栽培
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 05:39 UTC 版)

栽培(さいばい、英: cultivation)とは一般に、野菜や樹木などの植物、キノコ、藻類などを植えて育てることである[1]。育った植物を観賞したり、収穫して花や葉や果実などを食用・薬用・観賞用などの様々な用途に利用したりするなどの目的で行われる。
栽培手法
植物を自然の土地や畑、つまり大空のもと、屋根やハウス無しで育てることは「露地栽培」と言い、植物を地面の上に作ったビニールハウス(いわゆる「ハウス」、木、竹、鉄材などで骨組みをつくり、これに塩化ビニルやポリエチレンなどのフィルムをかぶせた簡易式の建物のようなもの)の中で栽培することは「ハウス栽培」と言う。また土を使わないで、植物の根を水に浸す方法で栽培することは「水耕栽培」と言う。
一方、人間が栽培していないのに自力で増えたり成長している植物を野生植物と言うが、そうした野生植物に人間が手を加えること、野生と栽培の中間的な状態で育てることを「半栽培」と言う。
上記以外にも、以下のように様々な栽培手法が存在する。
有効積算温度
作物を植えてから収穫するまでの全期間の温度として日平均気温10℃以上の期間の日平均気温を積算したものを有効積算温度(単位:度日)という。例えばムギは800-2000度日であり、イネは2800-3800度日であり、ムギは寒冷地に向き、イネは温暖地に向くことがわかる[2]。
その他
樹木など大きく育てあげることや一から育てること、長年に渡って育てることなどは「育成」と言って区別する場合がある。また植物に限らず、魚介類などを養殖して育てる場合にも「栽培」と言うことがある(これについては養殖を参照のこと)。
脚注
- ^ コトバンク
- ^ 農業土木学会誌 谷 信輝 「最近の気象変化と関連づけて」 『気象と農業』Vol. 49 (1981) No. 4 P 293-296,a1
参考文献
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- 森田茂紀・大門弘幸・阿部淳編著 『栽培学 : 環境と持続的農業』朝倉書店、2006年。ISBN 4-254-41028-X。
- 池田英男、川城英夫ほか編著 『野菜栽培の基礎』(新版)農山漁村文化協会〈農学基礎セミナー〉、2005年。ISBN 4-540-04394-3。
- 神戸山草会編著 『栽培大事典 : 栽培が楽しくなる山野草1500種』(改訂)月刊さつき研究社、1989年。全国書誌番号:90030848。
- 熊代克巳ほか 『果樹栽培の基礎』農山漁村文化協会〈農学基礎セミナー〉、2000年。ISBN 4-540-00023-3。
- 樋口春三編著 『草花栽培の基礎』(新版)農山漁村文化協会〈農学基礎セミナー〉、2004年。ISBN 4-540-03333-6。
- 『薬用植物 : 栽培と品質評価 part 12』薬事日報社、2011年。ISBN 978-4-8408-1168-2。
- 宮野弘司 『図解・ハーブ栽培事典 : 作り方のすべてがわかる』いしずえ、1999年。ISBN 4-900747-24-6。
- 杉山直儀 『江戸時代の野菜の栽培と利用』養賢堂、1998年。ISBN 4-8425-9810-7。
- 稲村達也編著 『栽培システム学』朝倉書店、2005年。ISBN 4-254-40014-4。
- 梅原寛重 『自然栽培と調理』博品社、1998年。ISBN 4-938706-59-8。
脚注
関連項目
栽培
出典:『Wiktionary』 (2021/10/30 23:34 UTC 版)
名詞
栽 培(さいばい)
- (食べたり眺めたり何かを作るもとにするためなどに、)植物やキノコなどを植えて育てること。(広くは言わゆる「つくる漁業」において魚を育てる事をも指すことがある。例:「栽培漁業」)
- 綿の栽培が又はやりはじめたことも何となく私たちの女の心をひく事柄である。綿の栽培は明治二十年以来日本では忘られる一方であったそうだ。(宮本百合子「昔を今に――なすよしもなき馬鈴薯と綿――」『日本学芸新聞』)〔1940年〕
- だが、椎茸の栽培については、書物の知識だけでは心細いが、多少経験はおありですか?(岸田國士「椎茸と雄弁」『道遠からん』)〔1950年〕
- 栽培養殖復旧専門官は、栽培漁業及び養殖業の用に供する施設に関する災害復旧事業及びこれらの漁業の経営の再建に関する専門の事項についての企画、連絡調整及び指導に関する事務を行う。(「農林水産省組織規則〔平成十三年一月六日農林水産省令第一号〕第542条第5項)
発音(?)
- さ↗いばい→
動詞
活用
互に 甘蔗 ( かんしょ ) を栽培して、どっちが甘いのが出来るか、それによって勝負を決しようと約束した。(岡本かの子「愚かな男の話」『キング』)〔1936年〕
「栽培」の例文・使い方・用例・文例
- トウモロコシを栽培する
- 綿花を栽培する
- 彼らはバラを栽培している
- タバコの栽培
- 球根栽培
- ブラジルではコーヒーを輸出用に栽培している
- 野菜栽培者
- 自家栽培の野菜
- 彼女は花を栽培して生計をたてている
- 彼は庭で植物を栽培している
- 花の栽培はたいへん楽しい
- 彼は栽培には農薬を一切使いません
- 古くから野菜の促成栽培が盛んだった
- 彼が自ら2か所の畑で野菜を栽培する
- この農園ではカンタループメロンを栽培している。
- 農民たちは、換金作物の1つとしてピーナッツを栽培している。
- タマリンドは東南アジアで広く栽培されている。
- 有機ブドウ栽培で作られたワインを1瓶買った。
- 日本では東北地方でバーレー種の栽培が行われている。
- 黄色種のタバコは私たちの国で栽培されている。
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品詞の分類
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