アディポネクチンとは? わかりやすく解説

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アディポネクチン【adiponectin】


アディポネクチン


アディポネクチン

読み方あでぃぽねくちん

 アディポネクチンは脂肪細胞特異的に分泌する生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種で、動脈硬化を防ぐ善玉物質として注目されています。
 動脈硬化進展には、白血球仲間であるマクロファージが関わっています。酸化されたLDLコレステロール血管壁沈着すると、マクロファージ次々とりこみついには動けなくなってプラーク病巣)を形成します。こうして血管壁がこぶのようにふくれ、内腔狭め詰まりやすくなるのが粥状動脈硬化ですが、アディポネクチンには傷ついた血管修復したり、マクロファージ血管壁への接着LDL貪食抑制するなどの有用な働きがあることがわかってます。アディポネクチンはさらに、インスリン感受性高めてインスリン分泌節約し糖尿病を防ぐ働き担ってます。
 アディポサイトカイン多くは、肥満伴って脂肪細胞からの分泌亢進しますが、アディポネクチンは逆に内臓脂肪増えれば増えるほど、その分泌が低下し血液中の濃度低下します肥満改善し内臓脂肪を減らすことはアディポネクチンの分泌正常化させ、低アディポネクチン血症の改善つながります


アディポネクチン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 23:12 UTC 版)

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アディポネクチンAdiponectinGBP-28apM1AdipoQAcrp30)は、脂肪細胞から分泌される分泌蛋白である。

性質・特徴

血中濃度は一般的なホルモンに比べて桁違いに多く、μg/mlオーダーに達する。作用としては、インスリン受容体を介さない糖取り込み促進作用、脂肪酸の燃焼、細胞内の脂肪酸を減少してインスリン受容体の感受性を上げる作用[1]、肝臓のAMPキナーゼを活性化させることによるインスリン感受性の亢進、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大抑制など、多彩である。受容体にはAdipoR1、AdipoR2、T-Cadherinなどが報告されている。

血中アディポネクチン濃度は内臓脂肪量に逆相関する。そのメカニズムは不明な点が多いが、一部は肥満脂肪組織で増加するTNF-αなどによるものと考えられている。低炭水化物食でアディポネクチンが増加するという報告がある[2]

骨格筋においてアディポネクチンは受容体に結合し、AMPキナーゼを活性化して、通常はインスリンにしか反応しないインスリン感受性のグルコーストランスポーターであるGLUT4を膜の表面へ移動させ、グルコースを取り込む作用があるといわれている[3]。運動の結果によりアデノシン一リン酸(AMP、アデニル酸)が増加することが知られているが、このAMPがAMPキナーゼを活性化する経路と同じである。つまり、アディポネクチンは、インスリンの作用を介さずに、運動効果とほとんど類似のグルコースを取り込む作用を示すことになる[1]

AdipoR1とAdipoR2の同定論文については研究不正があるという告発が2016年になされたが[4][5][6]、掲載誌にすでに修正公告[7]を出しているという理由によって調査対象から外された[8][9][10]。AdipoR1とAdipoR2の同定論文の責任著者である門脇孝は、2016年に出版した自伝[11]において、AdipoR1やAdipoR2は部下の山内敏正清水孝雄の研究室に出入りして同定してきたものであり、最初は門脇自身がアディポネクチンの受容体であることが信じられなかったが、今はT-Cadherinより正当な受容体と考えられると主張している。AdipoR1とAdipoR2についての研究報告にみられる混乱については、2019年に出版されたJournal of Lipid Research誌の論文の第一段落において解説がなされている[12]

脚注

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  1. ^ a b 鎌田勝雄脂肪細胞とインスリン抵抗性(星薬科大学オープン・リサーチ)
  2. ^ Summer, Suzanne S.; Brehm, Bonnie J.; Benoit, Stephen C.; D'Alessio, David A. (2011). “Adiponectin Changes in Relation to the Macronutrient Composition of a Weight-Loss Diet”. Obesity 19 (11): 2198–2204. doi:10.1038/oby.2011.60. ISSN 1930-7381. 
  3. ^ 鎌田勝雄糖尿病治療薬(星薬科大学オープン・リサーチ)
  4. ^ [1] 告発文1_5cvq.pdf Ordinary_researchers 2016年8月14日 2016年12月7日閲覧
  5. ^ News at a glance Science 2016年9月23日 2016年12月7日閲覧
  6. ^ 東大医学部で「STAP級」論文不正 税金が消えた「糖尿病研究」の暗部 選択 2016年10月号 2017年9月13日閲覧
  7. ^ corrigendum: Cloning of adiponectin receptors that mediate antidiabetic metabolic effects Nature, 431, 1123 (28 October 2004)
  8. ^ 論文不正の告発を受けた東京大学(3) 告発通りに図版の誤りはあったが…… Yahoo news 詫摩雅子 2017年8月14日 2017年8月17日閲覧
  9. ^ データねつ造など…東大教授らが研究不正|日テレNEWS24 日本テレビ 2017年8月1日 18:28 2017年9月13日閲覧
  10. ^ 22報論文に関する調査報告 東京大学 2018年3月17日閲覧
  11. ^ 医学のすすめ: すべては患者の幸せと医療の発展のために 門脇孝 西村書店 2016年 2017年9月8日閲覧 ISBN:978-4-89013-749-7
  12. ^ “AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in most human cell types and independently of adiponectin” (英語). Journal of Lipid Research 60 (5): 995–1004. (2019-05-01). doi:10.1194/jlr.M092494. ISSN 0022-2275. PMID 30890562. http://www.jlr.org/content/60/5/995.full. 

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