ますい‐やく【麻酔薬】
麻酔薬
麻酔薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/11 22:06 UTC 版)
麻酔薬(ますいやく、英: anesthetic, anaesthetic)は、麻酔を誘発するために使用される薬物で、言い換えれば、感覚や意識を一時的に失わせる物質である。それらは大別して、可逆的に意識を失わせる全身麻酔薬と、必ずしも意識に影響を与えることなく身体の限られた部位の感覚を可逆的に失わせる局所麻酔薬の2つに分類できる[1]。
注釈
出典
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麻酔薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/29 02:16 UTC 版)
単離・同定される前にも、不飽和エーテルは麻酔薬として薬理学者の興味を集めていた。その一人Chauncey D. Leakeは、ビニルエーテルは2つの麻酔薬、エチレン・ジエチルエーテルの利点を併せ持つと推測した。麻酔用エチレンは多くの利点があったが、効力が低いために全身麻酔では低酸素症に陥る危険があった。ジエチルエーテルは麻酔剤としては強力だが、嘔吐を引き起こすことが多い・麻酔からの回復が遅いなどの点でエチレンに劣っていた。 構造からの予測に基づき、Leakeはビニルエーテルを吸入麻酔薬として用いることを検討した 。当時純粋なものは合成されていなかったが、彼はバークレー大学の有機化学者にこの物質の合成を求めた。だが、その化学者等はこれを達成できず、プリンストン大学の化学者Randolph MajorとW. T. Ruighに助けを求めることになった。1930年にプリンストン大学から得られたサンプルを用いて、彼と同僚のMei-Yu Chenはマウスで実験を行った。 1933年、アルバータ大学のSamuel GelfanとIrving Bellは、Gelfan自身に開放点滴法で麻酔を行うことでヒトでの試験を行った。だがLeakeによると、ヒトへの使用は1932年にカリフォルニア大学の麻酔科医Mary Botsfordが子宮摘出術に用いたのが最初である。 その後Leakeは大学の事情で研究を続けられなくなったが、他の研究者によって広く研究が行われた。利点もあったが、肝毒性と長期保存できないことにより使用できる場合は限られた。
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麻酔薬
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米国では"Vinethene"という名で販売されていた。麻酔マスクが曇ることを防ぐため、1.5-5%のエタノールが混入されていた。通常の阻害剤は入っているが、製造者は出来る限り早く使用すべきであるとしていた。 導入は速いが、多少の興奮を引き起こす。少し咳き込むこともあり、唾液の分泌が増加する。麻酔中に単攣縮を起こすことがあるが、痙攣に至ることは珍しく、その場合も治療可能である。モルヒネ-アトロピンを前投薬しておくことでこれを防ぐことができる。麻酔からの回復は早いが、時折頭痛を起こすことがあり、ごく稀に吐き気を催すことがある。 短い手術ならば患者への危険は少ないが、200 mL以上の麻酔薬を用いるような長い手術では肝・腎毒性が問題になる。毒性を回避するため、ジエチルエーテルと1:4の割合で混ぜることで‘Vinethene Anesthetic Mixture’(V.A.M.) が作られた。V.A.M.はジエチルエーテルより導入・回復が速く、長い手術でも比較的毒性が少なかった。だが、深い麻酔が必要な場合にはジエチルエーテルより劣っていた。 ビニルエーテルは強力で安全域は広く、麻酔効果を得られる量と致死量の比は、ジエチルエーテルの1:1.5に対し1:2.4である。だが、強力であることから適切な機械が必要であり、簡便な麻酔法である開放点滴法では、暖かいと蒸発量が増えること、長時間維持することが難しいことなどの問題があった。 全体的に見て、ビニルエーテルの利点は導入・回復時にあり、麻酔中には他の薬剤より制御が難しいものだった。そのため、ビニルエーテルで導入してジエチルエーテルで維持する、ということが行われた。さらに、毒性・価格などの問題により歯科・産科など短い手術に適用されることが多く、長い手術にはより優れた薬剤が用いられることが多かった。
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麻酔薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 22:26 UTC 版)
会陰切開など処置をする場合は局所麻酔薬を用いるが、ここでは無痛分娩に関して述べる。無痛分娩では硬膜外麻酔を用いることが多い。その際によく用いられるのはフェンタニルと局所麻酔薬(ブピバカインあるいはロピバカイン)の組み合わせである。フェンタニル100μg、0.25%マーカイン24ml、生理食塩水24mLを毎時8-14mlで持続的に投与する場合が多い。硬膜外麻酔単独で無痛分娩を行う場合、作用発現が遅いため、硬膜外併用脊髄くも膜下麻酔(CSEA: combined spinal epidural anestehsia)を用いる場合もある。
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麻酔薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 08:53 UTC 版)
有害性が問題視されたクロロホルムに替わる吸入麻酔薬として、医療用麻酔に用いられた。 特徴として、導入(意識を失うまでの所要時間)が遅く、筋弛緩作用が強く、呼吸器や循環系への抑止作用は弱く、また7 - 10 %の気体濃度で使用するため酸素欠乏に陥りにくい。さらに、麻酔深度の調節全域(マージン)が極めて広く、致死量が高いことから、導入に他の麻酔薬を適用し、維持麻酔薬として使う手法が確立されている。 しかし、極めて引火点が低く、低い誘電率から静電気を帯びやすいため、密閉され電子機器が並ぶ近代的な手術室ではガス爆発リスクが高く、先進国では使用されなくなっている。発展途上国では現在も維持麻酔薬の主流であるが、新興国では手術室の改善が先行したがゆえの爆発死亡事故が複数生じている。 副作用としては、刺激性が強いため咳の原因となり、唾液腺や気管支を刺激して多量に唾液などの分泌物を分泌させることがあり、吸引の準備が一般的である。
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麻酔薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 03:27 UTC 版)
日本では主に局所麻酔薬が用いられる。代表的なのは0.5%マーカイン(ブピバカイン)、テトカイン(テトラカイン)、0.3%ペルカミンS(ジブカイン)、ネオペルカミンS(ジブカインとテーカインの合剤)である。オピオイドを局所麻酔薬に併用することもある。その場合は塩酸モルヒネかフェンタニルを用いる。多くの薬剤で高比重と等比重が用意されており、麻酔高の調節に用いることができる。
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麻酔薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 02:21 UTC 版)
ジブカインは構造中にアミド結合を有した、アミド型局所麻酔薬の1つである。ただし、他のアミド型局所麻酔薬、例えば、リドカイン、ブピバカイン、メピバカインなどが、全て「芳香環-NH-CO-R」のアミド結合をしているのに対して、ジブカインは「芳香環-CO-NH-R」と順番が異なっている。一般にアミド型局所麻酔薬の方がヒトでの分解が遅いため、エステル型局所麻酔薬よりもアミド型局所麻酔薬の方が作用時間が長く、ジブカインを0.5パーセントの濃度で用いた場合の平均作用時間は、3時間から4時間程度である。ジブカインのヒトでの主な用途は脊髄くも膜下麻酔であり、その最高投与可能量は、体重1 kg当たり0.7 mgである。ただし、局所麻酔に用いる場合も有る 。 なお、局所麻酔薬はヒトに対して毒性を持っており、もちろんジブカインも例外ではない。
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「麻酔薬」の例文・使い方・用例・文例
- 麻酔薬の気化器
- 麻酔薬入りのコーヒー.
- 局所麻酔[麻酔薬].
- 麻酔薬.
- 麻酔薬を投与する
- 脊髄麻酔薬を投与した
- エピデュラルへの麻酔薬の物質の注射は、硬麻を起こすために脊椎を区切ります
- 歯医者は、抽出の前に局部麻酔薬を彼女に投与した
- 麻酔薬で(またはそれであるかのように)マヒする
- 彼は麻酔薬の使用に対して警告した
- (だれかまたは自らに)が(もの、特に麻酔薬に)依存するようになることを引き起こす
- 麻酔薬で彼女は完全に意識がなくなった
- クロロホルムは最初の吸入麻酔薬だった
- 吸入一般麻酔薬として用いられる非炎症性液体(商標名エスレイン)
- 局所表面麻酔薬として使用される無色の可燃性ガス
- 全身を麻痺させて、意識喪失を引き起こす麻酔薬
- ひどい痛みを緩和するために使用される麻酔薬系の鎮静剤(商標名ディラウディッド)
- 循環器系に注入されると麻酔を引き起こす麻酔薬
- 広く使われている吸入麻酔薬
- アヘンのアルコール溶液またはアヘンが主な成分である処方薬でなる麻酔薬
麻酔薬と同じ種類の言葉
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