けい‐そ【×珪素/×硅素】
ケイ素(Si)
ケイ素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 05:47 UTC 版)
ケイ素(けいそ、珪素、硅素、英: silicon、羅: silicium)は、原子番号14の元素である。元素記号はSi。原子量は28.1。「シリコン」とも呼ばれる。
注釈
- ^ 古代中国語の硅の発音はhuòであることなどから、成 (2012, p. 156) は古代中国語からの転用である説を退けている。
- ^ 当初はxīと呼ばれていたとされ、経緯には諸説ある[5]。
- ^ 中国において「硅」が定着したのは、1959年以降であり、それ以前は両漢字名が競い合っていた[6]。
- ^ 酸素のイオン半径はケイ素の3倍以上であるため、体積においてはケイ素の0.86 %に対して酸素が93.77 %を占める[7]。
- ^ 「9」(Nine)が15個並ぶことを意味する略称。
- ^ インドは男性のビール摂取量が多く、ビールにはケイ素が多く含まれるため数値が高いと考えられている。シリカ#ろ過助剤を参照のこと。
出典
- ^ T. Michael Duncan, Jeffrey Allen Reimer, Chemical engineering design and analysis: an introduction, p. 25, Cambridge University Press, 1998 ISBN 0521639565
- ^ R. S. Ram et al. “Fourier Transform Emission Spectroscopy of the A2D–X2P Transition of SiH and SiD” J. Mol. Spectr. 190, 341–352 (1998)
- ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
- ^ a b c d http://www.ioffe.ru/SVA/NSM/Semicond/Si
- ^ a b 成 2012, pp. 155–156.
- ^ 成 2012, p. 156.
- ^ a b c 酒井 2003, pp. 48–49.
- ^ 岸川利郎 (1990). ユーザーエンジニアのための光学入門. オプトロニクス. ISBN 4-900474-30-4
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- ^ SAND AND GRAVEL(INDUSTRIAL), アメリカ地質調査所
- ^ 金属シリコン:MG-Si(SEMI-NET)
- ^ Wacker Polysilicon: Expansion Announcement June 2006(Wacker 社による生産量拡大のアナウンス資料)
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- ^ New Energy Finance Predicts 43% Solar Silicon Price Drop, greentechmedia, 18 August 2008
- ^ mad science. オライリー・ジャパン. (5/21). pp. 183,184,185
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- ^ John Emsley (2011). Nature’s Building blocks (New Edition ed.). Oxford University Press. p. 482. ISBN 978-0-19-960563-7
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- ^ ケイ素、ケイ素化合物 - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)
- ^ “Renal silica calculi in an infant”. International Journal of Urology 11 (2). (Feb 2004). doi:10.1111/j.1442-2042.2004.00746.x. PMID 14706018.
