高齢者 高齢者の概要

高齢者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 17:57 UTC 版)

日本人の高齢女性
男性の老人
各国の65歳以上人口割合

日本語においての高齢者について、同義語として老人(ろうじん)、年寄り(としより)、お年寄り(おとしより)などの言葉がある。また、この世代を老年(ろうねん)と称する場合がある。

定義

高齢の線引きは曖昧且つ主観的な部分があるが、世界保健機関の定義では、65歳以上[注 1][2]の人のことを高齢者としており、また、定年退職者もしくは老齢年金給付対象以上の人を言うことも考えられる。

64歳以下を現役世代、65~74歳を前期高齢者(准高齢者)、75歳以上を後期高齢者[3]とされる。 75~84歳を中期高齢者と呼ぶこともある。

医療制度における規定

高齢者の医療の確保に関する法律、およびそれに付随する各種法令[4]では、65 - 74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と規定している。

高年齢者雇用安定法における定義

  • 高年齢者 - 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(略称:高年齢者雇用安定法)における「高年齢者」とは、55歳以上の者を言う[5]
  • 高年齢者等 - 「高年齢者」、および55歳未満の「中高年齢者」(45歳以上の者[5])である求職者、および55歳未満の「中高年齢失業者等」(45歳以上65歳未満の失業者その他就職が特に困難な失業者、具体的には身体障害者刑法等の規定により保護観察に付された者等で、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡があった者[5]で「高年齢者」に該当しないものを言う)を言う。

人口統計における区分

各種公的機関が行う人口調査では、64歳以下を「現役世代」(1歳未満を乳児、1 - 5歳を幼児、6 - 14歳を児童、15 - 44歳を青年、45 - 64歳を壮年)、65 - 74歳を「前期高齢者」(准高齢者)、75歳以上を「後期高齢者」(85歳以上を超後期高齢者)と区分している[6]

呼び方

過度の社会保障受益や認知機能や身体機能が低下し、認知症・寝たきりなど疾病に掛かり易い高齢者に対する介護の疲れや社会的負担から、高齢者に対する嫌悪や高齢者虐待 (Ageism) が増えてきた。これを受けて、「年をとった、年寄り、高齢の」といった年齢を強調した表現を避け、「より経験豊かな、先任の」といった価値中立な表現を工夫して用いるような傾向が出てきている。たとえばoldではなく、senior (シニア)、elderly、aged、後期高齢者医療制度の名称や高齢ドライバー標識の意匠変更など。

なお、従来、老人という言葉が広く使われてきたが、最近、差別用語ではないかという意見がある[7]。特に英語圏において「老人」に相当する「Old people」は、少なくとも北米圏では立派な差別用語として認知されている。

日本の公共交通機関には高齢者・障害者・病人・怪我人・妊婦などのための優先席が設けられているが、日本国有鉄道東京都交通局など一部の事業者は、これを「シルバーシート」と表現していた。ここから、日本においては高齢者のことをシルバーとも呼ぶようになった。また、高齢者が自身を「シルバー」と表現することも多く見受けられる。高齢者の職業技能を生かすための、「シルバー人材センター」という名称の施設が各地に存在している。


注釈

  1. ^ 厚生労働省の提言『健康日本21』の資料では、生産年齢人口幼年期0 - 5歳、少年期6 - 14歳、青年期15 - 29歳、壮年期30 - 44歳、中年期45 - 64歳、准高年期65 - 74歳、高年期75歳以上という区分をしている[1]

出典

  1. ^ 健康日本21|厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2019年6月13日閲覧。
  2. ^ 【e-ヘルスネット】高齢者2020年2月11日閲覧
  3. ^ e-ヘルスネット健康用語辞典:高齢者 厚生労働省、2021年10月9日閲覧
  4. ^ 高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年10月19日政令第318号)、高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成19年10月22日厚生労働省令第129号)、前期高齢者交付金及び後期高齢者医療の国庫負担金の算定等に関する政令(平成19年10月31日政令第325号)、高齢者の医療の確保に関する法律による保険者の前期高齢者交付金等の額の算定等に関する省令(平成19年11月22日厚生労働省令第140号)、後期高齢者医療の調整交付金の交付額の算定に関する省令(平成19年11月22日厚生労働省令第141号)
  5. ^ a b c 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則(昭和46年労働省令第24号)
  6. ^ 統計局ホームページ/I 高齢者の人口・世帯”. 総務省 統計局. 2013年8月13日閲覧。
  7. ^ 「老人」という言葉を使うと差別にあたるのか〜最近は高齢者という言葉のほうが多くなった東洋経済オンライン2018年8月7日
  8. ^ a b c Addressing Dementia - The OECD Response (Report). OECD. 13 March 2015. Chapt.1. doi:10.1787/9789264231726-en
  9. ^ 進藤貴子『介護福祉ハンドブック 高齢者の心理』1999年、一橋出版。53頁
  10. ^ 近藤勉『よくわかる高齢者の心理 改訂版』2010年、ナカニシヤ出版。59頁
  11. ^ World Population Ageing: 1950-2050, United Nations Population Division.
  12. ^ 第1章 高齢化の状況” (PDF). 内閣府. 2019年7月29日閲覧。
  13. ^ 第1章 高齢化の状況(第2節 1)”. 内閣府. 2018年9月18日閲覧。
  14. ^ a b 昭和44年版厚生白書
  15. ^ 平成17年国勢調査
  16. ^ 平成27年国勢調査-抽出速報集計結果からみる高齢化社会-”. 2018年5月22日閲覧。
  17. ^ 【主張】高齢者の重大事故 免許定年制の検討必要だ”. 産経ニュース. 産業経済新聞社 (2019年4月23日). 2019年4月29日閲覧。
  18. ^ 【高齢者の自動車運転 従来以上の制限が必要だ”. 毎日新聞 (2019年4月29日). 2019年4月29日閲覧。
  19. ^ 【目線〜読者から】高齢者の重大事故 免許定年制「的外れ」「早急に検討を」”. 産経ニュース. 産業経済新聞社 (2019年4月29日). 2019年4月29日閲覧。
  20. ^ 出典:警察庁ウェブサイト サポートカー限定免許について
  21. ^ おじいちゃんとおばあちゃんの犯罪 −高齢化と犯罪の関係−”. 2018年5月22日閲覧。
  22. ^ FNN PRIME 2018.
  23. ^ a b c おはよう日本 2017.
  24. ^ a b c 西多 2018.
  25. ^ 赤根 2017.


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