キセノンとは? わかりやすく解説

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キセノン【xenon】


物質名
キセノン
英語名
Xenon
元素記号
Xe
原子番号
54
分子量
131.29
発見
1898年
原子半径(Å)
2.2
融点(℃)
-111.9
沸点(℃)
-111.9
密度(g/cm3
5.896
比熱(cal/g ℃)
12.13
電子親和力(eV)
0


キセノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/16 10:42 UTC 版)

ヨウ素 キセノン セシウム
Kr

Xe

Rn
54Xe
外見
無色気体、高電圧電界中で青色を示す


キセノンのスペクトル線
一般特性
名称, 記号, 番号 キセノン, Xe, 54
分類 貴ガス
, 周期, ブロック 18, 5, p
原子量 131.293(6)
電子配置 [Kr] 5s2 4d10 5p6
電子殻 2, 8, 18, 18, 8(画像
物理特性
気体
密度 (0 °C, 101.325 kPa)
5.894 g/L
融点 (101.325 kPa)161.4 K, -111.7 °C, -169.1 °F
沸点 (101.325 kPa)165.03 K, -108.12 °C, -162.62 °F
三重点 161.405 K (−112 °C), 81.6[1] kPa
臨界点 289.77 K, 5.841 MPa
融解熱 (101.325 kPa)2.27 kJ/mol
蒸発熱 (101.325 kPa)12.64 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 5 R/2 = 20.786 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 83 92 103 117 137 165
原子特性
酸化数 8, 6, 4, 2, 1, 0(弱酸性酸化物
電気陰性度 2.6(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 1170.4 kJ/mol
第2: 2046.4 kJ/mol
第3: 3099.4 kJ/mol
共有結合半径 140±9 pm
ファンデルワールス半径 216 pm
その他
結晶構造 面心立方格子構造
磁性 反磁性[2]
熱伝導率 (300 K) 5.65×10-3 W/(m⋅K)
音の伝わる速さ (液体)1090 m/s、(気体)169 m/s
CAS登録番号 7440-63-3
主な同位体
詳細はキセノンの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
124Xe 0.095% 1.8×1022 y εε 0.825 124Te
125Xe syn 16.9 h ε 1.652 125I
126Xe 0.089% 中性子72個で安定
127Xe syn 36.345 d ε 0.662 127I
128Xe 1.91% 中性子74個で安定
129Xe 26.4% 中性子75個で安定
130Xe 4.07% 中性子76個で安定
131Xe 21.2% 中性子77個で安定
132Xe 26.9% 中性子78個で安定
133Xe syn 5.247 d β- 0.427 133Cs
134Xe 10.4% >1.1×1016 y β-β- 2.864 134Ba
135Xe syn 9.14 h β- 1.16 135Cs
136Xe 8.86% 2.11×1020 y β-β- 2.4578 136Ba

キセノン: xenon: Xenon [ˈkseːnɔn])は原子番号54の元素元素記号Xe貴ガス元素の一つ。ラムゼー (W. Ramsay) とトラバース (M. W. Travers) によって1898年に発見された[3]

常温常圧では無色無臭の気体融点-111.9 °C沸点-108.1 °C。空気中にもごく僅かに(約0.087 ppm)含まれる。固体では安定な面心立方構造をとる。

一般に貴ガスは最外殻電子が閉殻構造をとるため、反応性はほとんど見られない。しかし、キセノンの最外殻 (5s25p6) は原子核からの距離が離れているため、他の電子による遮蔽効果によって束縛が弱まっており、比較的イオン化しやすい(イオン化エネルギーが他の貴ガス元素に比べて相対的に低い)。このため、反応性の強いフッ素酸素と反応して、フッ化物酸化物を形成する。

名称

ギリシャ語で「奇妙な」「なじみにくいもの」を意味する ξένος (xenos) の中性単数形の ξένον (xenon) が語源。英語圏ではゼノン (/ˈzɛnɒn//ˈziːnɒn/) と発音されることが多い。

