出世間とは? わかりやすく解説

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しゅっ‐せけん【出世間】

読み方:しゅっせけん

仏語俗世間煩悩(ぼんのう)から脱して悟り境界に入ること。出世

世間俗事から離れて超然としていること。


出世間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/06 15:06 UTC 版)

仏教用語
出世間
パーリ語 lokuttara
サンスクリット語 lokottara
中国語 出世間
日本語 出世間
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出世間(しゅっせけん、: lokottara、超世俗、脱世俗)とは、煩悩などのけがれに汚染された、この世界の全ての存在を世間: laukika、世俗[1])というのに対し、それを超越しているものを指す。特に聖者の道 (ārya-mārga) に関連する「4つの道と4つの果」を指すために用いられる[2]

現代日本語の「出世」「立身出世」の由来。

仏教では、仏教以外の哲学思想外道の教え)は、執着を離れていない世間的な知恵に基づいていると見る。これに対し、仏教の説く執着を断った超越的な智慧を出世間智という。

大乗仏教では、仏陀は超俗的であると考えられており、無限の知恵と力を持つ超越的な存在とみなされている[2]

密教(仏教タントリズム)では、仏陀の境地という究極の達成(lokottarasiddhi、出世間的達成)だけでなく、世俗的な達成(力)(laukikasiddhi、世間的達成)も重視し、世俗的な達成は、マントラを唱えたり護摩の火による供養などの魔術的な儀式によって成された[3]

出世

現在、一般的に使われる出世(しゅっせ)は、この言葉からきたものであるが、以下のような用法がある。3.(或いは4.も)から来た用法は逆に世間に埋没している状態を含み、元の宗教的意味と一般用法との乖離が生じた。

  1. 諸仏が衆生を済度するために世界に出現すること。
  2. 世俗を捨てて仏道に入ること。
  3. 昔、天台宗比叡山では、公卿の子息が受戒剃髪して僧侶となったものをいった。現在、世間一般で「出世が早い」、「立身出世」などと言われるのは、この公卿出身の僧侶の昇進が早かったところから言われるようになった。
  4. 禅宗で、寺院の住持となること。高位の寺に転住することや、黄衣・紫衣を賜ること、また和尚の位階を受けることなどをいう。
  5. この世に生まれること。

立身出世

幕末から明治前期には、『西国立志編』『学問のすゝめ』など立身出世を勧める書物が流行した[4](立身出世主義、幕末期の文化)。

関連項目

脚注

  1. ^ laukika』 - コトバンク
  2. ^ a b lokottara Oxford Reference
  3. ^ David B. Gray (2023). The Buddhist Tantras: A Guide. Oxford University Press. pp. 167–208. doi:10.1093/oso/9780197623831.001.0001 
  4. ^ 立身出世』 - コトバンク

出世間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 08:13 UTC 版)

世間」の記事における「出世間」の解説

詳細は「出世間」を参照 このような壊れてゆく世界に対して、仏や菩薩のような世界は、出世間といわれ、世間をこえた境界といわれる。この意味で、仏教でいう世間は、単に物質的なものではなく精神的な境界の意味が、その根本的な立場である。 なお、大乗仏教後世にさらに発展すると、この娑婆における苦の多い現実世界の中で仏法活かすということから、世法を完全否定せず、世間法則肯定的に捉えるようになった。またこれは、世間即如来法(世法仏法)と対立する2つ概念不二法門として説かれるようになった

※この「出世間」の解説は、「世間」の解説の一部です。
「出世間」を含む「世間」の記事については、「世間」の概要を参照ください。

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