ケイ素とは? わかりやすく解説

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けい‐そ【×珪素/×硅素】


ケイ素(Si)


物質名
ケイ素
英語名
Silicon
元素記号
Si
原子番号
14
分子量
28.0855
発見
1824年
原子半径(Å)
1.17
融点(℃)
1414
沸点(℃)
2642
密度(g/cm3
2.34
比熱(cal/g ℃)
0.162
イオン化エネルギー(eV)
8.151
電子親和力(eV)
1.385

炭素族属す非金属元素結晶硬く、もろい。典型的な半導体であり、純度極めて高くしたもの半導体素子として用いられる。「シリコン」という名も一般的である。ちなみにSilicon」は「silex」(石英)の名にちなんでいる。

ケイ素

英訳・(英)同義/類義語:silicon

原子番号14典型元素で、炭素同じく4価の化学結合作る半導体材料として有名だが、生体成分としても、植物などに多く含まれている。

ケイ素

体内働き調節する人体必要な元素1つ。骨や歯、爪などを丈夫にするなどの働きを持つ。

ケイ素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 07:38 UTC 版)

アルミニウム ケイ素 リン
C

Si

Ge
14Si
外見
金属光沢のある暗灰色


ケイ素のスペクトル線
一般特性
名称, 記号, 番号 ケイ素, Si, 14
分類 半金属
, 周期, ブロック 14, 3, p
原子量 28.0855(3) 
電子配置 [Ne] 3s2 3p2
電子殻 2, 8, 4(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 2.3290 g/cm3
融点での液体密度 2.57 g/cm3
融点 1687 K, 1414 °C, 2577 °F
沸点 2628 K, 2355[1] °C, 4271 °F
融解熱 50.21 kJ/mol
蒸発熱 359 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 19.789 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1908 2102 2339 2636 3021 3537
原子特性
酸化数 4, 3 , 2 , 1[2] −1, −2, −3, −4
(両性酸化物)
電気陰性度 1.90(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 786.5 kJ/mol
第2: 1577.1 kJ/mol
第3: 3231.6 kJ/mol
原子半径 111 pm
共有結合半径 111 pm
ファンデルワールス半径 210 pm
その他
結晶構造 立方晶系
磁性 反磁性[3]
電気抵抗率 (20 °C) 103 [4]Ω⋅m
熱伝導率 (300 K) 149 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 2.6 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 8433 m/s
ヤング率 185[4] GPa
剛性率 52[4] GPa
体積弾性率 100 GPa
ポアソン比 0.28[4]
モース硬度 7
CAS登録番号 7440-21-3
バンドギャップ energy at 300 K 1.12 eV
主な同位体
詳細はケイ素の同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
28Si 92.23 % 中性子14個で安定
29Si 4.67 % 中性子15個で安定
30Si 3.1 % 中性子16個で安定
32Si syn 170 y β 13.020 32P

ケイ素(けいそ、珪素、硅素、: silicon: silicium)は、原子番号14の元素である。元素記号Si原子量は28.1。「シリコン」とも呼ばれる。

名称

1787年に、アントワーヌ・ラヴォアジエが「silicon」と名付けた。ラテン語の「silex」「silicis」(燧石)にちなむ。のちに、宇田川榕庵が「舎密開宗」で「珪土」をケイ素(シリコン)の訳語とした。オランダ語のシリコンは「keiaarde」であり、「keisteen-aarde」(火打石の土)の短縮形であるため、玉偏の同音字「珪」(けい、「圭」の異体字)で音写した。のちに「硅」も出現したが、「珪素」が基準となった[要出典]。中国名の「」はこの日本の音写由来であると考えられる[注 1]が、発音はguī(グイ)と日本とは異なり[注 2]、また台湾においては旧来[注 3]の「」(、シー)が21世紀初頭現在においても用いられている[5]

性質

最外殻電子が4つ(四価)のケイ素で形成された結晶構造。図から見ても分かるように、ダイヤモンド構造で形成されている

標準状態で安定な結晶構造はダイヤモンド構造。比重2.33、融点1410 °C(1420 °C)、沸点 2600 °C(ほかに2355 °C、3280 °Cという実験値あり)。ダイヤモンド構造のケイ素は、1.12 eVバンドギャップ(実験値)をもつ半導体である。これは非金属元素であるが、圧力(静水圧)を加えると、βスズ構造に構造相転移する。このβスズ構造のケイ素は金属である。更にケイ素には、シリセンという、ケイ素原子が環状に6個結びついた同素体がある。周期表において、すぐ上の元素は炭素だが、その常温・常圧での安定相であるグラファイト構造は、ケイ素においては安定な構造として存在できない。

分布

ケイ素は、地球の主要な構成元素のひとつである。地球地殻の質量の74.32 %は酸素(46.60%)とケイ素(27.72%)で占められており[注 4]石英の成分であるSiO2が地殻の大部分を構成している[7]。地殻の造岩鉱物の92 %はSiO4の四面体を結晶構造の基本単位とするケイ酸塩鉱物である[7]

歴史

1787年に、アントワーヌ・ラヴォワジエが初めて元素として記載した。しかしラヴォワジエは、燧石そのものを元素だと思っていた。

1800年に、ハンフリー・デービーの研究によって燧石は化合物だったことが判明した。

1811年に、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックルイ・テナールが、のちのベルセリウスと同様の方法でアモルファスシリコンの分離に成功したと考えられている。

1823年に、イェンス・ベルセリウス四フッ化ケイ素カリウムを加熱して単離に成功した。

用途

バンドギャップが常温付近で利用するために適当な大きさであること、ホウ素リンなどの不純物を微量ドープさせることにより、p型半導体n型半導体のいずれにもなることなどから、電子工学上重要な元素である。半導体部品として利用するためには高純度である必要があり、このため精製技術が盛んに研究されてきた。現在、ケイ素は99.9999999999999%(15N[注 5])まで純度を高められる。また、Si(111) 基板はAFMSTMの標準試料としてよく用いられる。

ケイ素の単結晶

赤外光学系

ケイ素は赤外域(波長2–6 μm)で高い透過率があり、レンズや窓の素材に用いられる。波長4 μmの屈折率は3.4255[8]

半導体素子

鏡面研磨されたシリコンウェハー

四塩化ケイ素トリクロロシランから作られる高純度ケイ素の塊(シリコンウェハー)は、半導体素子に用いられる。また、液晶ディスプレイTFTソーラーパネルには、アモルファスシリコンや多結晶シリコンなどが用いられる。ヒ化ガリウム窒化ガリウムなどの化合物半導体の基板にシリコンを用いれば、大幅な低価格化が可能であり、さまざまな研究や実用化が進められている。

ケイ素含有合金

電気炉における製鉄材料として1トンあたり4 kg前後のケイ素が添加されるほか、ケイ素合金として製鉄脱酸素剤に用いられる。そのほかに、ケイ素を混ぜた鋼板(ケイ素鋼板)は、うず電流による損失が少なくなるため、変圧器に使われている。アルミニウム工業の分野でもケイ素の合金が使われている。また、鉛レス黄銅にも添加される。

ケイ素含有セラミックス類

ケイ素の酸化物(シリカ)を原料とするガラスは、などで使われるほか、繊維状にしたグラスウール断熱材や吸音材としても用途がある。ゼオライトは、イオン交換体、吸着剤あるいは、有機化学工業における触媒ともなっている。シリカゲルは、非常に利用しやすい乾燥剤になる。

炭化ケイ素は、耐火材や抵抗体として使われたり、高いモース硬度(9.5)を持つために研磨剤として使われたりする。そのほかのケイ素化合物として、アルミノケイ酸塩粘土に含まれ、陶器セメント煉瓦などセラミックスと呼ばれる材料の主成分になっているほか、カルシウム化合物を除去する働きから、の精製に使われるなどしている。

アボガドロ定数の決定

ケイ素の単結晶は半導体材料として工業上重要であるため、もっとも高純度・低欠陥な結晶が実現されている材料のひとつである。このことから、28Siのほぼ無欠陥な単結晶により真球を作成し、この真球からアボガドロ定数の正確な値と、1 キログラムを構成するのに必要な原子の個数を決定する試みが行われた[9]。2019年5月20日よりアボガドロ定数は6.02214076×1023 mol−1という定義値として施行されることになった。

機械式時計の部品

ケイ素はと違って軽いうえ磁性を帯びないため、機械式時計の部品(ゼンマイ、ガンギ車など)の素材としても用いられるようになっている。最初に実用化に成功したのはスイスユリス・ナルダンの『フリーク』(2001年)[10]で、以降スイスの高級時計メーカーで採用が進められている。日本では、2021年セイコーエプソンがプリンターヘッドの製造技術を応用し、「オリエントスター」ブランドで初めて発売に踏み切った[11]

ただし、製造にはLIGAMEMSなど高度な成型技術が必要なうえ、壊れやすいため歩留り率が低いなど、実用化されてから日が浅いため欠点や不明な点が多く、採用しないメーカーも多い。

ケイ酸塩・ケイ素樹脂

前述のように、ケイ酸塩はさまざまな形で地殻上に存在しており、天然に存在するケイ素化合物のほとんどが、二酸化ケイ素およびケイ酸塩である。工業的にも広く用いられ、ガラス、陶磁器、肥料など、枚挙に暇がない。

アスベストは、繊維状のケイ酸塩鉱物であり、耐薬品性や耐火性から以前は建材などに広く用いられたが、中皮腫が問題になったため、使用量は激減している。日本でもアスベストによる健康被害が社会問題となり、労災認定や健康被害を受けた人に対しての補償問題、また、依然として既存建築物に多く残るアスベストの撤去問題を抱える。

有機基を有するケイ素二次元および三次元酸化物は、シリコーンと呼ばれる。このものは、優れた耐熱性、耐薬品性、低い毒性などの有用な性質を示し、油状のものはワックス熱媒体消泡剤などに用いられる。三次元シリコーンはゴム弾性を示し、ゴム状のものはホースやチューブ、樹脂状のものは塗料絶縁材、接着剤など各種の用途に利用される。

製法

原料

工業用ケイ素の主原料は、SiO2からなる二酸化ケイ素珪石石英、シリカとも)である。日本国内の埋蔵量は2億トンあるとされるが、アルミニウムと同様、酸化物から還元するには大量の電力を必要とするため、金属シリコンの状態になってから輸入するのが一般的である。

世界の二酸化ケイ素の埋蔵量はきわめて潤沢であり、高純度のものも世界に広く分布する[12]二酸化ケイ素#埋蔵量を参照。

精製

金属グレードシリコン(MG-Si)
英語で"metallurgical-grade silicon" (MG-Si)と呼ばれる。直訳で「冶金グレードシリコン」であるが、日本語で金属グレードシリコンや金属シリコンと呼ばれることもある[13]
ケイ素の単体はカーボン電極を使用したアーク炉を用いて、二酸化ケイ素を還元して得る。この際、精製されたケイ素は純度99 %程度のものである。

外部リンク


ケイ素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 04:16 UTC 版)

