副腎白質ジストロフィー
副腎白質ジストロフィー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/29 07:35 UTC 版)
副腎白質ジストロフィー(ふくじんはくしつジストロフィー、英:Adrenoleukodystrophy, ALD)は、先天的な脂質代謝異常によって脱髄が起こる白質ジストロフィーないしペルオキシソーム病の一種である。特定疾患として認められた難病の1つである。略称は、ALD。
- ^ Moser HW, et al. Follow-up of 89 asymptomatic patients with adrenoleukodystrophy treated with Lorenzo's oil. Arch Neurol. 2005;62(7):1073-80.
- 1 副腎白質ジストロフィーとは
- 2 副腎白質ジストロフィーの概要
副腎白質ジストロフィー(ALD)
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「ニューロパチー」の記事における「副腎白質ジストロフィー(ALD)」の解説
副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチーはX染色体連鎖劣性遺伝の疾患である。ATP結合カセット(ABC)トランスポーターの変異で起こるペルオキシゾーム病である。脳白質や副腎皮質に炭素数が22以上の極長鎖脂肪酸を有するコレステロールエステルの蓄積がみられる。極長鎖脂肪酸の蓄積はペルオキシソーム病で共通に認められる所見であり副腎白質ジストロフィー特異的所見ではない。 副腎白質ジストロフィーは小児期発症の中枢神経異常を伴う疾患である。5~15歳が好発年齢であり、多くは行動異常、性格変化、知能低下などの精神症状ではじまり、続いて四肢痙性対麻痺、視力低下、聴力低下、てんかん発作が出現する。四肢麻痺と知能低下は進行性で除皮質硬直、除脳硬直を示すようになる。経過中に皮膚色素沈着や低血圧、嘔吐などの副腎不全症状を示すこともある。経過は進行性であり1~3年で植物状態となる。同じ遺伝子変異でも30%の患者では副腎脊髄ニューロパチーの表現型を示す。副腎脊髄ニューロパチーでは20~40歳代に軽度から中等度の末梢性ニューロパチーと進行性の痙性対麻痺を示す。成人発症の脊髄小脳変性症や副腎不全を示す患者もまれにいる。保因者となる女性も一部では副腎脊髄ニューロパチーの臨床症状を示すことがある。病名にニューロパチーとあるがニューロパチー自体の症状は軽度である。頭部MRIでは大脳白質(高右方優位)、錐体路に高信号域が認められる。髄液検査では蛋白の軽度から中等度の上昇がある。中枢での脱髄を反映してSEPやABRの潜時延長が認められる。ACTH刺激試験で副腎皮質機能低下が認められることもある。血清の極長鎖脂肪酸の分析を行い増加がみとめられれば診断できる。ロレンツォのオイルは大規模オープン研究では有効性が示されなかった。
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