北欧諸国とは? わかりやすく解説

北欧

(北欧諸国 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/02 09:41 UTC 版)

CIA World Factbookによるヨーロッパの地域の分類
  北ヨーロッパ
  南東ヨーロッパ
  南西ヨーロッパ
  南西アジア
  北アジア
  中央アジア
  中東

北欧(ほくおう、: Nordic countries, Nordic regionノルウェー語: Nordenスウェーデン語: Nordenデンマーク語: Nordenフィンランド語: Pohjoismaatアイスランド語: Norðurlöndin)は、北ヨーロッパの通称である。主に文化歴史的な共通点で括られた地域のことを指す。この項目では、Norden, Nordicと総称される地域について説明する。

北欧理事会

次の五か国三地域が北欧理事会 (Nordic Council) 加盟国となっている。

このうち、スウェーデン・デンマーク・ノルウェーの三か国は特にスカンディナヴィアと呼ばれる。ただし、現代の北欧の人々は外交上あるいは学術上といった公的な場を除いて、北欧 (Nordic) とスカンディナヴィアを峻別せず混同することが多い。

文化地図

北欧諸国は、歴史・文化・社会の面で多くの共通点をもっている[1][2][3]バルト三国エストニアラトビアリトアニアの3カ国)は、CIA World Factbookヨーロッパ地域分類でも、ヨーロッパ人の感覚的にも、北欧諸国には含まれていない。イングルハート・ウェルスツェルの文化地図から明らかなように、世界文化価値観調査において北欧文化圏は、伝統、宗教、国家への忠誠よりも個人の自由世俗主義などを重視し、合理的社会秩序を重視する近似の民族として位置づけられる。北欧の人々は、この文化規範と価値観に特徴があり、この文化的特徴に近い国として、オランダドイツスイスニュージーランドオーストラリアなどが挙げられる[1][2][3]。実際、北欧諸国は2022年の積極的平和指数でスイス、オランダ、オーストラリア、ドイツ、ニュージーランド、日本とともに上位13カ国にランクインしており、平等性を重視する共通の文化や価値観を持っていることがわかる[4][5]

特徴

言語・民族的には、フィンランド・バルト三国を除けば北ゲルマン語を話す北ゲルマン系民族がほとんどである。北ゲルマン語は北欧語・ノルディック語・ノルド語とも呼ばれ、非常に似ているデンマーク語スウェーデン語ノルウェー語アイスランド語およびフェロー語等の総称である。また逆に、北ゲルマン語は北欧諸国以外ではほとんど話されず、北ゲルマン系民族は北欧諸国以外にはほとんど居住しない。

フィンランドの多数民族はウラル系スオミ人である。スオミ人の固有の文化はゲルマン民族とは大きく違い、隣国ロシア国境地帯のカレリア人フィンランド湾対岸のエストニア人と共通点が多い。しかし、フィンランドは旧スウェーデン領なので北ゲルマン文化の影響を強く受け、少数民族としてスウェーデン系フィンランド人もおり、スオミ語だけでなくスウェーデン語も公用語になっている。

また、ノルウェー・スウェーデン・フィンランド(およびロシア)の北部一帯のラップランドに、やはりウラル系のサーミが少数民族として住む。グリーンランドにはエスキモー系のカラーリットが住み、デンマーク全体では少数民族だがグリーンランドでは多数民族である。

宗教は、キリスト教プロテスタント系のルーテル教会の割合が非常に高い。

国旗は「スカンディナヴィア十字」と呼ばれる左寄りの十字を使っている国が多い。

現代の北欧諸国は、政府の政策により、進んだキャッシュレス社会となっており、現金(紙幣・硬貨)はほとんど流通しなくなっている。これには北極に近く、気候的に冬季の現金輸送が困難であるという点も一因となっている。詳細はスウェーデン・クローナ#スウェーデンのキャッシュレス化を参照。

歴史

近世まではデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの三か国が北欧諸国だった。ただし、地域としては現在のアイスランド(旧デンマーク領)やフィンランド(旧スウェーデン領)も含み、ソ連崩壊後は独立したバルト三国も含むようになった。

国連による北欧の区分

国際連合によるヨーロッパの区分(北ヨーロッパは青)[6]

「欧」とは「欧州・欧羅巴(ヨーロッパ)」の意であり、日本語では「北欧」と「北ヨーロッパ」に明確な字義の違いはなく、しばしば同義語とされる。

CIA World Factbookによるヨーロッパ地域の分類や、一般的なヨーロッパ諸国の認識では、北欧理事会の5つの加盟国であるスウェーデン・デンマーク・フィンランド・ノルウェー・アイスランドを指し、国連のヨーロッパ分類では、これらの5か国に加えてバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ブリテン諸島を加えている[6][7]

日本では、北欧諸国と表記する場合もある。

脚注

  1. ^ a b WVS Database”. www.worldvaluessurvey.org. 2022年3月19日閲覧。
  2. ^ a b WVS Database”. www.worldvaluessurvey.org. 2022年3月19日閲覧。
  3. ^ a b WVS Database” (英語). www.worldvaluessurvey.org. 2022年3月19日閲覧。
  4. ^ POSITIVE PEACE REPORT Analysing the factors that build, predict and sustain peace.”. 2022年1月31日閲覧。
  5. ^ 経済平和研究所”. www.rotary.org. 2022年1月6日閲覧。
  6. ^ a b Standard Country and Area Codes Classifications (M49)”. 国連統計部. 2008年6月25日閲覧。
  7. ^ 国際連合統計局の分類より。地図 および次の「Northern Europe」参照 [1] 2011年2月17日. 2011年4月2日閲覧。
    なお、バルト三国は、日本の外務省欧州局では西欧課が担当する。外務省欧州局 2011年4月2日閲覧。

関連項目


北欧諸国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/05 20:48 UTC 版)

身分制議会」の記事における「北欧諸国」の解説

北欧諸国では貴族聖職者ブルジョワジー農民から成る四部会が敷かれていた。北欧諸国は、寒冷な気候生産性の低い土地であるため、封建制農奴制あるいは寄生地主制発達妨げられた。そのため自由農民育まれものを言う農民伝統があったため四番目の身分として農民加えられた。ゲルマン法影響指摘する説もある。原則として各部会は対等の関係を保つ。しかし人口極端に少な貴族聖職者多数派であるブルジョワジー農民同等拒否権を持つこと自体が、身分制における不平等温床となった近代社会への脱皮時に両院制あるいは一挙に一院制移行することで、議会制民主主義成立させた。現在の北欧諸国の政党制においても、この四身分影響色濃く残っているのが観察される詳細北欧の政治参照

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北欧諸国

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 05:10 UTC 版)

固有名詞

北欧 諸国ほくおうしょこく

  1. ヨーロッパ北部国家政治的社会的括りデンマークスウェーデンノルウェーアイスランドフィンランドおよびその海外領土

翻訳


「北欧諸国」の例文・使い方・用例・文例

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