炭素サテライトとスピニングサイドバンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/09 07:20 UTC 版)
「プロトン核磁気共鳴」の記事における「炭素サテライトとスピニングサイドバンド」の解説
ときどき、小さなピークがメインの1H NMRのピークの肩に乗っかることがある。これらのピークはプロトンとプロトンのカップリングによるものではなく、1H原子と隣接する炭素13 (13C)原子のカップリングによるものである。これらは炭素サテライト(英語版)と呼ばれる。これらはピークの大きさが小さく、衛星のように1Hの周りに現れるのでこう呼ばれる。炭素サテライトが小さいのはひとえにサンプルの中でNMRに反応する13Cの同位体が非常に少ないからである。スピンが1/2である単一の原子核のカップリングと同様に、13Cに結合するプロトンのピークは二重線である。13Cよりもずっと多い12Cに結合しているプロトンのピークは分裂しないので、強度が大きい単一線となる。結果として13Cに結合するプロトンのピークは均等に分かれた小さなピークがメインのピークの周りに現れるというものになる。もしプロトンのピークがすでにH-Hカップリングなどで分裂していた場合、それぞれのサテライトもそのカップリングを反映する(カップリングの相手が異なるために分裂パターンが複雑になっている場合も同様)。他のNMR活性核種もこのようなサテライトを形成しうるが、炭素は有機化合物に最も多く含まれている化合物であるためNMRスペクトルではもっとも一般的に見られるサテライトの原因である。 また「スピニングサイドバンド」として知られるピークが1Hのピークの周囲に見られることがある。これはNMR管のスピンに関連するピークである。これらは分光分析実験におけるアーティファクトであり、対象とする化学物質のスペクトルに内在する特性ではなく、化学物質またはその構造にさえも特に関連はない。 炭素サテライトとスピニングサイドバンドは不純物のピークと混同されてはならない。
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