国連の世界保健機関 (WHO) の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としている。65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼ぶ。
日本での高齢者の割合は20%にもなり、世界でも最も高い水準である。高齢者の割合は今後も増加し、総務省統計局によると2015年には25%を超えると見込まれている。
高齢者
高齢者とは「高齢の人」の総称であり、一般的には「65歳以上の人」を指す言葉である。ただし、高齢者の定義(=何歳以上が「高齢者」に該当するか)は法令や制度などによってまちまちであり、「70歳以上」を高齢者とする場合もあれば、「75歳以上」を高齢者として扱う場合もある。その意味で「高齢者」という言葉を「何歳以上の人」というような形で一概に定義することは難しい。
いわば、「高齢者」とは、「65歳」「70歳」「75歳」のいずれかの年齢を区切りとして「それ以上の年齢の人」を指す語である。
「高齢者=65歳以上」という一般的な「高齢者」の区分においては、「65歳から75歳まで」の年齢層を「前期高齢者」といい、75歳以上を「後期高齢者」とする区切り方もよく用いられる。
辞書/辞典による高齢者の定義
■ 日本の国語辞書の場合
たとえば三省堂大辞林の場合、高齢者を「一般に六五歳以上の者をさす」と定義している。■ 官庁の用語辞典の場合
厚生労働省が提供する健康情報サイト「e-ヘルスネット」内では、「高齢者」を「65歳以上の人のこと」と定義している。リンク: e-ヘルスネット > 健康用語辞典
■ 英国の百科事典の場合
英国のブリタニカ百科事典(Encyclopædia Britannica)では、高齢者の定義は一定ではないと前置きしつつ、その上で「たいてい60歳以上または65歳以上が高齢者と位置づけられる」(frequently defined as 60 or 65 years of age or older)と説明している。リンク:Old age - Britannica
国際機関による高齢者の定義
国際連合(UN)や世界保健機関(WHO)は、基本的に「65歳以上」の者を高齢者としている。「e-ヘルスネット」による「高齢者」の解説文にも「国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としています」という記述がある。
実際、国連のWebサイトの「加齢」(Ageing)という議題(issue)のページでは、「65歳以上」(aged 65 and over)という区切り方が用いられ高齢者人口の問題などに言及されている。
リンク:Ageing - United Nations
しかし国連の文書の中にも60歳以上/未満の区切りが用いられている場合がある。たとえば、「World Population Ageing [report] 2015」(PDFファイル)では、「60歳以上」(aged 60 years or over)の区切りが用いられている。
リンク:World Population Ageing [report] 2015
人口統計における高齢者の定義
総務省統計局は「65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)」と記述している通り「65歳以上」を「高齢者」として扱っている。リンク:高齢者の人口 - 総務省統計局
日本国内の法令上の高齢者の定義
日本の法律には「高齢者」に言及した法律も多いが、「何歳以上を高齢者とする」という風に明確な定義を含む法律はそう多くない。また、法律によって高齢者の定義(年齢)はまちまちである。■ 高齢者虐待防止法
いわゆる「高齢者虐待防止法」では、高齢者を「65歳以上」としている(第一章第二条)。同法は「高齢者とは、六十五歳以上の者をいう」と明確な定義が記述されている数少ない事例である。
リンク:高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)- e-Gov
■ 国民年金法
「国民年金法」では「65歳以上」を老齢基礎年金の支給要件としている(第三章第二十六条)。リンク:国民年金法 - e-Gov
■ 道路交通法
「道路交通法」では、「70歳以上」を対象に「高齢者講習」を実施しており(第108条に基づき)、また「高齢運転者標識」(旧通称もみじマーク)の貼付を「70歳以上」に推奨、「75歳以上」に義務づけている(同第71条)。リンク:道路交通法 - e-Gov
■ 高齢者医療確保法
「高齢者の医療の確保に関する法律」では「65歳以上」を「前期高齢者」とする条文が見える(第三章 第三十二条第一項)。リンク:高齢者の医療の確保に関する法律 - e-Gov
