気管支拡張薬
気管支拡張薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 09:57 UTC 版)
以下の気管支拡張薬(アドレナリンβ2受容体刺激)もよく使われる。気管支を広げ呼吸を楽にする。 塩酸ツロブテロール(ホクナリン) は、気管支拡張剤で唯一貼付剤(ホクナリンテープ)がある。 プロカテロール塩酸塩(メプチン) 等。
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気管支拡張薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 02:53 UTC 版)
β2刺激薬 短時間作用型(SABA) の吸入薬は急性増悪時にリリーバーとして用いられる。長時間作用型の製剤(LABA)はコントローラーとして用いられるが、単独使用は推奨されない。前述の通り、ICS/LABA合剤の一つであるBudesonide/Formoterolはコントローラーとしてのみならずリリーバーとしても使われることがあり(SMART療法)、GINAの喘息急性増悪時治療ガイドラインに記載されている。短時間作用型吸入薬(SABA) サルブタモール(サルタノール・インヘラーやベネトリンなど)、プロカテロール(メプチン・エアーなど)、フェノテロール(ベロテック・エロゾルなど)など。即効性はあるものの、効果はすぐに減弱するため、コントローラーとしては用いられない。 長時間作用型吸入薬(LABA) 単剤として、サルメテロール(セレベント・ディスカスなど)、ICS/LABA合剤として、プロピオン酸フルチカゾン・サルメテロール(アドエアなど)、ブデソニド・ホルモテロール(シムビコート、ブデホル)、フランカルボン酸フルチカゾン・ビランテロール(レルベア)、プロピオン酸フルチカゾン・ホルモテロール(フルティフォーム)、モメタゾン・インダカテロール(アテキュア)、ICS/LAMA/LABA合剤として、モメタゾン・グリコピロニウム・インダカテロール(エナジア)、フランカルボン酸フルチカゾン・ウメクリジニウム・ビランテロール(テリルジー)がある。セレベントは一回25 - 50μgを一日二回投与が一般的である。アドエアでは一回にサルメテロールが50μg含まれている。かつてはβ刺激薬の心臓作用が気管支喘息患者の突然死の原因と考えられていたが、ICSの普及によってむしろ炎症コントロールの程度が突然死とかかわりあっていると考えられるようになった。食品医薬品局(しょくひんいやくひんきょく、FDA:Food and Drug Administration)は、喘息長期管理(慢性期治療)における、LABAの単独使用を避けるよう警告している。 貼付剤、内服薬などの剤形もあり、年齢・症状にあわせてそれぞれ用いられる。 貼付剤としては小児科領域ではツロブテロール製剤のホクナリンテープがよく用いられる。0.5 - 3歳未満ならば0.5mg、3歳から9歳未満ならば1mg、9歳以上ならば2mgで胸部や背部や上腕部に貼付する。副作用は内服薬と同様で吸入薬よりは強い。また、効果発現時間は極めて遅いため急性期の対応では全く役に立たないが、服薬が難しい小児の分野では使い勝手の良さから非常に好まれる。内服薬ではアトック(ホルモテロール)やホクナリン錠、メプチン錠など多くの製剤がある。 メチルキサンチン系薬物 テオフィリン(テオロング、テオドール他)製剤である。テオフィリンは気管支拡張作用と抗炎症作用を併せ持つ。かつては気管支喘息の中心となる極めて頼りになる薬物であった。その薬物動体を理解して上手く使えば気管支喘息治療の極めて有効な治療薬となっていたが、その特性を理解しておかないと、残念ながらその血中有効濃度域が狭くかつ脱水・心不全・肝障害・併用薬剤相互作用・個人差等で簡単に中毒域に入ってしまうために、その使用法が難しく敬遠されるようになってしまった。中毒症状は多彩で重度のものは不整脈・痙攣・意識障害もある。分かり易いものは嘔気・嘔吐・動悸・食欲不振等がある。慢性難治性でβ blocked stateでβ刺激剤に反応不良の気管支喘息発作でも効果が期待できた。 錠剤やカプセルの形態で徐放性製剤としては経口投与を行い、急性増悪ではテオフィリンおよびそのジエチルアミン塩であるアミノフィリンの静脈内投与を行うことができる。アミノフィリン静注では急速静注は禁止であり、ゆっくり1~2分以上かけて静注する。又は点滴静注が無難である。急速静注は酸素需給バランスの破綻によるとされる心筋障害を生じる。 β刺激薬がアデニル酸シクラーゼを活性化させcAMPを上昇させるのに対して、テオフィリンはホスホジエステラーゼを阻害することでcAMPを上昇させる、結果はどちらもPKA活性化による気管支の拡張である。また、気管支喘息とCOPDに対してヒストン脱アセチル化酵素活性の増強作用による抗炎症作用や横隔膜の収縮力増強や呼吸中枢刺激作用も報告されている。徐放性テオフィリン製剤は喘息症状の改善のほか、肺機能の改善、就寝前の内服で夜間症状の改善、運動誘発性喘息の予防、低濃度での抗炎症作用が知られている。しかし治療域は非常に狭く、代謝に個人差があるため投与量の設定も個人ごとに異なり5 - 15μg/mlに血中モニタリングが必要である。また多くの薬物との相互作用が知られている。副作用には中枢神経の賦活作用による痙攣、悪心、頻脈、振戦、不整脈などがある。このような調節が難しいことから長時間作用型のβ刺激吸入薬の普及に伴い、あまり用いられない傾向にある。テオフィリン関連痙攣と呼ばれる副作用が報告され、日本のガイドラインでは小児に対してはその位置づけが後退傾向にある。この痙攣も典型的な中毒症状の一つである。テオフィリン系は心筋の酸素需要を高めるので急速静注は酸素需給バランスを悪化させて不整脈等を惹起しかねないので数分掛けてのゆっくり静注ないし点滴が好ましい。 小児では抗炎症効果を期待して低用量の10mg/kg/dayから使用を開始し血中濃度を10μg/ml程度を目安にするのが一般的である。血中濃度は迅速キットで測定可能であるため、内服量が不明な時もERで追加が可能である。そのためアミノフィリンは発作治療薬としてしばしば用いられている。 テオフィリン内服薬も吸収率は約100%と良好なのでネオフィリン等静脈注射用薬と同様の注意は必要である。例えば脱水状態になれば通常量でも容易に中毒域に入ってしまう。使用法のノウハウは日本でも米国でもかつて様々に工夫されて1970年代までは米国でもアミノフィリン100mgワンショット静注が良く効くと主張する医師もいた。しかし100mg静注でも急速に行えば心筋障害や不整脈を誘発しかねないし、脱水著明等全身状態が悪ければゆっくり数分かけて静注しても中毒症状が出ることがある。これらの臨床薬理学的検討は1970年代に石崎高志らにより詳細に検討されて(Japanese Journal of Allergology 29(5): 203-212, 1980. 、Medicina21巻4号1984. https://doi.org/10.11477/mf.1402218985等)、使用法も理解されるようになったが残念ながら一般化されることなく、安易な使用での痙攣などの副作用(中毒症状)が前面に出てきて問題化され近年は敬遠されるようになってきている。なお、血中濃度有効域は10-20㎍/mlとされたが、それより低濃度でも効果があることが主張されるようになってからは少量投与で使われることが多くなっている。医師による全身状態の定期的チェックなしで漫然と使うのはやはり控えた方が良い。 抗コリン薬 吸入抗コリン薬はβ2刺激薬に比べ、気管支拡張効果が弱く、効果発現が遅い。また、呼吸器粘膜から吸収されることにより口渇感、前立腺肥大、頻脈、緑内障といった副作用が出現する恐れがある。アトロピンの4級アンモニウム塩であるイプラトロピウム臭化物(アトロベント等)ではこのような副作用は軽減されている。日本ではイプラトロピウムはMDIとしてのみ供給されており、次のような状況では有用性はある。βブロッカーにより気管支収縮が起こった場合、吸入β刺激薬に反応しない急性増悪時、モノアミンオキシターゼ阻害薬を服用している場合、重度の不整脈や不安定狭心症を合併しているため、交感神経系の刺激を回避したい場合などである。作用機序は気道が副交感神経にてトーヌスが維持されているため、トーヌスの維持を解除することで気管支拡張を得る。イプラトロピウム(アトロベントなど)、オキシトロピウム(テルシガン)は気道粘液の粘稠度を増加させないため非常に使いやすいとされている。作用持続時間は6 - 9時間である。 COPDに対する定期治療薬として用いられるチオトロピウムは、近年、一部の喘息症例において、喘息コントローラーとしても有効であることが報告され、「スピリーバ®2.5µg レスピマット®60吸入」および「スピリーバ®1.25µg レスピマット®60吸入」は、気管支喘息を適応とした承認を取得している。また、抗コリン薬の一つであるグリコピロニウムおよびウメクリジニウムは、ICS/LABA/LAMA3成分配合剤として、気管支喘息に適応がある(商品名は、順に、エナジアおよびテリルジー)。
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