じゅうにし‐ちょう〔ジフニシチヤウ〕【十二指腸】
十二指腸
十二指腸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/28 08:20 UTC 版)
十二脂腸 | |
---|---|
|
|
![]() |
|
英語 | Duodenum |
器官 | 消化器 |
動脈 | 下膵十二指腸動脈 後上膵十二指腸動脈 |
静脈 | 膵十二指腸静脈 |
神経 | 腹腔神経節 |

肝臓、右肝管、左肝管、総肝管、胆嚢管、総胆管、胆嚢、オッディ括約筋、ファーター膨大部、膵管、膵臓、十二指腸

十二指腸(じゅうにしちょう、Duodenum)は、胃と小腸をつなぐ消化管である。全体の形はC字状で長さは約25 cm。大部分が後腹膜に固定されており、可動性がない。
十二指腸の名は、『ターヘル・アナトミア』を『解体新書』として和訳刊行された際に、新たに作られた医学用語のひとつである。最初に発見したのは紀元前300年ころのギリシア人医師ヘロフィロスで、ギリシア語で δωδεκαδάκτυλον(δώδεκα「12」+ δάκτυλος「指」)と名づけられた。これがラテン語へ翻訳借用されて duodenum digitorum(duodenum「12」+ digitorum「指の(複数属格)」=「12本の指の」)となり、英語その他の名前はここからきている。いずれにせよ、この名はこの部分の長さが指の幅の12倍ほどであることに由来する[注釈 1]。
なお、小腸の一部とする考え方もあり、その場合は空腸と回腸と違い腸間膜に包まれないので無腸間膜小腸と呼称する場合もある。
解剖学的区分
- 上部(第一部)
- 胃の幽門口の続きで、右へ向かう部位。上部の始まりの部分は十二指腸球部と呼ばれ、肝臓との間に小網が張る。十二指腸球部は潰瘍の好発部位である。
- 下行部(第二部)
- 十二指腸上部の続きで、下へ向かう部位。ファーター乳頭(大十二指腸乳頭)、副膵管小十二指腸乳頭が開口する。
- 水平部(第三部)
- 十二指腸下行部の続きで、左へ向かう部位。
- 上行部(第四部)
- 十二指腸下部の続きで、上へ向かう部位。空腸へ移行する。トライツ靭帯(十二指腸提筋)で上方へ固定されている部位。
役割
が、主な役割である[1]。
消化
胃から送られて来た食物をさらに消化し、空腸へ送る。
十二指腸は膵臓とも繋がっており、膵臓のファーター乳頭(大十二指腸乳頭)からトリプシンやキモトリプシンなどの消化酵素を含む膵液が分泌されてタンパク質が分解された生成物であるポリペプチド(ペプトン)をジペプチドなどに分解する。また、脂肪は胆汁による乳化作用を受けて膵液リパーゼにより十二指腸部でグリセロール(グリセリン)および脂肪酸に分解される。なお、胆汁を出す調節はファーター乳頭の開口部にある平滑筋のオッディ括約筋が担っているが、このオッディ括約筋に作用する消化管ホルモンのコレシストキニンは十二指腸から分泌される。
十二指腸から分泌されるエンテロキナーゼは、膵液中のトリプシノーゲンを活性化しトリプシンに転換する。
脚注
注釈
出典
- ^ 著者: 日本消化器内視鏡学会・消化器内視鏡技師制度審議会 『消化器内視鏡技師試験問題解説』医学図書出版(2版 平成6年8月29日) 420p
関連項目
外部リンク
- duodenumOnline Etymology(十二指腸の語源の解説)
十二指腸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 03:39 UTC 版)
十二指腸は、胃の幽門から続く小腸の最初の部分である。膵頭部を囲むようなC字型をしている。長さは約25cm程度で、指を12本横に並べた長さであることから十二指腸と呼ばれる。十二指腸は口側から、上部、下行部、水平部、上行部の4部に分けられる。上部は、幽門から上十二指腸曲までであり、腹膜により囲まれ可動性を持つ。小腸の他部位と異なり、粘膜に輪状ヒダを欠いているという特徴がある。幽門の上方にある球状の部分は球部と呼ばれる。球部前壁は十二指腸潰瘍の好発部位である。下行部は上十二指腸曲から下十二指腸曲までの、尾側へと下行している部分であり、膵管と総胆管の出口である大十二指腸乳頭(Vater乳頭)および副膵管の出口である小十二指腸乳頭が開口している。水平部は、下十二指腸曲から水平に延びる部分である。下行部から水平部までは腹膜によって背側に固定され後腹膜に存在しており、可動性がない。上行部は、水平部から続き左上方へと上行している部分であり、空腸へと連続している。
