粘液とは? わかりやすく解説

ねん‐えき【粘液】

読み方:ねんえき

ねばりけのある液体

生物体内粘液腺から分泌される液体糖たんぱく質無機塩類などを含み体表の保護などの役をする。


粘液

英訳・(英)同義/類義語:Mucus

細胞分泌する多糖類を含む粘性の高い分泌液

粘液

【仮名】ねんえき
原文mucus

鼻、口腔咽頭、膣など一部臓器内側覆っている膜から分泌される粘稠ぬるぬるとした液体

粘液

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/21 07:28 UTC 版)

Sierra Mixe corn英語版の粘液。

粘液(ねんえき、英語: mucus)とは、生物が産生し体内外に分泌する粘性の高い液体である。

粘液を産生する細胞は粘液細胞、粘液を分泌する腺は粘液腺と呼ばれ、ほとんどあらゆる多細胞生物に存在する。単細胞生物でも粘液を分泌するものは多い。さらに細菌莢膜物質を粘液と考える場合もある。

粘液の成分は生物によって、また粘液細胞の種類によってさまざまであるが、一般的にはムチンと総称される糖タンパク質と、糖類無機塩類などからなる。分子量の大きなタンパク質などを含む粘液は高分子ゲルとしての要素を備え、粘性が高いだけでなく弾性(ヌルヌル、あるいはネバネバした感じ)をも持ち併せる。

脊椎動物の場合、消化管の内壁などに常時粘液に被われた表面があり、それらを粘膜と呼んでいる。

植物の場合(植物粘質物 en:mucilage)、体表面に分泌する例もある(モウセンゴケなどの食虫植物モチツツジ、あるいは雌蘂の柱頭など)が、体内に蓄積する例もある。そのような物質を蓄えた細胞が散在したり、粘液の入った管があったりと、その状態はさまざまである。また、果実などが分解する過程で粘液になるものもある。

粘液を水滴のような形で保持するものを粘球という。

用途

粘液は、生物の体表を物理・化学的に保護する障壁として働くほか、保水、捕食、物質輸送、感覚の補助など、状況に応じて多様な機能を持っている。

体表の保護
  • 無脊椎動物や魚類の体表は粘液に被われているものが多い。これは体表を物理的損傷から守る役割がある。ヌタウナギやクガビルは敵に捕まると大量の粘液を出す。また、アオブダイなどは睡眠に先立って口から粘液を吐き出し、寝袋を作ってこの中で眠る。
  • 動物のは消化液(胃液)とともに粘液を分泌し、消化液から自身を保護するための胃粘液バリアを形成している。
  • 植物の、特に先端部分はムシゲルと呼ばれる粘液性の物質で覆われていることがある。これは根の表皮細胞から分泌された粘液や土壌中の微生物などからなる複合体で、根を保護するだけでなく、特殊な物質代謝の場になっていると考えられている。
保水
  • ナメクジカタツムリなどの体表の粘液は水の蒸散を抑える役割も担っている。カタツムリが休眠する場合、殻の口に粘膜で膜を作って蓋をする。
摂食・捕獲
物質輸送
  • 多くの陸上動物の気道には粘液(気道粘液)の層があり、線毛の動きによって体外に向かって常に移動している。鼻や口から気道に入り込んだ異物はこの粘液層によって絡め取られ、ベルトコンベアのように輸送されて排除される。この粘液が外に出たものがである。
感覚の補助
動物の五感のうち、味覚嗅覚は、生物が特定の化学物質を受容する事で成立する感覚である。
  • 味覚においては、味覚受容体細胞が化学物質を受容する仲介として粘液が利用される。ヒトの場合は唾液を湿潤に保ち、溶存物質の拡散を媒介して味覚を補助している。唾液の分泌量が低下して口腔乾燥症に陥ると、虫歯歯周病の増加と共に味覚障害が現れる。
  • ヒトでは嗅覚は味覚ほど粘液の補助を必要としないが、いわゆる鼻水が鼻粘膜の保護を担っている。
  • ヘビやトカゲのような爬虫類では、口腔内に存在する鋤鼻器が嗅覚の主体である。ヘビやオオトカゲが頻繁に舌を出入りさせるのは、舌に吸着した化学物質をここへ渡し、臭いとして認識する為である。
被輸送手段としての粘着

乾燥したものを使う

粘液そのものではなく、それが乾燥したものを用いる場合もある。カタツムリの殻に粘液膜で蓋をする場合や、肺魚が泥をかためて乾期にこもるを作る例などがこれにあたる。クモやイモムシなどの出す糸もこれに近い。

粘液と泡

粘液の中に気泡ができると、水面に出ないで内部にとどまる。また、を長期に維持する効果もある。これを利用する例もあり、たとえばモリアオガエルなどアオガエル類は粘液で作った泡の中に卵を産む。ベタのように水中に泡巣を作る例もある。

物質循環の上で

物質循環では、食う食われるの関係を考える場合がおおいが、粘液が関わる例も少なくない。粘液は生物がその活動とともに分泌するものであるが、その材料は摂取した栄養に基づくからである。たとえばサンゴ礁においては、造礁サンゴ生産者として働いているとされるが、サンゴの分泌する粘液が周囲の動物の食料として重要であると考えられている。動物の菌類にとって特に有効な基質であるが、これは分解しがたい植物質を動物がある程度分解しているからであるほかに、動物の腸内で分泌される粘液が栄養になっている面が大きい。草食動物の糞は、その食材よりも窒素成分等が豊富になることが知られる。

参考文献

関連項目

  • 粘膜
  • 四体液説
  • バイオフィルム
  • 魚類体表粘液英語版
  • 腹足類の粘液英語版 ‐ カタツムリの移動後などに見られるほか、アサガオガイ英語版は粘液による泡の浮袋を作り水面を浮遊する生活を送る。
  • 粘液摂食英語版 ‐ 粘液を食べる食性
  • 杯細胞 ‐ 粘液を産出する細胞。
  • 粘毛 - 植物の体表で粘液を出す毛。
    • ムチレージ - 植物などから出る粘液。食用、薬用、接着剤などの利用がされた。

粘液

出典:『Wiktionary』 (2021/08/17 15:47 UTC 版)

発音

名詞

(ねんえき)

  1. ねばねばした液体
  2. (生理学) 粘液腺から分泌される粘性高い液体

翻訳


「粘液」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「粘液」の関連用語

粘液のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



粘液のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
JabionJabion
Copyright (C) 2025 NII,NIG,TUS. All Rights Reserved.
がん情報サイトがん情報サイト
Copyright ©2004-2025 Translational Research Informatics Center. All Rights Reserved.
財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの粘液 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの粘液 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS