ケイ酸
ケイ酸塩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/27 05:11 UTC 版)
ケイ酸塩アニオンは他のカチオンと結合し、電気的に中性な化合物を形成する。シリカ(二酸化ケイ素) SiO2 はケイ酸塩の一種と考えられることもある。これはケイ素周りが負電荷を帯びないため、追加のカチオンを含まない特別な例である。シリカは石英やその多形などの鉱物として自然界に見られる。

ケイ酸塩鉱物に代表される大多数のケイ酸塩では、ケイ素原子は4個の酸素原子によって囲まれた四面体構造をとる。鉱物の種類によってこの四面体が連なる度合いは異なり、単独、対、クラスター、環状、鎖状、二本鎖状、層状、3次元網目状など多岐にわたる。ケイ酸塩鉱物はこのアニオン構造の違いによって分類される。
酸素原子周りの空間が少ないため、通常の圧力条件では6配位のケイ酸塩はまれにしか見られないが、ソーマス石 などにヘキサヒドロキシシリケートイオン [Si(OH)6]2− として含まれる。
ケイ酸イオン
4配位ケイ酸イオン中のケイ素原子は、4個の酸素原子によって囲まれた四面体構造をとり、この四面体が1個から無限個まで連なった多様な種類がある。
オルトケイ酸イオン (SiO44−)、ピロケイ酸イオン (Si2O76−)、他の縮合ケイ酸イオンが知られている。環状ケイ酸イオンとしては Si3O96− と Si6O1812− が知られている。さらに、以下のような多様な無限ポリイオンが存在する[2]。
- 1次元鎖状
- (pyroxene) 型 (SiO32−)n。各 SiO4 四面体は2個の酸素原子を隣の SiO4 四面体と共有し、形式的には残り2個の酸素がアニオンとなる。
- 1次元二重鎖状
- (amphybole) 型 (Si4O116−)n
- 2次元シート状
- 各 SiO4 四面体は3個の酸素原子を隣の SiO4 四面体と共有し、形式的には残り1個の酸素がアニオンとなる。ほとんどの2次元シート状アニオンは巨大すぎて、常温では固体かコロイド溶液でしか存在できない。
- 3次元網目状
- 各 SiO4 四面体は4個の酸素原子を隣の SiO4 四面体と共有する。この構造が 100% だと組成式 SiO2 の二酸化ケイ素であるが、一部の SiO2 が他の金属酸化物に置き換わった (M(I)2O)2x(SiO2)1-x や (M(II)O)2x(SiO2)1-x のような組成の化合物では、ケイ素原子が取り除かれた欠陥部がアニオンとなった (SiO2(1-x))O2x4x− のようなポリイオンが考えられる。ただし金属 M がイオンというよりも酸素原子と共有結合してポリケイ酸イオンの一部となっていると考えた方が良い構造の場合もある。
2次元シート状および3次元網目状のポリケイ酸イオンの一部のケイ素原子が、アルミニウムやホウ素、リン、またチタンなどの遷移金属に置き換えられたものがある。これらは化学的にはアルミノケイ酸イオンやホウケイ酸イオンと呼ばれるべきものであるが、ケイ酸イオンの一種として扱われることが多い。特にアルミノケイ酸塩には非常に多くのものが知られている。非晶質の3次元網目状ケイ酸塩はケイ酸ガラスとして知られる。
ケイ酸塩鉱物
鉱物学では、
- ネソケイ酸塩鉱物(四面体単体) —
ケイ酸塩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 22:34 UTC 版)
詳細は「ケイ酸塩」を参照 ケイ酸塩(—さんえん、silicate)はケイ酸イオンを含むイオン結晶であり、多くの鉱物の成分となるものである。 二酸化ケイ素と炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを高温で融解するとケイ酸ナトリウムが得られるが、これはオルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)その他のケイ酸塩の混合物であり、ケイ酸ナトリウムの濃厚水溶液をオートクレーブ中で加熱処理すると水飴状の粘度の高い液体が得られ、水ガラス(みず—)と呼ばれる。
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「ケイ酸塩」の例文・使い方・用例・文例
- 雲母の含水ケイ酸塩、雲母に関する含水ケイ酸塩、または、雲母に似ている含水ケイ酸塩
- 磁気ケイ酸塩の薄膜上の泡という形で情報を保持する、不揮発性の記憶装置
- ケイ酸塩鉱物でできた石状の隕石
- ケイ酸塩チェーンと主にナトリウムとカルシウムとマグネシウムと鉄とアルミニウムの組合せを含んでいる類似した結晶構造による一群の鉱物
- 宝石や研磨剤として用いられる、硬いガラス状の鉱物(さまざまな金属のケイ酸塩)の総称
- カリウム、鉄、マグネシウムまたはアルミニウムのケイ酸塩水和物族からなる緑の鉱物
- アルミニウム・ケイ酸塩からなる鉱物
- 超薄片への完全な分離が可能である形に結晶化するアルミニウム、カリウムやその他の含水ケイ酸塩からなる様々な物質の総称
- マグネシウム鉄ケイ酸塩から成る鉱物
- カリウム、マグネシウム、アルミニウムが水和したケイ酸塩から成る茶色の雲母
- 火成岩および変成岩に広く存在する、結晶性のケイ酸塩鉱物の総称
- カルシウム鉄ケイ酸塩から成り、黄色、緑から茶色、黒に及ぶ色を持つガーネット
- さまざまな色の結晶で現れ宝石として用いられる鉱物(アルミニウムのフルオロケイ酸塩)
- 鉄、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびナトリウムを含むアルミニウムの複雑なホウケイ酸塩と水酸化物である鉱物
- 雲母構造を有する黄色か茶色の水を含むケイ酸塩鉱物の一群の総称
- ケイ酸塩水和物から成る緑色、黄色または茶色の鉱物
- ゼオライト科の鉱物の一群で、カルシウムとアルミニウムの含水ケイ酸塩からなる
- ナトリウムとアルミニウムの含水ケイ酸塩からなる沸石科の一群の鉱物
- カルシウムとカリウムとアルミニウムの水を含むケイ酸塩からなる沸石科の一群の白または赤みがかった結晶性鉱物
- ケイ酸塩鉱物を含む緑色をした海底沈でん物
ケイ酸塩と同じ種類の言葉
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