第15族元素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 07:43 UTC 版)
![]() |
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2022年12月)
|
族 | ← 15 → |
周期 | |
2 | 7 N |
3 | 15 P |
4 | 33 As |
5 | 51 Sb |
6 | 83 Bi |
7 | 115 Mc |
第15族元素(だいじゅうごぞくげんそ)は、周期表において第15族に属する窒素・リン・ヒ素・アンチモン・ビスマス・モスコビウムのこと。窒素族元素、V族元素(ごぞくげんそ)、プニクトゲン (またはニクトゲン、pnictogen)とよばれることもある。プニクトゲンの名はギリシャ語のπνίγειν(pnigein)が語源で、窒素の特性である「窒息する」を意味する。
15族は窒素族とも呼ばれるが、特にプニクトゲンと呼ぶ場合は窒素(N)を除外する。これは窒素が非金属であるのに対し、他の元素(P、As、Sb、Bi)は半金属元素であり特性が異なるためである。
これらの単体は古くから知られており、ヒ素、アンチモン、ビスマスは近代以前に知られていた。リンが17世紀、窒素は18世紀の発見である。
性質
第15族元素は価電子に ns2np3 の5電子を持つ電子構造を有する。
窒素![]() 第15族元素単体のうち、窒素のみが常温で気体であり、ほかは固体である。また窒素とリンの価電子は混成軌道を形成し、共有結合物質として振舞う。一方、第4周期のヒ素より周期の大きい単体は、共有結合性と金属との性質を併せ持つ物性を示し半金属と呼ばれる。これらのヒ素、アンチモン、ビスマスは混成軌道を形成するよりは、2つの電子が占有したs軌道と、3つの1つずつ電子が存在するp軌道として振舞うので、酸化数は+3と+5が安定である。 第15族元素の一部は炎色反応を示す。
第15族元素は半導体デバイスにおいて重要な役割を演じる。第14族元素の真性半導体に対して、第15族元素と第13族元素の化合物から形成される半導体をIII-V族半導体と呼ぶ。III-V族半導体のバンドギャップは可視光領域に相当するため、発光ダイオード・半導体レーザーなど光デバイスの素材として重要である。また、真性半導体に第15族元素を微量ドーピングすることでN型半導体を形成する。 水素化物第15族元素は一般式 MH3 で示される水素化物を形成する。いずれの水素化物も三角錐状の構造をとるが、アンモニアのみが傾向よりも高い沸点を示し、水素結合を形成する性質を有する。 水素化物の種類酸化物窒素とリンは多様な酸化状態を持つ酸化物を形成するが、窒素は酸化数が大きいほど自由エネルギーが大きく不安定であり、酸化数0の単体窒素が最も自由エネルギーが小さくて安定な為、窒素酸化物は酸化剤として利用されるものが多い。一方、リンの酸化物はいずれも単体リンよりも自由エネルギーが小さく、酸化数が大きいものほど自由エネルギーが小さくて安定である。それゆえリンの酸化物は酸化剤としては利用されない。 一方、ヒ素、アンチモン、ビスマスは酸化数+5に比べ+3が安定化しているので、いずれも一般式 M2O3 で表される酸化物が安定である。 ハロゲン化物第15族元素は一般式 MX3 もしくは MX5 で表されるハロゲン化物などを生成する。
リンのハロゲン化物は、有機化学においてヒドロキシ基、カルボン酸を相当するハロゲン基、酸ハロゲン化物に変換する試薬として利用される。 関連項目
|
---|
第15族元素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 16:47 UTC 版)