用途

キセノンランプに封入されたり、イオン推進エンジンの推進剤に使用される。また断熱性能が空気よりも高いため、複層ガラスに封入する断熱材としても有効である。

医療

麻酔作用を有する事が1946年に報告された以降に研究が始まり、2005年にはドイツで臨床許可が出された[4]。麻酔薬としては、理想的な性質(「導入・覚醒が早い」、「鎮痛作用を持つ」「術中の循環動態が安定する」、「脳保護作用を持つ」、「術後認知機能障害を予防できる可能性がある」)が報告されている[5]。20〜50%程度の酸素を混合した混合ガスが一部病院では試験的に導入された[5][6]。ただし純粋なキセノン自体が高価なことや術後悪心嘔吐の副作用もあり、一般には普及しなかった[5]。しかも、麻酔の際には閉鎖循環式回路での使用が必要で特段の利点もないとの指摘もある(一般の全身麻酔に用いられる回路は半閉鎖式回路である)[5]

素粒子物理学

暗黒物質(ダークマター)の直接検出を目論んでいるXMASS検出器では、暗黒物質を検出するために-100 °Cの液体キセノンで満たしたセンサーが用いられる。これは暗黒物質がキセノン原子核と衝突して放つシンチレーション光を光電子増倍管で捕捉する仕組みで、東京大学の神岡宇宙素粒子研究施設で2011年春から稼動予定であった[7][8]が、2010年からの試運転の結果、検出器を構成する素材が予想外に多くのバックグランドを含んでいることが判明、そのバックグランドを減らす改修が行われ2013年11月に再運転し[9][10]観測が行われている。

生産・精製

空気中からの単独精製は行われることはない。液体酸素液体窒素・液化アルゴンを生産するために大型空気分離装置における断熱膨張ジュール=トムソン効果)により、液化した空気からの分留残(副産物)から回収精製される[11]

化合物

化学結合を備えた最初の希ガス化合物として、1962年5月、カナダブリティッシュコロンビア大学のネイル・バートレットとD.H.ローマンによってヘキサフルオロ白金酸キセノン (XePtF6) が合成された[12]。酸素分子 O2 を酸化するヘキサフルオロ白金酸の反応から類推し、O2 (12.2 eV) とほぼ同じイオン化エネルギーを持つキセノン (12.13 eV) を酸化できるのではと考えたことが成功の鍵であった。8月には XeF4 が、同年末は XeF2 と XeF62011年には XeO2 も合成された。

ハロゲン化物

キセノンはフッ素単体の混合比を調節してニッケル管中で加熱し、急冷すると四フッ化キセノン XeF4 あるいは二フッ化キセノン XeF2 を生成し、加圧条件下で同様に加熱すると六フッ化キセノン XeF6 を与える。

いずれのフッ化物も水に容易に加水分解される。XeF6、XeF4 は強力なフッ素化剤である。XeF4ベンゼンなどの芳香族化合物の水素をフッ素化することができ、XeF6 に至っては石英とさえ反応し SiF4 を与える。また、XeF2 は温和なフッ素化試剤として利用される。

酸化物

六フッ化キセノン XeF6 または四フッ化キセノン XeF4と反応し、三酸化キセノン XeO3 を与える。[13]

外部リンク


キセノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/29 20:28 UTC 版)

宇宙英雄ペリー・ローダンの登場人物」の記事における「キセノン」の解説

惑星ワンダーファルグに植民したムサイ一人。ニュートロン・グループ所属逃亡したジュリアン・ティフラーとエルマ・ヘルミテを追ったが、途中でトカゲ食われて死亡した。第362巻。

※この「キセノン」の解説は、「宇宙英雄ペリー・ローダンの登場人物」の解説の一部です。
「キセノン」を含む「宇宙英雄ペリー・ローダンの登場人物」の記事については、「宇宙英雄ペリー・ローダンの登場人物」の概要を参照ください。

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キセノン

出典:『Wiktionary』 (2020/06/26 11:33 UTC 版)

名詞

キセノン

  1. 原子番号 54元素記号 Xe非金属元素希ガス単体常温常圧では無色無臭気体

訳語


「キセノン」の例文・使い方・用例・文例

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