炭素同位体比の急変とは? わかりやすく解説

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炭素同位体比の急変

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 17:02 UTC 版)

P-T境界」の記事における「炭素同位体比の急変」の解説

P-T境界大絶滅同時に地上海中において堆積した炭酸塩岩中の炭素同位体比が急変したことが確認されている。地球炭素質量数12の12Cと質量数13の13Cが約99:1の比率存在しているが、この炭素同位体比率測定すると、空中二酸化炭素生物体内有機物など存在する所によって微妙に異なっている。地質年代起こった出来事分析するのにこの炭素同位体比を比較する手法最近重要視されている。同位体比標準物質の13C比率との偏差千分率(‰)で表され一般にδ13C と表記される同位体比変化する原因生物活動よる。光合成生物大気中の二酸化炭素固定する際に12Cをより多く取り入れるため、植物植物食べた動物のδ13Cは元の二酸化炭素より低い値(-20から-25‰)をとる。生物死後分解されずに地中埋没すると、その分だけ大気の12Cが減ってδ13Cがプラス側に推移する生物死骸変化してできた石炭石油天然ガス主成分メタン)、メタンハイドレート等のδ13Cの値も大きなマイナス値を示す。海洋堆積する石灰岩は、化学的に堆積したものも生物活動由来するもの大気中の二酸化炭素原料として作られるため、石灰岩のδ13Cの変化は、大気中の二酸化炭素のそれを反映している。ペルム紀後期石灰岩のδ13Cはほぼ3-4‰で安定していたが、P-T境界急激に低下し-2‰の値をとり、三畳紀初頭0-1‰まで回復する。この変動ピークは2回あり急激な変動の期間は約16万年見積もられている。この急激なδ13Cの変化大気中の二酸化炭素変化を示すもので、必然的に地球全体同時に生起した。海中以外でも陸上P-T境界地層同様の変動記録されており大絶滅地上でも同時に起こったことの証拠とされ、またP-T境界地層特定するための指標として使われている。この急激なδ13Cの低下原因については、生物起源有機物空中への大量放出や、光合成生物激減による炭素分別停止などが考えられる今まで下記のような仮説提出されているがどの仮説決定的な証拠出ていない。 温暖化に伴うメタンハイドレート大量放出 当時大量に石炭堆積していたシベリア洪水玄武岩流出した結果発生した石炭分解・燃焼 全世界地上草木激減して土壌露出流出し土壌中の有機物酸化された 植物死滅してしまい光合成長期間低下した結果大気中の二酸化炭素のδ13C値が火山ガスの値に近づいた なおメタン発生に関しては、微生物働きによるとする意見もある。

※この「炭素同位体比の急変」の解説は、「P-T境界」の解説の一部です。
「炭素同位体比の急変」を含む「P-T境界」の記事については、「P-T境界」の概要を参照ください。

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