栄養素 (植物)」の記事における「ケイ素」の解説

植物吸収するケイ素の形態は、電荷もたない中性分子として土壌溶液中に溶け込んでいるケイ酸である。この溶解性ケイ酸はpH9以下で現れ土壌溶液中に0.1〜0.6mM程度存在する。pH9以上になると、電荷持ったケイ酸塩となる。また、ケイ酸濃度が2mM以上となると重合してシリカとなる。ケイ酸溶出元は、土壌中に豊富な二酸化ケイ素である。これは、岩石主成分として土壌質量の50-70%を占める。 植物地上部のケイ素含有率(% dry wt植物ケイ素含有率稲3.91 小麦1.54 カボチャ1.34 ズッキーニ1.98 ひよこ豆0.30 キュウリ2.29 トウモロコシ2.10 植物にとってのケイ素の重要性説明する前に植物中のケイ素の存在量説明する。ケイ素は、土に根を下ろす全ての植物含まれており、その含有量植物種によって大きく異なる(下表)。被子植物ではイネ科とカヤツリグサ科が特に高い。双子葉植物では、ウリ科イラクサ科除いて低い。身近な植物では竹やトウモロコシトクサがケイ素集積植物である。これらの集積能力違いは、後述する根のケイ素吸収能力違い起因するケイ酸含量に基づき植物は以下の3つのグループ分類されるケイ酸含量10-15% ― 湿地イネ科水稲スギナケイ酸含量1-3% ― 乾燥イネ科サトウキビ穀物のほとんど、双子葉植物いくつかケイ酸含量0.5%以下 ― 双子葉植物のほとんど、特にマメ科植物 次に、ケイ素の必須性を概略的説明する。必要とする植物限られており、サトウキビトクサ科植物などである。しかし、必須ではなくとも、多く植物種適正な量を与えるとその成長促進する。その効果生物的非生物ストレスの軽減および光合成促進である。下にまとめる。 生物的ストレス耐性病害耐性稲のいもち病胴枯れ病、紋病、褐斑病など キュウリ大麦小麦うどん粉病 サトウキビ輪紋ササゲさび病 虫害耐性 (ニカメイガウンカなど) 化学ストレス緩和金属毒性の緩和AlCd、As、MnFeなど) 栄養素過不足改善窒素過剰リン不足など) 塩ストレス緩和 物理ストレス緩和倒伏防止 高温および低温耐性の向上 霜害防止 乾燥耐性の向上 放射線耐性の向上 光合成促進垂れ下がり防止直立、英: leaf erectness)による、の受光姿勢改善および他の個体対す遮光防止 これらの効果は、ケイ素を多く集積する植物顕著に現れる一方で、あまり集積しない植物では現れにくい。光合成促進効果は、窒素多量投入かつ密植集約栽培する場合に特に顕著となる。以下にケイ素の効果各論説明する病害・虫耐性上の仕組み2つ提唱されている。一つは、ケイ素が組織沈積し物理的な障壁[ 英: physical barrier]を形成して糸状菌害虫侵入を防ぐというものであるもう一つは、植物体内溶け込んでいるケイ酸抗菌性物質フェノール化合物ファイトアレキシンなど)の生産抗菌性酵素キチン分解酵素過酸化酵素ポリフェノール酸化酵素など)の活性高めるというものである。この仮説の中でケイ酸は、病原菌対す宿主植物応答促進させる役目を担う。 物理的ストレス耐性の向上は、ケイ素が植物体内沈積することによる沈積の稈壁の厚さ維管束太さ増加させ、また、クチクラ蒸散抑制して乾燥を防ぐ。これらの働きは稲の場合典型的に効果的である。収穫期台風による倒伏減少させるまた、特にもみ殻の過蒸散抑える効果があるため、沈積量が少ないと白穂が発生しやすい。 マンガン過剰の緩和イネ大麦、豆、カボチャで見いだされた。このマンガンストレスの軽減機構植物種によって異なる。稲では、ケイ酸が根の酸化力向上させることによってマンガン過剰な吸収抑える大麦と豆においてはケイ酸マンガン吸収影響しないが、体内マンガン濃度均一化させる。カボチャでは、体内マンガン不活性部位毛茸)に局在化させることで、マンガン過剰害を回避させる。 マンガンアルミニウムナトリウムの害、およびリン欠乏過剰緩和するケイ酸土壌溶液中のアルミニウムイオンと結合し植物へと吸収されないようにしている。ナトリウム取り込み防止は、ケイ素沈積による蒸散量の減少によると考えられている。稲ではリン欠乏している場合ケイ酸リン吸収直接影響しないが、リン酸欠乏しやすい鉄マンガン吸収抑えることで間接的に体内リン有効度高める。リン酸過剰では、ケイ酸リン酸吸収抑える続いて、ケイ素の肥料としての側面紹介する上述たようにケイ素は植物体を強化する加えて、根の重量密度高めとともに植物の成長生理活性を向上させ、作物バイオマス収量改善させることも見出されている。このため多くの国で肥料として重要視されている。