橋本脳症とは? わかりやすく解説

橋本脳症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/12 14:28 UTC 版)

橋本脳症(はしもとのうしょう、Hashimoto encephalopathy)とは甲状腺自己免疫疾患に関連した脳症である。甲状腺機能異常に伴う神経症状としては甲状腺機能低下症による意識障害認知症、運動失調などをきたす粘液水腫脳症、甲状腺機能亢進症に伴う痙攣、躁状態、妄想、不随意運動をきたす甲状腺中毒脳症などが知られている。これらは甲状腺ホルモン値の正常化によって改善するが、内分泌学的な治療によって神経症状の改善が認められずステロイドなど免疫学的な治療により改善を認める群が知られ、今日の橋本脳症といわれる疾患群が含まれる。このような症候群は英国のLord Brainらによって1966年に報告された。その後の検討では精神神経症状が存在し、抗甲状腺抗体が陽性であり、ステロイドによる反応性が良好で他疾患が除外され橋本病と診断した群では甲状腺機能はむしろ正常である場合の方が多い(約70%は正常)とされている。




「橋本脳症」の続きの解説一覧

橋本脳症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:48 UTC 版)

甲状腺自己抗体」の記事における「橋本脳症」の解説

詳細は「橋本脳症」を参照 橋本病1912年日本人橋本策氏によって見出され自己免疫性慢性甲状腺炎である。橋本病には精神・神経症状(脳症)を伴うことがあり、多く甲状腺機能低下症に伴う粘液水腫脳症である。1966年英国医師Brainらによって粘液水腫脳症とは異な橋本病に伴う自己免疫性脳症1人患者報告された。1991年英国Shawらによって同様の5症例報告されこのときはじめて橋本脳症(Hashimoto encephalopathy)という新し疾患名が提唱された。しかし橋本脳症は早期診断と治療によって軽快する疾患にもかかわらず臨床徴候多彩であるため診断は容易ではなかった。そのため、独立した疾患単位としての異議呈され時期もあった。福井大学米田らは血清中のバイオマーカープロテオミクスの手法を用いて自己抗体とその抗原検索した臨床的に橋本脳症と考えられる患者血清が脳蛋白特異的に反応するスポット二次元電気泳動(SDS-PAGE/等電点)を用いて網羅的スクリーニングし、抗原候補分子として解糖系酵素αエノラーゼ同定した。検証のため、全長αエノラーゼcDNAヒトライブラリーよりクローニングし、Hu抗原などで行われているように大腸菌大量発現させ組み換え全長αエノラーゼ蛋白調節した。しかしこれを用いた免疫グロットでは橋本脳症患者対照者で全く差がみとめられなかった。大腸菌異なり真核生物では遺伝子蛋白質翻訳された後にリン酸化メチル化などの翻訳後修飾が起こることがしられている。そこで翻訳後修飾免疫反応性に影響している可能性考慮してヒト培養細胞用いて全長αエノラーゼ調整したところ、橋本脳症患者血清対照者で差が認められた。さらに患者対照血清間での特異性高めるためαエノラーゼN末端C末端それ以外中央部分けて免疫反応性を検討した。橋本脳症患者血清N末端のみに特異的に反応し中間部とは反応せず、C末端部位は正常血清でも弱いながら反応することがわかった米田らはこの橋本脳症患者血清中にあるαエノラーゼN末端領域反応する自己抗体を抗NAE(NH2-terminal of alpha-enolase)抗体命名した。このヒト培養細胞から合成精製した組換NAE蛋白は、他のウイルス性脳炎膠原病などの炎症性疾患免疫性疾患患者血清とは反応しないともあきらかとなり橋本脳症の診断バイオマーカーとして有用であることが判明したαエノラーゼ対す自己抗体全身性エリテマトーデスベーチェット病患者でも報告されている。しかしこれらの報告用いられているのは大腸菌合成精製され全長αエノラーゼ蛋白でありNAE蛋白とは異なると米田らは主張している。また前述のようにαエノラーゼ様々な翻訳後修飾をうけることが知られている。なお抗NAE抗体以外の抗体報告いくつかある。 橋本脳症の臨床スペクトラムは抗NAE抗体陽性例で検討されている。注意するべき点としては抗NAE抗体特異度90%、感度50%の診断マーカーであり抗体陰性であっても橋本脳症は否定出来ない

※この「橋本脳症」の解説は、「甲状腺自己抗体」の解説の一部です。
「橋本脳症」を含む「甲状腺自己抗体」の記事については、「甲状腺自己抗体」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「橋本脳症」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「橋本脳症」の関連用語

橋本脳症のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



橋本脳症のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの橋本脳症 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの甲状腺自己抗体 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS