炭素以外のキラル中心
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 23:06 UTC 版)
炭素原子以外でも、4 本の単結合で正四面体のほぼ頂点に位置する原子と結合する原子なら同様なことが成り立つ。例えば、炭素と同じく周期表で第14族元素のケイ素・ゲルマニウム・鉛はキラル中心になりうる。またアンモニウムも同様にキラル中心になりうる。 周期表で第15族元素の窒素やリンは通常 3 本の共有結合しか持たないが、4本目の結合の代わりに孤立電子対を持ち、3個の単結合原子と1個の孤立電子対が正四面体のほぼ頂点に位置するので、キラル中心となりうる。しかしこれらの原子は、3個の単結合原子が同一平面となる遷移状態を経て、傘が裏返るようなピラミッド型分子の立体反転を起こし、エナンチオマー間の交換が起こる。通常のアミンの窒素原子では、このような立体反転の障壁が低く交換速度が速いため不斉原子とはならないが、ホスフィンのリン原子では立体反転の障壁が高くエナンチオマーが単離できる。 錯体には中心金属原子周りの配位子の配置による立体異性体が存在するものがあり、エナンチオマーが存在する錯体では中心金属原子が不斉中心となる。
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