ただし、関連法令である「高齢者の医療の確保に関する法律による保険者の前期高齢者交付金等の額の算定等に関する省令」では、これを「75歳以上」とする旨が記載されている。
リンク:高齢者の医療の確保に関する法律による保険者の前期高齢者交付金等の額の算定等に関する省令 - e-Gov
■ 高齢者居住安定確保法
「高齢者の居住の安定確保に関する法律」では「60歳以上」を「高齢者」としている(第五章 第五十二条)。リンク:高齢者の居住の安定確保に関する法律 - e-Gov
■ 高齢者雇用安定法
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、「高齢者」ではなく「高年齢者」という表現が用いられているが、「定年は60歳を下回ることはできない」とし(第一章第八条)、また65歳未満の定年を定めている事業主に対して定年の引上げその他の対策を講じるよう定めている(同第八条)。リンク:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 - e-Gov
■ 老人福祉法
「老人福祉法」は、「高齢者」ではなく「老人」という表現が用いられており、かつ「何歳以上を老人と呼ぶのか」について直接的に定義している記述は見られないが、条文ではもっぱら「65歳以上の者」について規定されており、他の年齢区分に関する記述は一切ない。リンク:老人福祉法 - e-Gov
日常会話における「高齢者」の意味合い・ニュアンス
「高齢者」いう表現は、行政用語・法律用語というわけではないが、そうした公的な文脈で多く用いられる表現であり、日常でも他意のない公平な表現として好まれやすい。行政上よく用いられる語彙であるだけに、「定年退職した世代」「老齢年金を受給している世代」「もみじマークをつける世代」という括りでも捉えやすい。
高齢者の同義語・類義語
「高齢者」と同等「相対的に年齢の高い世代」を指す語彙としては「老人」「年寄り」などの表現がある。どちらも「高齢者」より日常的な表現といえる。しかしながら対象を貶めるようなニュアンスもつきまといやすい。用いるにしても「ご老人」「お年寄り」のように接頭辞を付けて丁寧表現の形が基本となる。こうれい‐しゃ〔カウレイ‐〕【高齢者】
高齢者
高齢者
高齢者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/15 00:38 UTC 版)
高齢者(こうれいしゃ)は、社会の中で他の成員に比して年齢が高い一群の成員のことである。ただ高齢者と年齢の定義に一定のものはない。
注釈
出典
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- ^ e-ヘルスネット健康用語辞典:高齢者 厚生労働省、2021年10月9日閲覧
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- ^ a b c 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則(昭和46年労働省令第24号)
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- ^ a b c おはよう日本 2017.
- ^ a b c 西多 2018.
- ^ 赤根 2017.
「高齢者」の例文・使い方・用例・文例
- 高齢者介護
- 彼は高齢者の世話を自分の一生の仕事とした
- この規則は高齢者にのみ適用される
- 高齢者のヘルパー
- 高齢者用に場所をあける
- 高齢者人口の分布が広がり続けている
- 高齢者人口が14歳以下の子ども人口を超えた
- ノンステップバスの普及で高齢者や身体障害者の利用が増加した。
- 子供より高齢者の方がペラグラになりやすい。
- 非入院の高齢者の数は増加している。
- 高齢者が働きやすい環境のある社会を実現するために施行されたのが改正高年齢者雇用安定法である。
- 被保険者となる方には、1人に1枚後期高齢者医療制度の保険証を交付します。
- 我が社の新製品の広告ターゲットは高齢者です。
- 高齢者虐待防止法は、虐待の早期の発見と対処を図るために制定された。
- 高齢者に優しい住宅
- この商品は、単純だからこそ、高齢者の方々に支持されているのだ。
- 私は高齢者施設で働いています。
- 私の家族は高齢者に関係する会社を経営しています。
- 私は昨日車の高齢者講習を受けました。
- 私は高齢者や障害者に鍼治療をしています。
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