イネ科とカヤツリグサ科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 06:24 UTC 版)
「カヤツリグサ科」の記事における「イネ科とカヤツリグサ科」の解説
カヤツリグサ科は、イネ科とは多くの点でよく似ているが、さまざまな点で区別がつく。 茎の断面が三角形のものが多く、葉の配列なども三角になるものが多い(三数性)。イネ科は二数性。 茎の断面を見ると、中がつまっている場合が多い。イネ科では中が空洞のものが多い。 葉の根元に、茎を巻いて、その両側が癒合した鞘を持つものが多い。イネ科では、茎を巻いても鞘にはならない場合が多い。 果実が鱗片から外れて落ちるものが多い。イネ科では、ほとんどが鱗片に包まれて落ちる。 イネ科とカヤツリグサ科は風媒花として進化し、そのため互いに似た点が多い。それは花が地味なこと、小穂を形成することなどである。そのため、見た目の派手な特徴に乏しく、その割に種類が多くて同定が難しい。植物観察では相手にされることが少なく、敬遠されることが多い点でも共通している。特にスゲ属はイネ科植物や他のカヤツリグサ科植物の同定に慣れた専門家ですら敬遠するほど、同定困難なものが多い。 他方、性格的に全く正反対な面もある。イネ科は小穂の構造が非常に多様で、属の数がとても多いが、それぞれの属に含まれる種数はそれほど多くない(700属8000種)。カヤツリグサ科は、小穂の構造はそれほど多くなく、属数が少ないのに、それぞれの属に含まれる種数がとても多い(70属4500種)。また、イネ科には穎果が穀物として利用される種が多数あるほか、サトウキビなど種実以外の部位が食用とされるもの、茅葺きやよしずなどさまざまな形で利用されるものが多数ある。他方、カヤツリグサ科は目立って食品とされているものは少ない。それ以外の利用で使われるものもあるが、イネ科と比べるとはるかに少ない。それともかかわりがあるだろうが、帰化種の数にも非常に差が大きい。
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