不斉中心とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 生物学用語 > 不斉中心の意味・解説 

不斉炭素

同義/類義語:キラル炭素, 不斉炭素原子, 不斉中心
英訳・(英)同義/類義語:chiral carbon, asymmetric center

構造有機化学で、4個の異なる基(分子団)と共有結合した炭素原子光学異性原因となる

キラル中心

(不斉中心 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/25 18:10 UTC 版)

キラル中心(キラルちゅうしん、: Stereocenter)とは、分子キラリティーを生じさせる元となる原子をいう[1]不斉原子(ふせいげんし)または不斉中心(ふせいちゅうしん)ともいう。

最も多く見られるキラル中心は、異なる 4 つの原子または置換基共有結合している炭素(不斉炭素原子[2])である。かつて当用漢字時代には不整(ふせい)という字が当てられたことがあり[3]、不整という表記が残っている辞書[4]もある。常用漢字には斉の字が追加されたので、再び不斉が使われることになった。

キラル中心とキラリティー

炭素原子には最大4個の原子が共有結合でき、このとき、4本の結合は全て単結合であり、4個の原子は炭素原子を中心とする正四面体のほぼ頂点に位置する。このとき4個の置換基が全て鏡映対称であれば、この分子の鏡像同士はどう移動させても重ね合わせられない(図1A)。すなわちこの分子はキラルであり、その鏡像同士は互いにエナンチオマーである。

不斉炭素原子は分子がキラルとなるひとつの要因だが、必要条件でも十分条件でもない。例えば図1Bのように、4個の置換基のうち2個は鏡映対称で2個は一対の鏡像であれば、この分子の鏡像同士は重ね合わせることができてキラルではない。不斉原子を複数持つメソ化合物もキラルではない。また、アレン誘導体のように、不斉炭素原子を持たないがキラルな分子もある。

炭素以外のキラル中心

炭素原子以外でも、4 本の単結合で正四面体のほぼ頂点に位置する原子と結合する原子なら同様なことが成り立つ。例えば、炭素と同じく周期表第14族元素ケイ素ゲルマニウムはキラル中心になりうる。またアンモニウムも同様にキラル中心になりうる。

周期表第15族元素窒素リンは通常 3 本の共有結合しか持たないが、4本目の結合の代わりに孤立電子対を持ち、3個の単結合原子と1個の孤立電子対が正四面体のほぼ頂点に位置するので、キラル中心となりうる。しかしこれらの原子は、3個の単結合原子が同一平面となる遷移状態を経て、傘が裏返るようなピラミッド型分子の立体反転を起こし、エナンチオマー間の交換が起こる。通常のアミンの窒素原子では、このような立体反転の障壁が低く交換速度が速いため不斉原子とはならないが、ホスフィンのリン原子では立体反転の障壁が高くエナンチオマーが単離できる。

錯体には中心金属原子周りの配位子の配置による立体異性体が存在するものがあり、エナンチオマーが存在する錯体では中心金属原子が不斉中心となる。

キラル中心とジアステレオマー

n個の不斉原子を持つ分子中には、重なりを無視すれば2n個の立体異性体が考えられる。これらの立体異性体の中で互いに鏡像となる対は、互いにエナンチオマーであり、互いに鏡像ではない対は互いにジアステレオマーである。しかしジアステレオマーの定義はエナンチオマー以外の立体異性体であり、複数の不斉原子を持たないジアステレオマーもありうる。

関連項目

参考文献

  1. ^ Chemistry (IUPAC), The International Union of Pure and Applied. “IUPAC - chirality centre (C01060)”. goldbook.iupac.org. 2023年10月15日閲覧。
  2. ^ http://goldbook.iupac.org/A00479.html IUPAC Gold Book - asymmetric carbon atom]
  3. ^ 日本化学会(編)「標準-化学用語辞典-第2版」丸善(2005/03,初版1991/03)
  4. ^ 化学大辞典編集委員会(編)「化学大辞典-第3版」共立(2001/09,初版1960/09)

外部リンク


不斉中心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 03:08 UTC 版)

キラリティー」の記事における「不斉中心」の解説

その4つの単結合置換基全て異な炭素原子不斉炭素呼び不斉炭素を持つ分子キラルになることが多い。例え不斉炭素置換基全てアキラルであればこの分子はキラルである。不斉炭素置換基のうち2個が互いに対掌体であればこの分子はアキラルである。炭素以外の原子でも置換基がほぼ正四面体結合すれば同じことであり、炭素限定しない場合は不斉中心と呼ぶ。

※この「不斉中心」の解説は、「キラリティー」の解説の一部です。
「不斉中心」を含む「キラリティー」の記事については、「キラリティー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「不斉中心」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「不斉中心」の関連用語

不斉中心のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



不斉中心のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
JabionJabion
Copyright (C) 2025 NII,NIG,TUS. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキラル中心 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのキラリティー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS