世の中とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 概念 > この世 > 世の中の意味・解説 

よ‐の‐なか【世の中】

読み方:よのなか

人々互いにかかわり合って生きて暮らしていく場。世間社会。「—が騒がしくなる」「暮らしにくい—になる」

世間人々の間。また、社会人間関係。「—はもちつもたれつだ」

「親も友達もないんです。つまり—がないんですね」〈漱石明暗

世間のならい。

病気が出るほど嫌なでも、—にゃ勝たれないから」〈鏡花化銀杏

当世その時分。

入道殿をはじめ参らせて—におはしある人、参らぬはなかりけり」〈古本説話集・下〉

統治者在任期間

「—かはりて後、よろづ物うくおぼされ」〈源・

世間的な人望

「父殿うせ給ひにしかば、—おとろへなどして」〈大鏡・兼通〉

男女の関係男女間の情愛

「歌はよまざりけれど、—を思ひ知りたりけり」〈伊勢一〇二〉

人の一生寿命

「—の今日か明日か覚え侍り程に」〈源・柏木

外界のようす。あたりの自然。

「秋待ちつけて、—すこし涼しくなりては」〈源・御法

10 作物できばえ

播磨路の—が悪うて」〈浮・織留・五〉


世の中

作者重松清

収載図書半パン・デイズ
出版社講談社
刊行年月1999.11


世間

(世の中 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/20 03:00 UTC 版)

仏教用語
世間
サンスクリット語 लोक
(IAST: loka)
中国語 世間
日本語 世間
英語 plane of existence
テンプレートを表示

世間せけんとは、インド発祥の宗教における用語であり、出世間しゅっせけんとあわせてこの世を二分して見る言葉である。移り変り、破壊を免れない迷いの世界という意味である。

さらに、日本ではこの用語は一般名化して、「この世」「世の中」「社会」のことを表す用語として使われている。転じて歴史学者阿部謹也は、日本社会が英単語「society」の訳語としての「社会」に当てはまらない性質があるとして、旧来の「世間」の呼称を採用し、西欧的「社会」との比較研究としての「世間論」を展開した。また、「世間」と書いて「よのなか」と読むこともある。

世間と出世間

移ろいゆく世界(世間)の法則に流れしたがうことを世間法せけんぼう略して世法 - せほう, loka dhammā)という。これに対して、仏は世間から出でた存在であることから、仏の教え(すなわち仏法, ダルマ)を、出世間法、あるいは如来法にょらいぼうなどという。

八つの世間法

世間は、八つの世間法が支配する世界であると説かれている。

Aṭṭhime bhikkhave, loka dhammā lokaṃ anuparivattanti, loko ca aṭṭhalokadhamme anuparivattati. Katame aṭṭha:
Lābho ca alābho ca ayaso ca yaso ca nindā ca pasaṃsā ca sukhaṃ ca dukkhaṃ ca

比丘たちよ、八つの世間法は世間に従い、世間は八つの世間法に従う。
その八つは何か?
利得、不利得、名誉、不名誉、非難、賞賛、である。

パーリ仏典, 増支部 8.1.1.5,Paṭhamalokadhamma suttaṃ, Sri Lanka Tripitaka Project

これは八つの出世間法、すなわち八正道(正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定)と対比される。

出世間

大乗仏教が後世にさらに発展すると、この娑婆における苦の多い現実世界の中で仏法を活かすということから、世法を完全否定せず、世間の法則を肯定的に捉えるようになった。またこれは、世間法即如来法(世法即仏法)と対立する2つの概念を不二法門として説かれるようになった。

三世間など

世間は仏教の古典的な各論者によって2種類または3種類あるいは6種類に分けて説かれた。2種類に分けたのは、有情世間と器世間を説いた倶舎論第八など、あるいは非学世間と学者世間を説いた因明入正理論疏巻中本がある[1]。3種類に分けたのは、五陰世間、衆生世間、国土世間を説いた大智度論第七十など、あるいは器世間、智正覚世間、衆生世間を挙げた華厳経孔目章第三などがある[1]。また大般涅槃経疏第十八では五陰世間、五欲世間、国土世間、衆生世間および仏などの6種類を挙げた[1]

大智度論では、以下の名称で説かれている。

  1. 仮名世間けみょうとは、衆生世間ともいい、生命のあるもの
  2. 国土世間こくどとは、山河大地など
  3. 五蘊世間ごうんとは、人間を構成し、世界を構成している構成要素をいう。

華厳経疏では、以下の3種類を立てるが、3つめは大智度論とは異なる。

  1. 衆生世間しゅじょう、智度論の仮名世間と同じ
  2. 器世間うつわ、智度論の国土世間と同じ
  3. 智正覚世間ちしょうかく、仏の世界

なお、サーンキヤ学派では、以下の3種類を立てる。

  1. 天上
  2. 人間
  3. 獣道

三界

三界の項を参照。

なお、大乗仏教では、この三界を離れ、さらにその上に声聞縁覚菩薩、そして仏国土や浄土があると位置付ける。また天台宗などでは、迷悟両界をあわせて十界があるとする。

文学における世間

世間・世の中を意味する言葉として『万葉集』では「うつせみ(現身)」「よのなか(世間)」の用例が見られ、「世間」の用例は45首(作者・年代が確定可能なものは35首)が見られる[2]


脚注

  1. ^ a b c 望月信亨『望月仏教大辞典 第3巻 増訂版』塚本善隆 増訂、世界聖典刊行協会、1954年、(2920)頁、「世間」。
  2. ^ 阿部(1995)、pp.32-33

参考文献

  • 阿部謹也『「世間」とは何か』講談社現代新書 1995年
  • 山本七平『「空気」の研究』文春文庫 1983年
  • 鴻上尚史『「空気」と「世間」』講談社現代新書 2009年
  • 佐藤直樹『「世間」の現象学』青弓社 2001年

関連項目


「世の中」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



世の中と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「世の中」の関連用語

世の中のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



世の中のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの世間 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS