イネ科の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 15:36 UTC 版)
イネ科の花では花被片は二個の鱗皮 lodicule となり、ほとんど見て取れない大きさに退化する。従って小穂の構成要素は苞葉由来の鱗片群が中心となっている。これらの配置や構造は分類上重要である。ただ、その名については複数の説がある。ここでは長田(1993)に従っておく。それ以外の用例については長田に基づき、脚注に出しておく。 イネ科の小穂は基本的には主軸に対して花が二列の互生に配置した穂状花序に由来する。小花の基部には苞葉由来の鱗片が二枚あり、小花はこれらに包まれる形になる。小穂は基本的には複数の花を含むので、これらの鱗片は含まれる小花の数の2倍あることになる。この鱗片の外側のものを護穎(ごえい) lemma 、内側のものを内穎(ないえい) palea という。護穎は軸に対して小花の外側に、内穎は内側に位置する。さらに小穂の最下には小花を含まない鱗片が二枚あり、これは花序の基部にあった苞葉に由来する。これを包穎(ほうえい) glume という。そのうち外側を第一包穎、内側を第二包穎という。なお、キビ類やモロコシ類には小花が二つだけになった類似した型を持つが、それらの穎には別の呼称を当てており、これについてはこの型についての項で記述する。 穎が中央などで二つ折りになっている場合、その折れ目の背中側を竜骨 keel という。竜骨は包穎や護穎では中央に一本あるが、内穎では二本ある場合が多い。これは、護穎と向き合う位置にあった二つの苞葉が癒合した結果と見られる。また包穎や護穎の中脈の先端が糸状や針状に突出する例がよくあり、これを芒 awn という。なお、エノコログサなどに見られる針状のものは芒ではなく小穂の柄から生じるもので、これは刺毛という。花序の枝から変化したものと考えられる。 小穂の中で、小花の間をつなぐ軸を小軸 rachilla という。ノガリヤス属などでは小穂には第一小花のみを含むが、第二小花に続く小軸だけが残存し、これを小軸突起 rachilla extension という。複数の小花を小穂に含む場合、小軸に小花毎に関節があって成熟時には折れて散布される例が多い。だが、小花だけで落ちるものや包穎を含めた小穂全体が折れ落ちる例など様々である。
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