各論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/12 03:39 UTC 版)
動物細胞の脱水や解凍についてさまざまな知見が知られている。その中では、一気に冷凍を行い氷晶が成長しないうちに冷凍を完了する、もしくは徐々に冷凍を行い粗大な氷晶が析出しないようにする、というのが基本的な理論である。 糖類溶液などによって高浸透圧とする(これについて糖類にトレハロースを用いる、溶媒としてジメチルスルホキシドを用いるなど、氷晶の成長を抑制する試みがなされている)・フリーズドライ(真空凍結乾燥処理)を行う・水分をグリセリンなどに置換してガラス化させるなどの手法が知られている。グリセリン置換を行うと細胞がガラス転移点を獲得する(冷却しても非晶質になる)ため、冷凍時に細胞内での氷晶の生成が抑制される。そのため、氷晶の成長による組織の破壊を防ぐことができる。この目的に加える物質を、凍害防御剤 (cryoprotective agent, CPA) と呼ぶ。 植物における適用としては、主に遺伝資源の保存を目的に植物の種苗や組織の低温保存が行われている。種子や花粉は冷凍状態では数年以上にわたる保存が可能であるものが多く存在しており、経代栽培による遺伝資源の保存と平行して行われている。組織切片については、動物細胞と同様の方法によって保存が行われている。枝・株単位などの状態では、予備冷凍を行う、高浸透圧物質による処理を行うなどの手法が研究されている。一部で成功をみているが、手法としては発展途上である。また、生育している植物については、糖類やプロリンの施用によって低温ストレスへの耐性が増強されるとの知見がある。 動植物の個体単位への研究では、極寒地における動植物の耐低温メカリズムの解明・冬眠のメカニズムの解明・耐低温遺伝子の研究・それらの人為的な操作への応用などが行われている。冬眠時の動物では脂肪の不飽和度の上昇による脂肪凝結防止が発生している、低温の海域に生息している魚類は不凍タンパク質 (Antifreeze protein, AFP) の存在によって組織液中で氷晶の成長を抑制しているなどの知見が今までに得られており、これらの応用・実用化が研究途上にある。
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