例えば、日本1955年世界で初めてケイ素を、稲の安定収量重要な必須栄養素認定した米国飼料検査官協会(英: Association of American Plant Food Control Officials)(AAPFCO)は2006年にケイ素の植物有用物質としての等級上げた。 ケイ素は、土壌中に存在する元素の中で唯一過剰害を引き起こさない。これは、植物通常生育可能なpH(pH9以下)において、電荷持たない分子であるためと、ケイ素濃度が2mMを超える重合して植物吸収されなくなるためである。このため過剰害を引き起こす他の元素のように、電荷持った塩として、細胞内に高浸透圧作り出した生体分子結合したりしない次に植物体内のケイ素の生理学的挙動を、根の吸収から地上部組織への分配植物成長への寄与まで順を追って説明する。まず、根によるケイ酸吸収である。その機構には、積極的な吸収受動的な吸収がある。また、これとは別に体内ケイ酸排出する仕組みもある。これらの機構有無植物によって異なる。稲は積極的に吸収し培地溶液ケイ酸濃度素早く減少させるキュウリ受動的に吸収し培地中の濃度はほとんど変わらないトマト排除機構持ち水の吸収に伴いケイ酸濃度上昇させる。ただし、これら3つの植物において、根のケイ酸輸送体ケイ酸への親和性同程度である。取り込み最大速度は稲>キュウリ>トマトであり、この違いは、細胞当たりの輸送体発現量の違い起因する加えて稲は、導管中のケイ酸濃度外部より濃縮されていたのに対しキュウリトマトではより低かった。稲は、体内での導管へのケイ酸輸送能動的に行うことができると予想されている。 根のケイ酸輸送体として、稲と大麦トウモロコシでLsi1とLsi2の2つ発見されている。ケイ酸吸収欠損変異体lsi1(low silicon 1)から同定されたLsi1は、細胞の外から中へと輸送する。根の外皮内皮の両層において、細胞遠心側に局在する。アクアポリンと同じファミリー属する。一方、Lsi2は内から外に向けて働き外皮内皮の向心側に局在する。陰イオン輸送体似た構造を持つ。2つ輸送体一次構造には全く相動性見られない共通する点は、主に根、特に基部での発現が多いことと、主根側根発現するが、根毛がある表皮細胞には表れないことである。これらの発現事情は根でのケイ酸吸収に関する生理学的実験結果吸収量は先端よりも基部でより多い、かつ、吸収に対して根毛による寄与がない―と一致する次に、根のケイ酸輸送体により吸収されケイ酸導管地上部へと運ばれる機構説明する。この運搬過程において興味深い点は、導管中のケイ酸濃度が20mM以上に達す事実である。これは、ケイ酸重合して不溶性シリカゲル変化する飽和濃度常温で2mM)を大きく上回る。しかし、導管内のケイ素の形態は単分子ケイ酸のみである。飽和濃度上で重合起こらない理由は、濃縮輸送過程が素早いためだと考えられている。 地上部へと運ばれた後、導管中のケイ酸などの組織分配されるこの分配を担うのは、導管中に分布する外向き輸送体のLsi6である。Lsi6は前述のLsi1の相同遺伝子であり、稲とトウモロコシ発見された。葉鞘葉身導管隣接する木部柔組織発現し導管面して偏在する。 Lsi6を介して地上部組織もみ殻果実表面など)に分配されたケイ素は、蒸散に従って濃縮され重合して非晶性で不定形シリカとなる。植物体内のケイ素の95%以上はこのシリカとして存在するシリカは、クチクラ層直下アポプラストクチクラ-シリカ二重層)や機動細胞、短細胞、長細胞などの細胞沈積することが稲の葉身においてわかっている。細胞中では小胞体細胞壁細胞間隙沈着する。その後ポリフェノール複合体形成し細胞壁構成するリグニン置き換わる。いったん沈積したケイ素はほとんど再移動しない。こうして、細胞壁をより頑強にする。 イネ科植物のケイ細胞植物オパールとして知られ枯死後も土壌残留する植物オパール植物種ごとに特徴的な形をしているため、考古学ではその土地生えていた植物推測するための手掛かりとなる。

※この「ケイ素」の解説は、「栄養素 (植物)」の解説の一部です。
「ケイ素」を含む「栄養素 (植物)」の記事については、「栄養素 (植物)」の概要を参照ください。

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ケイ素

出典:『Wiktionary』 (2018/07/01 21:06 UTC 版)

名詞

ケイ素(けいそ)

  1. 珪素参照日本化学会によって決定され日本物理学会承認した元素としての名称。

「ケイ素」の例文・使い方・用例・文例



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