ふせい‐ごうせい〔‐ガフセイ〕【不斉合成】
不斉合成
不斉合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 19:12 UTC 版)
不斉補助剤は、立体中心の絶対配置をコントロールするために合成経路において組み込まれる。デヴィッド・エヴァンスによるシトバリシンの合成において、オキサゾリジノン不斉補助剤を利用して1つの不斉アルキル化反応と4つの不斉アルドール反応を行い、9つの不斉中心を立体選択的に導入した。 不斉補助剤を用いる不斉合成反応は、通常、次の3つの段階を経る。まず最初に、不斉補助剤と基質を共有結合によって結合させる。次に、この化合物が反応する際、複数のジアステレオマーが生成する。その際、一方のジアステレオマーの生成が優先される。最後に、目的生成物のラセミ化が起こらない条件にて不斉補助剤を除去する。キラルな補助剤を利用するコストが高いことや、合成に多段階を要することから、この方法は非効率的である。ところが、多くの反応において不斉補助剤を利用する方法のみがその反応をエナンチオ選択的に進行させる唯一の方法であるため、これらの反応においては不斉補助剤に依存している。加えて、不斉補助剤を用いる反応は多彩であり報告例も多く、純粋なエナンチオマーを得る反応を行う際に時間的効率も良い。 さらに、不斉補助剤を導入した生成物はジアステレオマーとなり、カラムクロマトグラフィーや再結晶によりこれらを分離することができる。
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