元素イオン色化合物の例化学的性質N NH4+ 無色 NH4Cl NH4+ + OH- ↔ NH3·H2O ↔ NH3 + H2O固体のアンモニウム塩は熱分解しやすい。 N3- Li3N 水によって分解する。 N3− 無色 NaN3 2 N3− + Pb2+ → Pb(N3)2↓ NH3OH+ (NH3OH)Cl N2H5+ N2H5Cl N2H62+ 激しく加水分解する。 NH2− NaNH2 水と激しく反応する。 NO+ NOClF2 NO2+ NO2SbF6 NO2− NaNO2 常温では酸によって分解される。 NO3− NaNO3 NF4+ 無色 (NF4)2GeF6 水によって分解する。NiF62-塩は新紅色の固体である。 NHClO3− NH4[NHClO3] NR4+ 一般的に無色 第四級アンモニウムカチオン アルカリによって分解する。 P PH4+ 無色 PH4I 不安定 P3- Li3P 水によって分解する。 P73- Sr3P14 P113- Na3P11 P162− (Ph4P)2P16 P64− K4P6 P24- CaP 加水分解によってP2H4が生じる。 P15− KP15 水に不溶 H2PO2− KH2PO2 強い還元性H2PO2− + OH− → HPO32− + H2↑ HPO32- K2HPO3 HPO3− + OH− → PO43− + H2↑ H2PO3− NaH2PO3 H2P2O52- Na2H2P2O5 H2P2O62− Na2H2P2O6 [HP2O6]3- H3[HP2O6] PO3− 無色 P3O105− Na5P3O10 溶液は徐々に加水分解する。 P4O136− Na6P4O13 PO43- 無色 Na3PO4 HPO42- 無色 Na2HPO4 H2PO4− 無色 NaH2PO4 P2O74- 無色 Na4P2O7 PhPO32− Na2PhPO3 PSO33- Na3PSO3 PS43- Zn3(PS4)2 [PF6]- 無色 KPF6 配位能力は非常に弱い [PCl4]+ 固体のPCl5[PCl4][AlCl4] [PCl6]− 固体のPCl5 [PBr4]+ 固体のPBr5 [PI4]+ PI5溶液 As AsH2− 無色 NaAsH2 AsH4+ 無色 AsH4SbF6 As3- Na3As 水によって分解する。 As3+ (As(III)と表せる。)強酸性環境に存在 AsO2− 無色 NaAsO2 AsO33− 無色 Na3AsO3 (CH3)2AsO2− H2AsO4− NaH2AsO4 HAsO42- AsO43- Na3AsO4 H2AsO3− H2AsO3− + 3 Ag+ → Ag3AsO3↓(黄色) + 2 H+ [As(OH)4]− 無色 Na[As(OH)4] [AsCl2]+ [AsCl2][FeCl4] [AsCl4]− [Me4N][AsCl4] [AsF6]− Cl[AsF6]3 アルカリ性環境中では安定。酸によって加水分解し、[AsF5OH]−が生じる。 [AsF5OH]− H[AsF5OH] As3S4+ 黄色 As3Se4+ 橙色 As4S62- [PiPH]2[As4S6] As2Se62- 橙色 [Na(Crypt)]2[As2Se6] AsS33- AsS43- Sb Sb3- Li3Sb Sb4H+ SbH4+ SbH4SbF6 Sb3+ 無色 酸性環境中で存在。 Sb5+ 酸性環境中で存在。 SbCl2+ SbCl4− KSbCl4 SbF6− KSbF6 SbCl6− [Ph3PCl][SbCl6] [SbO(C4H4O6)]− K[SbO(C4H4O6)] [Sb(C4H4O6)2]− [Sb(C2O4)2]− SbO2− NaSbO2 SbO33- Na2Sb4O7 Sb4O72- [Sb(OH)4]− [Sb(OH)6]- 無色 [Mg(H2O)6][Sb(OH)6]2 SbO43- 無色 AlSbO4 SbO3− NaSbO3 Sb2O74- Cd2Sb2O7 SbS33- SbS43- Na3SbS4 Bi Bi3- Li3Bi Bi23- Ba3Bi2 Bi+ BiAlCl4 Bi53+ Bi5(AsF6)3 Bi82+ Bi95+ Bi24Cl28 Bi3+ 無色 Bi(NO3)3 ([Bi6O6]6+または[Bi6(OH)12]6+の略記である。)酸性環境中で存在。 [Bi(H2O)8]3+ 無色 BiCl52- Bi2Cl82- Bi2I93- Cs3Bi2I9 BiS2− KBiS2 [Bi(NO3)4]−
※この「第15族元素」の解説は、「イオンの一覧」の解説の一部です。
「第15族元素」を含む「イオンの一覧」の記事については、「イオンの一覧」の概要を参照ください。
- 第15族元素のページへのリンク