、2003年、144頁。
- ^ 麻木久仁子・田村秀男・田中秀臣 『日本建替論 〔100兆円の余剰資金を動員せよ!〕』 藤原書店、2012年、90頁。
- ^ 田中秀臣・野口旭・若田部昌澄編 『エコノミスト・ミシュラン』 太田出版、2003年、168頁。
- ^ 竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、250頁。
- ^ 竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、251頁。
- ^ 平成15年度 内閣府 国民生活白書 オランダ パートタイム労働者の均等待遇
- ^ 横浜市立大学 永岑研究室 EUの雇用戦略 〜オランダでの成功例〜
- ^ 神樹兵輔 『面白いほどよくわかる 最新経済のしくみ-マクロ経済からミクロ経済まで素朴な疑問を一発解消(学校で教えない教科書)』 日本文芸社、2008年、220頁。
- ^ 社会ニュース 2/2 経済キーワード【ワークシェアリング】All About 2002年1月3日
- ^ 労働者の「敵」か「味方」か ワークシェアリングの素顔」J-CASTテレビウォッチ 2009年3月10日
- ^ ワークシェアで雇用維持、経団連会長「一つの選択肢」 ―YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- 1 ワークシェアリングとは
- 2 ワークシェアリングの概要
- 3 効果
- 4 各国の制度
- 5 各国の背景・動向
- 6 参考文献
ワークシェアリングと同じ種類の言葉
- ワークシェアリングのページへのリンク