コブ=ダグラス型関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/30 08:48 UTC 版)
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コブ=ダグラス型関数(こぶ=だぐらすがたかんすう、英: The Cobb–Douglas function)とは、投入要素間の代替の弾力性が1である生産関数や効用関数のこと[1]。チャールズ・コブとポール・ダグラスによって提示され、実証的な妥当性について検証された[1]。
歴史
ポール・ダグラスは、彼が資本と労働の生産との関連について研究していた1927年に初めてコブ=ダグラス型関数の定式化に至ったと説明している[2]。彼は数学者やチャールズ・コブと相談し、の関数形を用いることになった。この関数形はクヌート・ヴィクセル、フィリップ・ウィックスティード、レオン・ワルラスなどに既に用いられていたことも述べている[2][3]。クヌート・ヴィクセルが1926年に逝去して間もなく、ポール・ダグラスとチャールズ・コブはコブ=ダグラス型関数の生産者理論への応用を試みる[4][注 1]。その後、コブ=ダグラス型関数はポール・サミュエルソンやロバート・ソローなどの経済学者に盛んに用いられるようになる[5]。国レベルのマクロ生産関数を推定する分析手法は広く経済学研究で用いられ、ミクロ経済学的側面からマクロ経済学を分析する研究手法の先駆けとなった[6]。
概要
2要素のとき
2生産要素のコブ=ダグラス型生産関数は、
のように書ける。ただし、
である。要素分配率は生産の投入に対する弾力性とも解釈できる。例えば、α = 0.45であれば、資本ストックが1%上昇すると生産が0.45%上昇するということである。また、
- のとき、規模に関して収穫一定
- のとき、規模に関して収穫逓増
- のとき、規模に関して収穫逓減
となる[7][7]。完全競争でのとき、は資本分配率、は労働分配率と解釈できる。
一般形
2生産要素以上のコブ=ダグラス型生産関数は以下のように書ける[8]。
ただし
- Aは全要素生産性
- Nは生産要素の数
- X1, ..., XNは投入量
- は生産要素iの弾力性パラメーター
である。
脚注
注釈
出典
- ^ a b Cobb, C. W.; Douglas, P. H. (1928). “A Theory of Production”. American Economic Review 18 (Supplement): 139–165. JSTOR 1811556 2016年9月26日閲覧。.
- ^ a b Barro, Robert J.; Sala-i-Martin, Xavier (2004). Economic Growth (Second ed.). The MIT Press. p. 29, fn. 7. ISBN 0-262-02553-1
- ^ Brown, Murray (2017). “Cobb–Douglas Functions” (英語). The New Palgrave Dictionary of Economics. Palgrave Macmillan UK. pp. 1–4. doi:10.1057/978-1-349-95121-5_480-2. ISBN 978-1-349-95121-5
- ^ Nechyba, Thomas J. (2017). Microeconomics : an intuitive approach with calculus (2nd ed.). Boston, MA: Cengage Learning. p. 126. ISBN 978-1-305-65046-6
- ^ a b Douglas, Paul H. (October 1976). “The Cobb-Douglas Production Function Once Again: Its History, Its Testing, and Some New Empirical Values”. Journal of Political Economy 84 (5): 903–916. doi:10.1086/260489.
- ^ Filipe, Jesus; Adams, F. Gerard (2005). “The Estimation of the Cobb-Douglas Function: A Retrospective View”. Eastern Economic Journal 31 (3): 427–445. JSTOR 40326423.
- ^ a b Jacques, Ian (2018). Mathematics for Economics and Business (Ninth ed.). Harlow, United Kingdom: Pearson Education. p. 168. ISBN 9781292191713
- ^ Brown, Murray (2016-05-18) (英語). The New Palgrave Dictionary of Economics. Springer. ISBN 9781349588022
コブ=ダグラス型関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 21:05 UTC 版)
「代替の弾力性」の記事における「コブ=ダグラス型関数」の解説
コブ=ダグラス型効用関数 u ( x 1 , x 2 ) = x 1 α x 2 1 − α {\displaystyle u(x_{1},x_{2})=x_{1}^{\alpha }x_{2}^{1-\alpha }} を考える。予算制約 p 1 x 1 + p 2 x 2 = I {\displaystyle p_{1}x_{1}+p_{2}x_{2}=I} の下で効用最大化問題と解くと、以下のような需要関数が得られる。 x 1 = α I p 1 , x 2 = ( 1 − α ) I p 2 {\displaystyle x_{1}={\frac {\alpha I}{p_{1}}},x_{2}={\frac {(1-\alpha )I}{p_{2}}}} 財1への需要の財2への需要に対する比率は x 1 x 2 = α 1 − α p 2 p 1 {\displaystyle {\frac {x_{1}}{x_{2}}}={\frac {\alpha }{1-\alpha }}{\frac {p_{2}}{p_{1}}}} となる。したがって、価格比で微分すると d ( x 1 x 2 ) / ( p 2 p 1 ) = α 1 − α {\displaystyle d\left({\frac {x_{1}}{x_{2}}}\right)/\left({\frac {p_{2}}{p_{1}}}\right)={\frac {\alpha }{1-\alpha }}} となる。需要の比 x 1 x 2 = α 1 − α p 2 p 1 {\displaystyle {\frac {x_{1}}{x_{2}}}={\frac {\alpha }{1-\alpha }}{\frac {p_{2}}{p_{1}}}} を価格比 p 2 p 1 {\displaystyle {\frac {p_{2}}{p_{1}}}} で割ると、 ( x 1 x 2 ) / ( p 2 p 1 ) = α 1 − α {\displaystyle \left({\frac {x_{1}}{x_{2}}}\right)/\left({\frac {p_{2}}{p_{1}}}\right)={\frac {\alpha }{1-\alpha }}} となる。したがって、代替の弾力性は、 d ( x 1 / x 2 ) / ( p 2 / p 1 ) ( x 1 / x 2 ) / ( p 2 / p 1 ) = α / ( 1 − α ) α / ( 1 − α ) = 1 {\displaystyle {\frac {d(x_{1}/x_{2})/(p_{2}/p_{1})}{(x_{1}/x_{2})/(p_{2}/p_{1})}}={\frac {\alpha /(1-\alpha )}{\alpha /(1-\alpha )}}=1} となる。コブ=ダグラス型関数の場合は代替の弾力性は1である。
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