※この「十二指腸」の解説は、「腸」の解説の一部です。
「十二指腸」を含む「腸」の記事については、「腸」の概要を参照ください。
十二指腸
出典:『Wiktionary』 (2018/10/14 00:20 UTC 版)
名詞
語源
ターヘル・アナトミアが解体新書として和訳刊行された際に、杉田玄白らにより新たに作られた医学用語のひとつ。オランダ語では、twaalfvingerige darm、ラテン語ではduodenum digitorum(duodenum「12」+digitorum「指」=「12本の指の幅」)と呼ばれていた。さらにさかのぼるとギリシャ語δωδεκαδάκτυλος(δωδεκα「12」+δάκτυλος「指」)から来ており、この部分の長さが指の幅の12倍ほどであることに由来する。
参照
訳語
- チェコ語: dvanáctník 男性
- デンマーク語: tolvfingertarm
- ドイツ語: Zwölffingerdarm, Duodenum
- 英語: duodenum
- エスペラント: duodeno
- スペイン語: duodeno
- ペルシア語: دوازدهه
- フィンランド語: pohjukaissuoli
- フランス語: duodénum
- ヘブライ語: תריסריון
- クロアチア語: dvanaesnik
- ハンガリー語: patkóbél
- インドネシア語: usus dua belas jari
- イタリア語: duodeno
- 朝鮮語: 십이지장 (十二指腸,sibijijang)
- ラテン語: duodenum
- リトアニア語: dvylikapirštė žarna
- マケドニア語: дванаесетпалечно црево
- オランダ語: twaalfvingerige darm 男性, duodenum 中性
- ノルウェー語(ニーノシュク): tolvfingertarmen
- ノルウェー語: tolvfingertarmen
- ポーランド語: dwunastnica 女性
- ポルトガル語: duodeno
- ロシア語: двенадцатиперстная кишка (dv'enadcatip'érstnaja kišká) 女性
- スロヴェニア語: dvanajstnik
- スウェーデン語: tolvfingertarm
- トルコ語: duodenum
「十二指腸」の例文・使い方・用例・文例
- 十二指腸潰瘍
- 十二指腸潰瘍(かいよう).
- 胃と十二指腸に関するまたはそれの
- 十二指腸に関する、またはそれの中の
- 薬は以前はよく十二指腸潰瘍、胃炎、および胃食道逆流の場合における、ヒスタミンの胃への効果を治療していました
- 十二指腸潰瘍を治療する際に使用される抗コリン性ドラッグ(商標名Daricon)
- 十二指腸から得られる消化管の物質の塗沫標本
- 膵臓によって十二指腸に分泌される流体
- 胃と十二指腸の間の小さな環状の開口部
- 十二指腸と回腸の間の小腸の一部
- 胃を十二指腸から分離する幽門の括約筋
- 胃から十二指腸への食物の通り道を妨げる幽門括約筋の狭窄
- 十二指腸の消化性潰瘍
- 皮膚を通じて体に(通常)侵入する十二指腸虫による腸への蔓延
- 胃から幽門括約筋を通じて十二指腸に進む部分的に消化された食物の半流動体の固まり
- 十二指腸という動物の器官
- 十二指腸潰瘍という病気
- 十二指腸と回腸の間の部分
- 幽門という胃が十二指腸に続く部分
- 十二指腸のページへのリンク