副腎皮質ホルモンとは? わかりやすく解説

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ふくじんひしつ‐ホルモン【副腎皮質ホルモン】


副腎皮質ホルモン

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副腎皮質ホルモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/27 13:16 UTC 版)

アルドステロン

副腎皮質ホルモン(ふくじんひしつホルモン、英語: Corticosteroid)は、副腎皮質より産生されるホルモンの総称である。炎症の制御、炭水化物代謝タンパク質異化血液電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。ストレス侵襲などさまざまな影響によって分泌され、医薬品としても使用される。

種類

名称 分泌部位 代表的なホルモン
鉱質コルチコイド 球状層 アルドステロン
糖質コルチコイド 束状層 コルチゾール
性ホルモン 網状層 アンドロゲン

生化学

ラットの副腎皮質ホルモンの生成経路

副腎皮質ホルモンは、副腎皮質内でコレステロールから合成される。ほとんどのステロイドの反応がシトクロムP450ファミリーの酵素によって促進される。酵素は、ミトコンドリアの中に位置し、補助因子としてアドレノドキシンを必要とする(21-ヒドロキシラーゼと17α-ヒドロキシラーゼを除く)。

アルドステロンコルチコステロンはその生合成経路の最初の部分を共有しており、アルドステロンシンターゼ英語版によってアルドステロンに、11β-ヒドロキシラーゼによってコルチコステロンが生成される。これらの酵素はほとんど同じで、11β-ヒドロキシル化反応と18-ヒドロキシ化反応の機能を共有している。

アルドステロンシンターゼは、18-酸化を行うこともできる。アルドステロンシンターゼは副腎皮質の球状帯に存在する。また、11β-ヒドロキシラーゼは束状帯網状帯に存在している。

分泌・調節

副腎皮質ホルモンは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により分泌・調節されている。調節の経路は、視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌され、脳下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、副腎で副腎皮質ホルモンが分泌されるといった順序である。

合成薬

副腎皮質ホルモンと同等の効果がある合成薬は、脳腫瘍から皮膚病までさまざまな病気の治療に使用されている。デキサメサゾンとその誘導体は、ほぼ純粋な糖質コルチコイドで、一方プレドニゾンとその誘導体は、糖質コルチコイドとしての作用と鉱質コルチコイドとしての少しの作用とを持つ。フルドロコルチゾンフロリネフ)は、合成された鉱質コルチコイドである。コルチゾール(ヒドロコルチゾン)は代替療法、例えば、副腎機能障害 (en:Adrenal insufficiency) と先天性副腎過形成症 (CAH) の治療に使われる。

合成された糖質コルチコイドは、関節痛または関節炎巨細胞性動脈炎皮膚炎アレルギー反応喘息肝炎全身性紅斑性狼瘡炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎クローン病)、眼疾患(ブドウ膜炎)、サルコイドーシスの治療、そして、慢性原発性副腎皮質機能低下症、副腎機能障害など糖質コルチコイドの欠乏症の治療にも使われる。また、副腎皮質ホルモンは、嘔吐の抑制剤としてしばしば5-HT3受容体拮抗型制吐剤(例えば、オンダンセトロン)と組み合わせて使われる。

臨床実験では、副腎皮質ホルモンが目の障害である中心性網脈絡膜症(CSR。または、中心性漿液性脈絡網膜症;CSC)を引き起こすことが分かっている。

副腎皮質ホルモンに関連した疾患

アルドステロンコルチゾールらが慢性的に分泌低下したことにより生じる。

  • 先天性副腎低形成(原発性副腎低形成)

X連鎖性(DAX-1異常症)、常染色体性(SF-1異常症)、IMAge症候群、ACTH不応症、オールグローブ症候群フランス語版(Triple A症候群)に分類される。

脳下垂体前葉ホルモンであるACTH甲状腺刺激ホルモン(TSH)、成長ホルモン(GH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロラクチンの一つ以上の分泌が低下した状態である。ACTHのみの欠損をACTH単独欠損症と呼ぶ。

リポイド過形成症(Protein(StAR)蛋白の異常とコレステロール側鎖切断酵素に欠損)、21-水酸化酵素欠損症、11β-水酸化酵素欠損症、17α-水酸化酵素欠損症、3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症、21水酸化酵素と17α-水酸化酵素の複合欠損(P450オキシドレダクターゼ欠損により発現)がある。

18-水酸化酵素欠損症、P450オキシドレダクターゼ欠損症、3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症、18-ヒドロキシラーゼ欠損症、18-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症がある。

副腎が原因のものがACTH非依存性クッシング症候群(副腎性クッシング症候群)、ACTHが過剰に分泌されコルチゾールが増加するものがACTH依存性クッシング症候群と呼ばれる。さらにが脳下垂体の原因(腫瘍)によるACTH過剰分泌がクッシング病、脳下垂体以外に原因のあるものが異所性ACTH症候群と呼ばれる。

関連項目


副腎皮質ホルモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/08 05:49 UTC 版)

反跳作用」の記事における「副腎皮質ホルモン」の解説

ステロイド系抗炎症薬#減量」および「ステロイド外用薬離脱」も参照 例として、乾癬への高力価のコルチコステロイド使用がある。急な離脱では、はるかに重篤乾癬起き場合がある。そのため離脱は、非常に少ない量になるまで、化粧水希釈し徐々に行うこと。 2015年に、全米皮膚炎学会National Eczema Associationの仮訳)はステロイド外用薬離脱についてのシステマティックレビュー行いその特徴調査したステロイド外用薬長期間使用して酒さ様皮膚炎呈した場合完治のために中止すると、ほぼ例外なく反跳して紅斑増悪し、強い場合もあるためそのような現象避けられないことを、医師説明する必要があるステロイド依存Steroid addictionの仮訳)では、ニキビ酒さ、口周囲皮膚炎毛細血管拡張症状があるが、ステロイドをやめると炎症発火痒み反跳するため、使用中止できない

※この「副腎皮質ホルモン」の解説は、「反跳作用」の解説の一部です。
「副腎皮質ホルモン」を含む「反跳作用」の記事については、「反跳作用」の概要を参照ください。

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