産業連関表とは? わかりやすく解説

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さんぎょう‐れんかんひょう〔サンゲフレンクワンヘウ〕【産業連関表】

読み方:さんぎょうれんかんひょう

一定期間内における一国それぞれの産業部門生産した財・サービスが、各産業部門最終需要部門とにどのように配分されたかを、統計数値によって表にしたものレオンチェフ初め作成した日本では総務省など関係府省共同で、西暦末尾が0および5の年を対象年として作成する基幹統計一つ投入産出表レオンチェフ表。I/O表

[補説] 日本では上記のほかに、経済産業省地域産業連関表・延長産業連関表・国際産業連関表を作成している。延長産業関連表は、産業連関表の中間年を補完するため、毎年最新統計情報用いて推計するもの。また、各都道府県市町村でも、それぞれ産業関連表を作成公表している。


産業連関表(Input-Output Table)

 投入産出表ともいう。産業商品)間の投入産出行列表示することにより、全ての財貨サービス生産とその処分に至る過程把握しようとするものであり、アメリカの経済学者W・レオンチェフによって初め作成された。
 産業連関表は生産活動記録する内生部門最終需要及び粗付加価値表わす生部門の二つ部門分かれる。産業連関表の列(縦)は、各産業あるいは商品費用構成示し生産のためにどのような財貨サービス使用投入)されたか、また粗付加価値営業余剰雇用者所得資本減耗引当間接税(除関税)、(控除経常補助金等がどれだけ発生したかを表している。一方、産業連関表を行(横)にみると、各財貨サービスがどの部分どのように販売されたかが示されており、これは中間需要呼ばれる。外生部門の購入最終需要といい、家計政府等の最終消費資本形成輸出からなりそれぞれの各列はその財貨サービス別の構成を示す。各産業商品)の行和と列和は等しく、その産業商品)の総産出額である。
 わが国の産業連関表は昭和26年初め作成され以来30年以降、関係府省庁協力によって5年ごとに作成されている(公表窓口総務省)。産業連関表は生産相互関係明らかにするとともに産業構造雇用構造分配構造、あるいは価格構造についての分析予測多方面利用されている。
 なお、国民経済計算は産業連関表を体系内に包摂しているが、産業連関表に相当する部分は(1)財貨サービス供給需要、(2)経済活動別の国内総生産要素所得(3)経済活動別財貨・サービス産出表、(4)経済活動別財貨・サービス投入表構成されている。

産業連関表

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/07 06:55 UTC 版)

産業連関表(さんぎょうれんかんひょう、: Input Output Table)は、産業ごとの生産販売等の取引額を行列形式にした定量的な経済モデル。英語の頭文字を取ってI-O表とも。アメリカ経済学者であるワシリー・レオンチェフが、1936年にアメリカを対象として作成したものが最初である。一般均衡理論を現実の経済に適用しようとする試みであり、レオンチェフ自身によればカール・マルクス再生産表式から着想したとされる[1][2][3]。レオンチェフはこのモデルの開発によりノーベル経済学賞を受賞した[4]

概要

財・サービスといった産業ごとの生産構造(どの産業からどれだけ原料等を入手し、賃金等を払っているか)、販売構造(どの産業に向けて製品を販売しているか)をみることができ、経済構造の把握、生産波及効果の計算などに利用される。

アメリカを初め世界各国で作成されており、日本では総務省が中心となり各省庁共同で5年ごとに作成されている(1951年表は経済企画庁(現内閣府)、通商産業省(現経済産業省)がそれぞれ独自に作成)。

産業連関表を使用した分析例としては、例えば公共事業として税金を使いダムを建設すると、建設業の売上が増える。さらに、ダムの材料や機械などを消費することによってこれらの産業の売上とひいては利益が増える。利益を得た産業の従業員の給与も上がるから、従業員がお金を使い消費も増える…といったような分析もできる。そうした意味で、産業連関表は経済全体像を網羅しているものでもある。

構造

産業連関表

産業連関表は、右図のような行列(マトリクス)構造となっている。

投入構造
表を縦にみると、ある産業の生産額のうち、どのくらいが原材料で、どのくらいが従業員の給与や企業の利益になっているかをみることができる。
産出構造
表を横にみると、ある産業の生産額が、他の産業の原材料や個人消費、輸出などに、どれだけ向けられたかをみることができる。

なお、粗付加価値額と最終需要の間には、

  • 粗付加価値額 = 最終需要 - 輸入

という関係がある。

産業連関表の構造については、総務省の産業連関表の仕組みも参照されたい。

経済効果

産業連関表を利用して、あるイベントが起こったことによる経済効果(経済全体の付加価値の増加分)を推定することができる。

参照

  1. ^ W. Leontief, “Quantitative Input and Output Relations in the Economic System of the United States”. In: Review of Economics and Statistics Vol. 18, 1936, pp. 105-125.
  2. ^ “Interrelation of Prices, Output, Savings and Investment”. In: Review of Economics and Statistics, Vol. 18, 1937, pp. 109-132.
  3. ^ "The significance of Marxian economics for present-day economic theory". The American Economic Review, Vol. 28, No. 1, March 1938.
  4. ^ Thijs Ten Raa, Input–Output Economics: Theory and Applications: Featuring Asian Economies, World Scientific, 2009

関連項目

外部リンク


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