三塩化アンチモン

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トリクロロスチビン

分子式：	Cl3Sb
その他の名称：	塩化アンチモン(III)、三塩化アンチモン、Butter of antimony、アンチモンバター、Antimonous chloride、Antimony(III) trichloride、Antimony trichloride、塩化第一アンチモン、Antimony(III) chloride、Trichlorostibine
体系名：	トリクロロアンチモン、アンチモン(III)トリクロリド、アンチモントリクロリド、トリクロロスチビン

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三塩化アンチモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/07/07 01:02 UTC 版)

三塩化アンチモン
優先IUPAC名 Antimony trichloride
系統名 Trichlorostibane
別称 Antimony(III) chloride, Butter of antimony, Antimonous chloride, Stibous chloride, Trichlorostibine
識別情報
CAS登録番号	10025-91-9
3D model (JSmol)	Interactive image
ChEBI	CHEBI:74856
ChemSpider	23199
ECHA InfoCard	100.030.031
EC番号	233-047-2
KEGG	C15235
MeSH	Antimony+trichloride
PubChem CID	24814
RTECS number	CC4900000
UNII	J281401KK3
国連/北米番号	1733
CompTox Dashboard (EPA)	DTXSID4044161
InChI InChI=1S/3ClH.Sb/h3*1H;/q;;;+3/p-3  Key: FAPDDOBMIUGHIN-UHFFFAOYSA-K  InChI=1S/3ClH.Sb/h3*1H;/q;;;+3/p-3 Key: FAPDDOBMIUGHIN-UHFFFAOYSA-K InChI=1/3ClH.Sb/h3*1H;/q;;;+3/p-3 Key: FAPDDOBMIUGHIN-DFZHHIFOAK
SMILES Cl[Sb](Cl)Cl
特性
化学式	Cl3Sb
モル質量	228.12 g mol−1
外観	無色の固体、高吸湿性
匂い	刺激臭
密度	3.14 g/cm3 (25 °C) 2.51 g/cm3 (150 °C)
融点	73.4 °C, 347 K, 164 °F
沸点	223.5 °C, 497 K, 434 °F
水への溶解度	601.1 g/100 ml (0 °C) 985.1 g/100 mL (25 °C) 1.357 kg/100 mL (40 °C)
溶解度	アセトン、エタノール、ジクロロメタン、フェニル化合物、エーテル、ジオキサン、二硫化炭素、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、オキシ塩化セレン(IV)に溶ける ピリジン、キノリン、有機塩基に溶けない
酢酸への溶解度	143.9 g/100 g (0 °C) 205.8 g/100 g (10 °C) 440.5 g/100 g (25 °C) 693.7 g/100 g (45 °C)
アセトンへの溶解度	537.6 g/100 g (18 °C)
塩化ベンゾイルへの溶解度	139.2 g/100 g (15 °C) 169.5 g/100 g (25 °C) 2.76 kg/100 g (70 °C)
塩酸への溶解度	20 °C: 8.954 g/ g (4.63% w/w) 8.576 g/ g (14.4% w/w) 7.898 g/ g (36.7% w/w)
シメンへの溶解度	69.5 g/100 g (-3.5 °C) 85.5 g/100 g (10 °C) 150 g/100 g (30 °C) 2.17 kg/100 g (70 °C)
蒸気圧	13.33 Pa (18.1 °C) 0.15 kPa (50 °C) 2.6 kPa (100 °C)
磁化率	−86.7·10−6 cm3/mol
屈折率 (nD)	1.46
構造
結晶構造	直方晶系
双極子モーメント	3.93 D (20 °C)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo	−381.2 kJ/mol
標準モルエントロピー So	110.5 J/mol·K
標準定圧モル比熱, Cpo	183.3 J/mol·K
危険性
GHS表示:
絵表示
重要な用語	Danger
危険性報告	H314, H411
予防報告	P273, P280, P305+351+338, P310
NFPA 704（ファイア・ダイアモンド）	2 0 1
引火点	不燃性
致死量または濃度 (LD, LC)
半数致死量 LD50	525 mg/kg (経口, ラット)
NIOSH（米国の健康曝露限度）:
PEL	TWA 0.5 mg/m3 (as Sb)
REL	TWA 0.5 mg/m3 (as Sb)
安全データシート (SDS)	ICSC 1224
関連する物質
その他の 陰イオン	三フッ化アンチモン 三臭化アンチモン 三ヨウ化アンチモン
その他の 陽イオン	三塩化窒素 三塩化リン 三塩化ヒ素 塩化ビスマス
関連物質	五塩化アンチモン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

三塩化アンチモン（さんえんかアンチモン）は、化学式が SbCl₃ で表される無機化合物である。

合成

金属アンチモンに乾いた塩素ガスを作用させると得られる。

${\ce {2Sb\ + 3 Cl2 -> 2SbCl3}}$

性質

錬金術師たちは「アンチモンのバター (butter of antimony)」と呼んでいた。常温常圧下では無色の柔らかい固体で、刺激性の悪臭を持つ。ジクロロメタン、ベンゼン、アセトンに可溶。水に触れると加水分解し、塩化水素を発生しながらオキシ塩化アンチモンとなる。

${\ce {SbCl3\ + H2O -> SbOCl\ + 2HCl}}$

ルイス酸としての性質を示し、塩化物イオン ${\ce {Cl^-}}$ と反応して付加体 ${\ce {[SbCl5]^{2-}}}$ を作る。この錯体のブチルアンモニウム塩は固体状態で、ジグザグ状に −Cl−Sb−Cl−Sb−構造が連なった構造をとる。

ビタミンAや類似のカロテノイドの検出試薬として用いられ、その方法はカール・プライス反応 (Carr-Price reaction) あるいはカール・プライス試験と呼ばれる。塩化アンチモン(III) はカロテノイドと反応させると青色の錯体を形成するので、これを比色分析によって測定する。

関連項目

• 塩化物
• アンチモン