語彙
語彙(ごい)とは、ある人やある国が持っている単語の総体のことをいう。日本語の語彙といえば、日本語の単語の総数のことを指し、Aさんの語彙といえば、Aさんの知っている単語の数のことを表す。
【語彙の字源】
語彙の「彙」という字は、「彑」(彖(ぶた)の略体)という部位と音符の「胃」によって形成されている。音符とは、漢字のなかで発音(読み方)を司っている部分であるが、この音符の「胃」には「丸くまとまったもの」という意味がある。語という小さなものが丸くひとつに収まっているというイメージによって、「語彙」には単語の総体という意味が生まれた。
【語彙という言葉の特徴、誤用】
「語彙」という字は、単語の総体を表す。したがって、《辞書という語彙》という風に、単語のひとつひとつを指し示して用いるような使い方は誤用であるといえる。大きな袋があり、その袋の中に単語の収まった状態を「語彙」というイメージで捉えると分かりやすい。
【語彙の種類】
「語彙」の範囲を狭めたものとして「基本語彙(きほんごい)」という言葉がある。「基本語彙」とは、すべての人が日常的に用いるわけではないが、対象となる文章や会話を理解しあうために必要な単語の集まりのことをいう。たとえば、「球技」には「野球、サッカー、バスケットボール、テニス...」といったものがあるが、このように球技の話を共有するために必要となる基礎的な言葉のことを「基本語彙」と呼ぶ。
「語彙」の関連語として「使用語彙(しようごい)」というものがある。「使用語彙」とは、その人が使うことのできる言葉の総量のこと。世の中に存在する「語彙」と比較して、当然範囲は狭く、また総量にも個人差がある。
【語彙の関連語】
語彙の関連語として、「語気(ごき)」という言葉がある。「語気」とは話し言葉の調子や勢い、その言い方のこと。「語気が荒い」など話し言葉に対して用いる。書き言葉に用いることはない 。「あの人は語彙がある」と書けば、知っている言葉がたくさんあるということを表し、「あの人の語気が荒い」と書けば、話し言葉がやや乱雑な印象であることを表す。
語彙の関連語には、他にも「語彙力(ごいりょく)」という言葉がある。「語彙力」とは、「その人がどれだけ言葉を知っていて、またどれだけ的確に使えるかどうかを示す能力」のことである。「彼は語彙力があって、状況を分かりやすく説明してくれる」などと用いる。語彙とほぼ同じ意味で用いられるが、語彙の場合は「語彙が豊富だ」「語彙が乏しい」と表現し、語彙力の場合は「語彙力が高い」「語彙力が低い」と表現される傾向がある 。また、ネットなどでは「すごいなぁ(語彙力)」と用いられることもあるが、これは、目の前で起きている状況や光景などに対して「すごい」という言葉以外で表現する術を持たない語彙力の乏しさを、自虐的に表しているものである。
ご‐い〔‐ヰ〕【語彙】
語彙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20 10:22 UTC 版)
基礎語彙と基本語彙とはしばしば混同されるが、上のように定義は異なる。もっとも、両者が大きく重なっている場合もある。英語学習で最初に必要な1500語 - 3000語ほどの語彙は、特定目的のために集めた語彙であるから「基本語彙」と考えられるが、そこには「hand, foot, say, eat, good, bad...」などの基礎語彙がほぼ含まれる。しかし、「apple, bike, Christmas...」などは、英語学習に欠かせない基本語彙ではあるものの、必ずしも基礎語彙とはいえない。
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