ケイ素 名称

ケイ素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/10 06:07 UTC 版)

名称

1787年に、アントワーヌ・ラヴォアジエが「silicon」と名付けた。ラテン語の「silex」「silicis」(燧石)にちなむ。のちに、宇田川榕庵が「舎密開宗」で「珪土」をケイ素(シリコン)の訳語とした。オランダ語のシリコンは「keiaarde」であり、「keisteen-aarde」(火打石の土)の短縮形であるため、玉偏の同音字「珪」(けい、「圭」の異体字)で音写した。のちに「硅」も出現したが、「珪素」が基準となった[要出典]。中国名の「」はこの日本の音写由来であると考えられる[注 1]が、発音はguī(グイ)と日本とは異なり[注 2]、また台湾においては旧来[注 3]の「」(、シー)が21世紀初頭現在においても用いられている[5]

性質

最外殻電子が4つ(四価)のケイ素で形成された結晶構造。図から見ても分かるように、ダイヤモンド構造で形成されている

常温・常圧で安定な結晶構造はダイヤモンド構造比重2.33、融点1410 °C(1420 °C)、沸点 2600 °C(ほかに2355 °C、3280 °Cという実験値あり)。ダイヤモンド構造のケイ素は、1.12 eVバンドギャップ(実験値)をもつ半導体である。これは非金属であるが、圧力静水圧)を加えると、βスズ構造に構造相転移する。このβスズ構造のケイ素は金属である。更にケイ素には、シリセンという、ケイ素原子が環状に6個結びついた同素体がある。周期表において、すぐ上の元素は炭素だが、その常温常圧での安定相であるグラファイト構造は、ケイ素においては安定な構造として存在できない。

分布

ケイ素は、地球の主要な構成元素のひとつである。地球地殻の質量の74.32 %は酸素(46.60 %)とケイ素(27.72 %)で占められており[注 4]石英の成分であるSiO2が地殻の大部分を構成している[7]。地殻の造岩鉱物の92 %はSiO4の四面体を結晶構造の基本単位とする珪酸塩鉱物である[7]


注釈

  1. ^ 古代中国語の硅の発音はhuòであることなどから、成 (2012, p. 156) は古代中国語からの転用である説を退けている。
  2. ^ 当初はと呼ばれていたとされ、経緯には諸説ある[5]
  3. ^ 中国において「」が定着したのは、1959年以降であり、それ以前は両漢字名が競い合っていた[6]
  4. ^ 酸素のイオン半径はケイ素の3倍以上であるため、体積においてはケイ素の0.86 %に対して酸素が93.77 %を占める[7]
  5. ^ 「9」(Nine)が15個並ぶことを意味する略称。
  6. ^ インドは男性のビール摂取量が多く、ビールにはケイ素が多く含まれるため数値が高いと考えられている。シリカ#ろ過助剤を参照のこと。

出典

  1. ^ T. Michael Duncan, Jeffrey Allen Reimer, Chemical engineering design and analysis: an introduction, p. 25, Cambridge University Press, 1998 ISBN 0521639565
  2. ^ R. S. Ram et al. “Fourier Transform Emission Spectroscopy of the A2D–X2P Transition of SiH and SiD” J. Mol. Spectr. 190, 341–352 (1998)
  3. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  4. ^ a b c d http://www.ioffe.ru/SVA/NSM/Semicond/Si
  5. ^ a b 成 2012, pp. 155–156.
  6. ^ 成 2012, p. 156.
  7. ^ a b c 酒井 2003, pp. 48–49.
  8. ^ 岸川利郎 (1990). ユーザーエンジニアのための光学入門. オプトロニクス. ISBN 4-900474-30-4 
  9. ^ B. Andreas et al. (2011). “Determination of the Avogadro Constant by Counting the Atoms in a 28Si Crystal”. Physical Review Letters (American Physical Society) 106: 030801. doi:10.1103/PhysRevLett.106.030801. http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.106.030801. 
  10. ^ ユリス・ナルダン フリーク Part.2、WebChronos、2020年2月11日
  11. ^ オリエントスター来し方70年 煌めきのクライマックス、WebChronos、2021年2月5日
  12. ^ SAND AND GRAVEL(INDUSTRIAL), アメリカ地質調査所
  13. ^ Wacker Polysilicon: Expansion Announcement June 2006(Wacker 社による生産量拡大のアナウンス資料)
  14. ^ 河本洋、奥和田久美、高純度シリコン原料技術の開発動向科学技術政策研究所)2016年3月5日時点のアーカイブ。
  15. ^ New Energy Finance Predicts 43% Solar Silicon Price Drop, greentechmedia, 18 August 2008
  16. ^ mad science. オライリー・ジャパン. (5/21). pp. 183,184,185 
  17. ^ 植田和利, 伊東和彦, 上原誠一郎, 佐藤博樹「太陽炉を利用したマグネシウムによる二酸化ケイ素の還元とその教材化」『科学教育研究』第40巻第1号、日本科学教育学会、2016年、 39-45頁、 doi:10.14935/jssej.40.39ISSN 0386-4553NAID 130005144680
  18. ^ a b c d e “SILICON AND BONE HEALTH”. The journal of nutrition, health & aging 11 (2). (2007). PMID 17435952. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2658806/. 
  19. ^ John Emsley (2011). Nature’s Building blocks (New Edition ed.). Oxford University Press. p. 482. ISBN 978-0-19-960563-7 
  20. ^ “A provisional database for the silicon content of foods in the United Kingdom”. British Journal of Nutrition 94. (2005). doi:10.1079/BJN20051542. PMID 16277785. 
  21. ^ ケイ素、ケイ素化合物 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所
  22. ^ “Renal silica calculi in an infant”. International Journal of Urology 11 (2). (Feb 2004). doi:10.1111/j.1442-2042.2004.00746.x. PMID 14706018. 





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