あ・る【有る/在る】
読み方:ある
[動ラ五][文]あ・り[ラ変]
1 事物が存在する。「庭には池が—・る」「重大な欠陥が—・る」
2 その場所に存在する。位置する。「本社は東京に—・る」「沖ノ鳥島は日本最南端に—・る」
3 ある事柄がはっきり認められる。また、ある状態に置かれていると認められる。「非は先方に—・る」「土地は高値安定の傾向に—・る」「大国の影響下に—・る」
4 それによって決まる。それ次第である。左右される。「解決の糸口は相手の出かたに—・る」
5 (その存在を客観的、抽象的なものとして捉え)人が存在する。居る。「昔々、おじいさんとおばあさんが—・りました」「異を唱える人も—・る」
7 ある場所に身を置く。また、特定の位置・状態にいる。「現場に—・って指揮に当たる」「長年、会長の職に—・った」「病床に—・る」「逆境に—・ってもくじけない」
8 自分のものや付属として持っている。所持・所有している。「財産が—・る」「投票権が—・る」「バラにはとげが—・る」
9 身に付いたものとして持っている。中に持つ。備わる。含まれる。「教養が—・る」「貫禄が—・る」
10 ある考え・気持ち・感覚などを持っている。「お願いが—・る」「言いたいことが—・る」「かすかな痛みが—・る」
11 時間的、空間的に、その数量であることを表す。「開幕まで一週間—・る」「彼は一八〇センチ—・る」
12 事が起こる。事柄が発生する。出来(しゅったい)する。また、物事が行われる。「昨夜、地震が—・った」「土砂崩れの—・った現場」「これから重大発表が—・る」「一言、謝罪が—・ってもいいだろう」
㋐(引用の「と」を受けた「とある」の形で)…と書いてある。…という。…ということだ。「メモには午後二時に来社すると—・る」「命令と—・ればしかたがない」「死んだと—・ればあきらめもつく」
㋑(「とあって」の形で)状況・結果がそうであるので。…ということなので。「行楽シーズンと—・って道路が相当混む」「合意の上と—・っては反対もできない」
㋒(「だけある」「だけのことはある」の形で)それにふさわしい状態・結果が得られることを表す。「自慢するだけ—・ってよくできている」「さすが特訓しただけのことは—・る」
㋓(「ことがある」の形で)場合によっては…する、…の経験をしている、などの意を表す。「季節によってメニューの一部を変更することが—・ります」「富士には何回も登ったことが—・る」
㋔(「にあって」の形で)その範囲で、…において、の意を表す。「わが党に—・って随一の政策通だ」
(補助動詞)
㋐ある動作や行為などの結果が現在まで引き続いている意を表す。「花が生けて—・る」「ドアが閉めて—・る」
㋑何かに備えてすでに用意がなされていることを表す。「軍隊を待機させて—・る」「彼女には前もって伝えて—・る」
㋒(「…にしてある」の形で)そうなっていないが、そうなったものとみなしていることを表す。「心配をかけないように、元気でいることにして—・る」
2 動詞の連用形に接続助詞「つつ」を添えた形に付いて、動作・作用が継続して現在も行われていることを表す。「梅のつぼみがほころびつつ—・る」「月がのぼりつつ—・る」
3 名詞に助動詞「だ」の連用形「で」を添えた形に付いて、事柄の説明で、そのような性質をもっている、そのような状態・事態である、と判断する意を表す。「人間は考える葦(あし)で—・る」「トマトはナス科植物で—・る」
4 形容詞・形容動詞の連用形、または、その連用形に助詞を添えた形に付いて、そういう性質をもっている、そういう状態であることを言い定める意を表す。「常に美しく—・りたいと願う」「悲しくは—・るが、じっと耐えよう」
5 動詞の連用形や動作性の漢語名詞などに付いて、多く「お…ある」「御(ご)…ある」の形で、その動作をする人に対する尊敬を表す。「おいで—・れ」「御笑覧—・れ」
[補説] (1) 「ある」は、広く、五感などを通して、空間的、時間的に事物・事柄の存在が認められる意がおおもと。古くは「昔、男ありけり」〈伊勢・二〉のように、人に関しても用いたが、現在ではふつう人間・動物以外の事物についていい、人間・動物については「いる」を用いる。しかし、「予想外の参加者があった」「強い味方がある」など、人に関しても「ある」が用いられることがあり、この場合は人が概念化・抽象化した立場でとらえられていたり、所有の意識が認められていたりする。(2) 補助動詞としての「つつある」2は英語などの進行形の直訳的表現。文語の補助動詞「あり」は一部の副詞「かく」「しか」「さ」などや、助動詞の「ず」「べし」の連用形に付いて用いられることがある。「けり」「たり」「なり」「めり」などのラ変型活用の助動詞および形容詞語尾「かり」、形容動詞語尾「たり」「なり」などは、いずれも「あり」が他の要素と結合してできたもの。ふつう、存在する意の場合は「在」を、所有する意の場合は「有」の字を当てるが、かな書きにすることも多い。なお、「ある」の打消しは文語では「あらず」であるが、口語では「あらない」とはいわず、形容詞の「ない」を用いる。
[下接句] 余り物に福がある・上には上がある・腕に覚えがある・裏には裏がある・気がある・二度ある事は三度ある・残り物に福がある・花も実もある・一癖も二癖もある・身に覚えがある・脈がある・一年の計は元旦にあり・遠慮なければ近憂あり・壁に耳あり・烏(からす)に反哺(はんぽ)の孝あり・国破れて山河あり・心ここに在らず・沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり・死生命(めい)あり・信あれば徳あり・捨てる神あれば拾う神あり・生ある者は必ず死あり・積悪の家には必ず余殃(よおう)あり・積善の家には必ず余慶あり・男子家を出(いず)れば七人の敵あり・爪(つめ)に爪なく瓜(うり)に爪あり・敵は本能寺にあり・人間(にんげん)到る所青山あり・初め有るものは必ず終わり有り・鳩(はと)に三枝の礼有り・待てば海路の日和(ひより)あり・待てば甘露の日和あり・身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ・楽あれば苦あり・我思う故(ゆえ)に我在り
「有る」の例文・使い方・用例・文例
- Xにはちゃんとそれなりの理由が有る
- 日本的グリーンツーリズムとはXに若干の違いが有る
- 世の中にはこういう事が多々有る
- Xには自ずと限界が有る
- 割合が年々減少傾向に有る
- 実装状況にまだ差が有る
- かなり目に違和感が有る
- Xに問題が有る
- ファジーな面が歴史には多々有る
- 私には、そんな印象が有る
- 献身的に行動する人を好きになる傾向が私には有る
- エンコードの方法にいくつも種類が有る
- Xがいつも自分のなかに有る
- くだんの場所が近くにまだ有る
- もちろん院に、そして院長の私に全ての責任が有る
- 父親が一定の障害の状態に有る
- 会社の近くに京料理の店が有る
- インデックス作成のコストと検索コストがトレードオフの関係に有る
- 国保税の減免制度には、二つの制度が有る
- ほとんどの島にこのような物が一つは有る
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