アディポネクチンは脂肪細胞が特異的に分泌する生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種で、動脈硬化を防ぐ善玉物質として注目されています。
動脈硬化の進展には、白血球の仲間であるマクロファージが関わっています。酸化されたLDLコレステロールが血管壁に沈着すると、マクロファージが次々にとりこみ、ついには動けなくなってプラーク(病巣)を形成します。こうして血管壁がこぶのようにふくれ、内腔を狭めて詰まりやすくなるのが粥状動脈硬化ですが、アディポネクチンには傷ついた血管を修復したり、マクロファージの血管壁への接着やLDLの貪食を抑制するなどの有用な働きがあることがわかっています。アディポネクチンはさらに、インスリン感受性を高めてインスリンの分泌を節約し、糖尿病を防ぐ働きも担っています。
アディポサイトカインの多くは、肥満に伴って脂肪細胞からの分泌が亢進しますが、アディポネクチンは逆に内臓脂肪が増えれば増えるほど、その分泌が低下し、血液中の濃度が低下します。肥満を改善し、内臓脂肪を減らすことはアディポネクチンの分泌を正常化させ、低アディポネクチン血症の改善につながります。
アディポネクチン
脂肪細胞から分泌される物質。血管の修復作用やインスリンの分泌を抑えるといった生理活性作用などがあり、動脈硬化、糖尿病といった疾患を防止する働きがあるとされる。
内臓脂肪が多くなるとアディポネクチンの分泌量は減少し、動脈硬化や糖尿病、ガンなどのリスクが高まることが分っている。
アディポネクチンは1996年に大阪大学で発見された。2012年8月には北海道苫小牧市で「アディポネクチン国際シンポジウム」(International Symposium on Adiponectin Biology and Medicine)が開催予定である。
関連サイト:
The 64th Fujihara Seminar International Symposium on Adiponectin Biology and Medicine - 公益財団法人藤原科学財団
アディポネクチン【adiponectin】
アディポネクチン
アディポネクチン【あでぃぽねくちん】
アディポネクチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 23:12 UTC 版)
アディポネクチン(Adiponectin、GBP-28、apM1、AdipoQ、Acrp30)は、脂肪細胞から分泌される分泌蛋白である。
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- ^ データねつ造など…東大教授らが研究不正|日テレNEWS24 日本テレビ 2017年8月1日 18:28 2017年9月13日閲覧
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