副腎皮質ステロイドとは? わかりやすく解説

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副腎皮質ステロイド

Corticosteroids, Glucocortico steroids, Steroids

【概要】 副腎合成されるステロイドホルモンには、糖質コルチコイド鉱質コルチコイド副腎アンドロゲン(男性ホルモン)がある。この中糖質コルチコイドのことを、副腎皮質ホルモン=副腎皮質ステロイド=ステロイド呼んでいる。作用には、1)抗炎症作用、2)免疫抑制作用、3)代謝作用、4)中枢神経作用、5)その他がある。人工的に化学的な修飾加えてあり、自然のステロイドより強力、長時間作用などを持たせてある。経口注射外用点眼など多様な剤型があり、臨床使用範囲が広い。また短期的長期的な副作用も非常に多彩である。 

【詳しく】 短時間作用ハイドロコルチゾン中間型標準的なプレドニソロン、そして長期作用デキサメタゾンやベタメダゾンなどが代表。エイズ/HIV感染症での使用は、薬疹などのアレルギーニューモシスチス肺炎の低肺機能免疫再構築症候群中枢神経リンパ腫脳浮腫副腎炎による副腎不全神経疾患食欲改善など。副作用では、1)胃・十二指腸潰瘍誘発、2)免疫能を抑えるためHIV感染症進行感染症誘発、3)糖尿病骨粗鬆症誘発、4)精神障害(多幸、うつ)、5)高血圧、6)満月様顔貌体型変化ニキビ多毛、7)月経異常、8)白内障など。また長期使うと自分副腎皮質萎縮する急に中止する副腎での再生産開始がまにあわず急性副腎不全発生するので、階段状に減量中止する

《参照》 サイトカイン抗体ニューモシスチス肺炎免疫再構築症候群糖尿病骨粗鬆症


副腎皮質ステロイド、コルチコステロイド

【仮名】ふくじんひしつすてろいど
原文corticosteroid

副腎皮質副腎外層)で産生されステロイドホルモン製造ラボでも生成される。副腎皮質ステロイドは身体多数様々な影響及ぼし様々な状態の治療用いられる。副腎皮質ステロイドは、ホルモン補充療法として、免疫系抑制に、そしてがんおよびその治療の副作用治療用いられる場合もある。副腎皮質ステロイドはまた、ある種リンパ腫リンパ白血病治療にも用いられる

副腎皮質ステロイド、コルチコステロイド(Corticosteroids)


ステロイドホルモン

(副腎皮質ステロイド から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/12 09:21 UTC 版)

ステロイドホルモン
薬物クラス英語版
エストラジオール。女性にも男性にも重要なエストロゲンステロイドホルモンである。
クラス識別子
別名 副腎皮質ステロイド, 性ステロイド
適応 Various
生物学的ターゲット ステロイドホルモン受容体
分類英語版 ステロイド; 非ステロイド
In Wikidata

ステロイドホルモン (steroid hormones) とは脊椎動物節足動物[1]などにホルモンとして作用するステロイドである。脊椎動物のステロイドホルモンは結合する受容体により以下のように分類することができる。

ビタミンD誘導体はホルモン様受容体に結合するホルモン系に関係するが、化学構造的にはステロイドというよりはステロールに属する。

炎症性疾患の治療のために用いられる、いわゆるステロイド内用薬、ステロイド注射薬は、ステロイドホルモンを配合した薬品ステロイド剤)のことであり、多くの場合は糖質コルチコイドおよびその改変型が用いられる。また、スポーツなどでその投与がドーピング問題として取り上げられることがある「ステロイド」とは、ステロイドホルモンと同様あるいはそれより強力なホルモン作用を持つ人工的に合成されたステロイドであり、アルドステロンやアンドロゲンgvjj9 が用いられる。ステロイド軟膏ステロイド外用薬)は皮膚炎の治療にも使用される。

また、節足動物におけるエクジソンのようなエクジステロイド(: ecdysteroid)も含む[1]

概略

天然型ステロイドホルモンは一般に生殖腺[2]副腎においてコレステロールから合成され、それらのホルモン分子の構造は脂質であり、それらは細胞膜に達すると容易に内部に通過し細胞核へ到達する。肝臓で解毒を行う酵素として知られるシトクロムP450(英語: Cytochrome P450)は、ステロイドホルモンの生合成に関与している。

