気管支喘息と鑑別を要する疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 02:53 UTC 版)
「気管支喘息」の記事における「気管支喘息と鑑別を要する疾患」の解説
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD) 非喫煙者や、特異的遺伝子変異をもつ若年者に発症することもあるが、多くは、高齢者に発症し、喫煙との関連が強い。労作時の呼吸困難、息切れ、β2刺激剤の吸入後の1秒率が70%未満であること、胸部画像診断における気腫性変化等が重要であるが、軽症例では、所見に乏しいこともある。喘息、COPDにおいて、典型例では、病態を形成する炎症性細胞、サイトカイン、ケモカインなどのprofileに対照的な特徴が認められるが、非典型例では両者の差異が不明瞭となり、しばしば、鑑別困難となる。両者の合併例も少なくなく、近年、ACO (Asthma COPD Overlap) という概念が提唱されている。喘息と同様に、急性増悪(喘鳴、呼吸困難などの増強)を来しうる疾患であり、気道感染や心不全が誘因となる。従来、喘息よりも気管支拡張剤に対する反応が悪く、気道可逆性の有無が両者の鑑別において有用とされてきたが、近年では、典型的な喘息と同様の気道可逆性を示すCOPD症例が報告されている。 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(Allergic BronchoPulmonary Aspergillosis:ABPA) 気管支喘息患者の1%程度にみられると報告される。真菌の一つであるアスペルギルスに対するアレルギーによりおこり、喀痰中の粘液栓、中枢性気管支拡張、X線写真における肺浸潤影などを特徴とする。 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグストラウス症候群) 気管支喘息患者の5,000人に1人程度に発症すると報告される。病気の本体は全身の小動脈〜細動脈の炎症(血管炎)であり、発熱、手足のしびれ(末梢神経炎)、筋肉痛、関節痛など多彩な症状を呈する。一過性の肺浸潤影が認められることもある。ロイコトリエン拮抗薬との関連が指摘されているが、否定的な報告もある。 ブロンコレア(気管支漏) 卵の白身のような外観を呈した喀痰を1日に100ml以上、難治時に喀出する病態。患者はかなりの苦痛を伴うがほとんどの場合心理的なものと判断され、診断も治療も受けられず難治化していく。専門医による適切な診断と専門医の下での治療が必要。喘息にブロンコレアが合併すると難治性喘息に移行することが多い。
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