ケイ素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 04:16 UTC 版)
植物が吸収するケイ素の形態は、電荷をもたない中性分子として土壌溶液中に溶け込んでいるケイ酸である。この溶解性ケイ酸はpH9以下で現れ、土壌溶液中に0.1〜0.6mM程度存在する。pH9以上になると、電荷を持ったケイ酸塩となる。また、ケイ酸濃度が2mM以上となると重合してシリカとなる。ケイ酸の溶出元は、土壌中に豊富な二酸化ケイ素である。これは、岩石の主成分として土壌質量の50-70%を占める。 植物地上部のケイ素含有率(% dry wt)植物ケイ素含有率稲3.91 小麦1.54 カボチャ1.34 ズッキーニ1.98 ひよこ豆0.30 キュウリ2.29 トウモロコシ2.10 植物にとってのケイ素の重要性を説明する前に、植物中のケイ素の存在量を説明する。ケイ素は、土に根を下ろす全ての植物に含まれており、その含有量は植物種によって大きく異なる(下表)。被子植物ではイネ科とカヤツリグサ科が特に高い。双子葉植物では、ウリ科とイラクサ科を除いて低い。身近な植物では竹やトウモロコシやトクサがケイ素集積植物である。これらの集積能力の違いは、後述する根のケイ素吸収能力の違いに起因する。 ケイ酸含量に基づき、植物は以下の3つのグループに分類される。 ケイ酸含量10-15% ― 湿地イネ科(水稲、スギナ) ケイ酸含量1-3% ― 乾燥地イネ科(サトウキビ、穀物のほとんど、双子葉植物のいくつか) ケイ酸含量0.5%以下 ― 双子葉植物のほとんど、特にマメ科植物 次に、ケイ素の必須性を概略的に説明する。必要とする植物は限られており、サトウキビやトクサ科植物などである。しかし、必須ではなくとも、多くの植物種で適正な量を与えるとその成長を促進する。その効果は生物的・非生物的ストレスの軽減および光合成の促進である。下にまとめる。 生物的ストレス耐性病害耐性稲のいもち病、胴枯れ病、紋枯病、褐斑病など キュウリ、大麦、小麦のうどん粉病 サトウキビの輪紋病 ササゲのさび病 虫害耐性 (ニカメイガ、ウンカなど) 化学ストレスの緩和金属毒性の緩和(Al、Cd、As、Mn、Feなど) 栄養素過不足の改善(窒素過剰、リン不足など) 塩ストレスの緩和 物理ストレスの緩和倒伏の防止 高温および低温耐性の向上 霜害の防止 乾燥耐性の向上 放射線耐性の向上 光合成の促進葉の垂れ下がりの防止(直立葉、英: leaf erectness)による、葉の受光姿勢の改善および他の個体に対する遮光の防止 これらの効果は、ケイ素を多く集積する植物で顕著に現れる。一方で、あまり集積しない植物では現れにくい。光合成の促進効果は、窒素の多量投入かつ密植集約で栽培する場合に特に顕著となる。以下にケイ素の効果を各論で説明する。 病害・虫害耐性向上の仕組みは2つ提唱されている。一つは、ケイ素が組織に沈積し、物理的な障壁[ 英: physical barrier]を形成して糸状菌や害虫の侵入を防ぐというものである。もう一つは、植物体内に溶け込んでいるケイ酸が抗菌性物質(フェノール化合物やファイトアレキシンなど)の生産と抗菌性酵素(キチン分解酵素、過酸化酵素、ポリフェノール酸化酵素など)の活性を高めるというものである。この仮説の中でケイ酸は、病原菌に対する宿主植物の応答を促進させる役目を担う。 物理的ストレス耐性の向上は、ケイ素が植物体内に沈積することによる。沈積は茎の稈壁の厚さと維管束の太さを増加させ、また、クチクラ蒸散を抑制して乾燥を防ぐ。これらの働きは稲の場合で典型的に効果的である。収穫期の台風による倒伏を減少させる。また、特にもみ殻の過蒸散を抑える効果があるため、沈積量が少ないと白穂が発生しやすい。 マンガン過剰の緩和はイネ、大麦、豆、カボチャで見いだされた。このマンガンストレスの軽減機構は植物種によって異なる。稲では、ケイ酸が根の酸化力を向上させることによってマンガンの過剰な吸収を抑える。大麦と豆においては、ケイ酸はマンガンの吸収に影響しないが、体内のマンガン濃度を均一化させる。カボチャでは、体内のマンガンを不活性の部位(毛茸)に局在化させることで、マンガンの過剰害を回避させる。 マンガンはアルミニウムやナトリウムの害、およびリンの欠乏・過剰も緩和する。ケイ酸は土壌溶液中のアルミニウムイオンと結合し、植物へと吸収されないようにしている。ナトリウムの取り込みの防止は、ケイ素沈積による蒸散量の減少によると考えられている。稲ではリンが欠乏している場合、ケイ酸はリンの吸収に直接影響しないが、リン酸と欠乏しやすい鉄やマンガンの吸収を抑えることで間接的に体内のリンの有効度を高める。リン酸過剰では、ケイ酸がリン酸の吸収を抑える。 続いて、ケイ素の肥料としての側面を紹介する。上述したようにケイ素は植物体を強化する。加えて、根の重量や密度を高めるとともに植物の成長や生理活性を向上させ、作物のバイオマスと収量を改善させることも見出されている。このため、多くの国で肥料として重要視されている。例えば、日本は1955年に世界で初めてケイ素を、稲の安定収量に重要な必須栄養素と認定した。米国飼料検査官協会(英: Association of American Plant Food Control Officials)(AAPFCO)は2006年にケイ素の植物有用物質としての等級を上げた。 ケイ素は、土壌中に存在する元素の中で唯一、過剰害を引き起こさない。これは、植物が通常生育可能なpH(pH9以下)において、電荷を持たない分子であるためと、ケイ素濃度が2mMを超えると重合して植物に吸収されなくなるためである。このため、過剰害を引き起こす他の元素のように、電荷を持った塩として、細胞内に高浸透圧を作り出したり生体分子と結合したりしない。 次に、植物体内のケイ素の生理学的挙動を、根の吸収から地上部組織への分配、植物成長への寄与まで順を追って説明する。まず、根によるケイ酸の吸収である。その機構には、積極的な吸収と受動的な吸収がある。また、これとは別に、体内のケイ酸を排出する仕組みもある。これらの機構の有無は植物によって異なる。稲は積極的に吸収し、培地溶液のケイ酸濃度を素早く減少させる。キュウリは受動的に吸収し、培地中の濃度はほとんど変わらない。トマトは排除機構を持ち、水の吸収に伴いケイ酸濃度を上昇させる。ただし、これら3つの植物において、根のケイ酸輸送体のケイ酸への親和性は同程度である。取り込みの最大速度は稲>キュウリ>トマトであり、この違いは、細胞当たりの輸送体の発現量の違いに起因する。加えて稲は、導管中のケイ酸濃度は外部より濃縮されていたのに対し、キュウリとトマトではより低かった。稲は、体内での導管へのケイ酸の輸送を能動的に行うことができると予想されている。 根のケイ酸輸送体として、稲と大麦とトウモロコシでLsi1とLsi2の2つが発見されている。ケイ酸吸収欠損変異体lsi1(low silicon 1)から同定されたLsi1は、細胞の外から中へと輸送する。根の外皮と内皮の両層において、細胞の遠心側に局在する。アクアポリンと同じファミリーに属する。一方、Lsi2は内から外に向けて働き、外皮と内皮の向心側に局在する。陰イオン輸送体と似た構造を持つ。2つの輸送体の一次構造には全く相動性は見られない。共通する点は、主に根、特に基部での発現が多いことと、主根と側根に発現するが、根毛がある表皮細胞には表れないことである。これらの発現事情は根でのケイ酸吸収に関する生理学的実験の結果―吸収量は先端よりも基部でより多い、かつ、吸収に対して根毛による寄与がない―と一致する。 次に、根のケイ酸輸送体により吸収されたケイ酸が導管で地上部へと運ばれる機構を説明する。この運搬過程において興味深い点は、導管中のケイ酸濃度が20mM以上にも達する事実である。これは、ケイ酸が重合して不溶性のシリカゲルに変化する飽和濃度(常温で2mM)を大きく上回る。しかし、導管内のケイ素の形態は単分子のケイ酸のみである。飽和濃度以上でも重合が起こらない理由は、濃縮と輸送の過程が素早いためだと考えられている。 地上部へと運ばれた後、導管中のケイ酸は葉や茎などの組織に分配される。この分配を担うのは、導管中に分布する外向き輸送体のLsi6である。Lsi6は前述のLsi1の相同遺伝子であり、稲とトウモロコシで発見された。葉鞘と葉身の導管に隣接する木部柔組織に発現し、導管に面して偏在する。 Lsi6を介して地上部組織(葉、茎、もみ殻、果実表面など)に分配されたケイ素は、蒸散に従って濃縮され、重合して非晶性で不定形のシリカとなる。植物体内のケイ素の95%以上はこのシリカとして存在する。シリカは、クチクラ層直下のアポプラスト(クチクラ-シリカ二重層)や機動細胞、短細胞、長細胞などの細胞に沈積することが稲の葉身においてわかっている。細胞中では小胞体、細胞壁、細胞間隙に沈着する。その後、ポリフェノールと複合体を形成し、細胞壁を構成するリグニンに置き換わる。いったん沈積したケイ素はほとんど再移動しない。こうして、細胞壁をより頑強にする。 イネ科植物のケイ化細胞は植物オパールとして知られ、枯死後も土壌に残留する。植物オパールは植物種ごとに特徴的な形をしているため、考古学ではその土地に生えていた植物を推測するための手掛かりとなる。
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ケイ素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/21 08:38 UTC 版)
アモルファスシリコン - 茶色粉末 結晶性ケイ素- - 金属光沢のある暗灰色。結晶性ケイ素の単結晶はチョクラルスキー法で成長させる方法が知られている。
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ケイ素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 02:17 UTC 版)
「フッ化タングステン(VI)」の記事における「ケイ素」の解説
WF6はケイ素基板と接触すると反応を起こす。ケイ素基板上におけるWF6の分解は温度依存的である。 2 WF 6 + 3 Si ⟶ 2 W + 3 SiF 4 {\displaystyle {\ce {2 WF6\ + 3 Si -> 2 W\ + 3 SiF4}}} 400 ℃以下 WF 6 + 3 Si ⟶ W + 3 SiF 2 {\displaystyle {\ce {WF6\ + 3 Si -> W\ + 3 SiF2}}} 400 ℃以上 高温領域においては金属タングステンを1原子生成するために消費されるケイ素原子量が倍になるため、この温度依存性は非常に重要である。金属タングステンの堆積は純粋なケイ素上のみに選択的に起こり、酸化物や窒化物上では金属タングステンの堆積は起こらない。このように、WF6の反応は不純物や基板の前処理に非常に敏感である。分解反応の反応速度は速いが、金属タングステン層の膜厚が10から15 μmで飽和して分解反応は停止する。これは、タングステン層が成長することでこの分解反応における唯一の触媒であるケイ素とWF6が接触できなくなるためである。 この反応を不活性雰囲気でなく酸素を含んだ雰囲気下で行うと、金属タングステンでなく酸化タングステン層が生成される。
※この「ケイ素」の解説は、「フッ化タングステン(VI)」の解説の一部です。
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「ケイ素」の例文・使い方・用例・文例
- 二酸化ケイ素と結合している点で頁岩と、また粘板岩の劈開を持たない点で粘板岩と異なる堆積岩
- 二酸化ケイ素から成る白色の鉱物
- 不定色の水和した二酸化ケイ素から成る、半透明の鉱物
- 結晶形の二酸化ケイ素から成る、光沢のある硬い鉱物
- 炭化ケイ素の結晶から成る研磨剤
- 粘土と二酸化ケイ素を混ぜ合わせた褐鉄鉱からなる顔料
- より電気的陽性の元素または基を含んだケイ素の各種の化合物の総称
- 非常に吸収性がある二酸化ケイ素の多孔質形
- 2−3パーセントのケイ素を含む青銅で、耐食性がある
- 二酸化ケイ素の鉱物形態
- ケイ素という非金属元素
- ケイ素の結晶成長
- 石英という二酸化ケイ素からなる鉱物
- 石英ガラスという二酸化ケイ素だけからなるガラス
- ケイ素を半導体に用いたトランジスタ
- 有機ケイ素化合物を重合した高分子化合物
- 炭化ケイ素繊維という合成繊維
- アモルファスシリコンというケイ素
- ケイ素から作った特殊合成樹脂
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