速度論的光学分割とは? わかりやすく解説

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速度論的光学分割

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/28 21:19 UTC 版)

速度論的光学分割(そくどろんてきこうがくぶんかつ)または キネティックレゾリューション (kinetic resolution) とは、不斉合成光学分割の手法のひとつ。1組のエナンチオマーのそれぞれで反応速度が異なる不斉反応を利用し、反応性の低いほうのエナンチオマーを未反応のままで残す手法[1]。残るエナンチオマーの鏡像体過剰率 (ee) は反応が進行するにしたがい上がっていくが、反応が完全に進行すると基質自体が消失してしまう。速度論的光学分割の概念は有機化学の中でも古くより用いられてきた。しかし、古典的な速度論的光学分割法は他の手法で置き換えられつつある。

速度論的光学分割は 1899年に Marckwald と McKenzie によって最初に観察された[2]。彼らは、マンデル酸ラセミ体を光学活性な (-)-メントールとエステル化させてジアステレオマーのエステルを得る反応で速度論的光学分割を観測した。

この反応では、R体、S体のマンデル酸のうち R体がより速い速度で (-)-メントールとエステルを作った。そのため、反応を途中で止めたとき、未反応のマンデル酸には S体が R体よりも多く残っていた。そしてそのとき生じているエステルを取り出し加水分解した成分にはマンデル酸の R体がより多く含まれていた。エステル化が完全に進行した段階では、生成物は再び 1:1 のジアステレオマー混合物となる。

脚注

  1. ^ Ari Koskinen, Asymmetric Synthesis of Natural Products, Wiley, 1993. ISBN 0-471-93848-3
  2. ^ Marckwald, W.; McKenzie, A. Ber. Deutsch. Chem. Ges. 1900, 33, 208-210.

速度論的光学分割

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/25 07:13 UTC 版)

シャープレス酸化」の記事における「速度論的光学分割」の解説

香月・シャープレスエポキシ化は2級2,3-エポキシアルコールのラセミ混合物の速度論的光学分割を与えることもできるそれぞれのエナンチオマーにおいてエポキシ化進行する面への立体障害異なるため、一方エナンチオマーだけが優先的にエポキシ化される。そのため、ヒドロペルオキシド当量以下で使用すれば反応しにくい方のエナンチオマーだけが未反応のまま回収される。速度論的光学分割過程収率原理50%超えることができないものの、同反応におけるエナンチオマー過剰率は100%近付く。

※この「速度論的光学分割」の解説は、「シャープレス酸化」の解説の一部です。
「速度論的光学分割」を含む「シャープレス酸化」の記事については、「シャープレス酸化」の概要を参照ください。

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