ステロイドやステロールは脂質に溶解するので血液から標的細胞の 細胞膜やその中の細胞質へとかなり自由に拡散することができる。したがってステロイドホルモンもその誘導体も細胞膜を通過することができ、細胞内にある受容体と結合する。これはペプチドホルモンが極性の為に細胞膜を通過せず、細胞膜上の受容体と結合し、シグナル伝達を行うのと対照的である。

細胞質中ではステロイドは酵素が関与する、還元、ヒドロキシ化、芳香化などの、変換を受けたり、そのままであったりする。そして細胞質中でステロイドは特異的な受容体と結合する。ステロイドとステロイド受容体との結合は多くの場合は二量体を形成する。2つの受容体サブユニットが互いに結合してDNAに結合する機能を持つユニットが形成され、それは細胞核.に入ることができる。ホルモンシステムのいくつかは熱ショックタンパク質に関連した受容体(分子シャペロン)であることが知られている。ホルモンが核内に入り込むと、ステロイド-受容体基質複合体は特定のDNA配列と結合し、標的遺伝子の転写を誘導する。

ステロイドホルモンは血液中では一般に特定の輸送タンパク質と結合している。性ホルモンやコルチコイドはグロブリンと結合している[注釈 1]。さらなる構造変換や異化は肝臓や周辺組織あるいはホルモンの標的組織で行われる。また、組織に広く分布するために血液組織液中にいる時間が長い。その結果、水溶性のものに比べ持続性の長い応答に関わる傾向が見られる。

生理作用

ステロイドホルモンは、その機能から、性ホルモン、糖質コルチコイド鉱質コルチコイドなどに分類される(性ホルモンはタンパク同化ホルモンも含む)が、多義的な作用を持つことがほとんどである。すなわち、糖質コルチコイドであっても鉱質コルチコイドのような類代謝作用を微弱ながらも持っており、機能による分類は一応の目安に過ぎない。また、ステロイドホルモンはみな、生体のエネルギー利用を助ける方向に作用し、血糖値の上昇、水分の保持、気分の高揚などの作用を持つ。このため、副腎皮質の機能不全や、副腎皮質を制御する下垂体の機能不全でステロイドホルモンが不足すると、全身の倦怠感などが出現する。

いわゆる環境ホルモン(内分泌撹乱物質)は、ステロイドホルモンの受容体と結合し転写を阻害、または不適切なときに促進し生体に悪影響を及ぼすことが多い。

生合成

ヒトのステロイドホルモン生成における酵素と酵素が存在する細胞器官、基質ならびに生成物の全体図。

アルドステロン生合成経路

  1. コレステロール → 20α,22β-ジヒドロキシコレステロール EC 1.14.15.6
  2. 20α,22β-ジヒドロキシコレステロール → プレグネノロン EC 1.14.15.6
  3. プレグネノロン → プロゲステロン EC 1.1.1.145、EC 5.3.3.1
  4. プロゲステロン → 11-デオキシコルチコステロン EC 1.14.99.10
  5. 11-デオキシコルチコステロン → コルチコステロン EC 1.14.15.4
  6. コルチコステロン → 18-ヒドロキシコルチコステロン EC 1.14.15.5
  7. 18-ヒドロキシコルチコステロン → アルドステロン EC 1.14.15.5

コルチゾール・コルチゾン生合成経路

  1. プレグネノロン → 17α-ヒドロキシプレグネノロン EC 1.14.99.9
  2. 17α-ヒドロキシプレグネノロン → 17α-ヒドロキシプロゲステロン EC 1.1.1.145、EC 5.3.3.1
  3. 17α-ヒドロキシプロゲステロン → 21-デオキシコルチゾール EC 1.14.15.4
  4. 21-デオキシコルチゾール → コルチゾール EC 1.14.99.10
  5. コルチゾール ⇔ コルチゾン EC 1.1.1.146

エストロン、エストラジオール生合成経路

  1. 17α-ヒドロキシプレグネノロン → デヒドロエピアンドロステロン EC 4.1.2.30
  2. デヒドロエピアンドロステロン → アンドロスタンジオール EC 1.1.1.51
  3. デヒドロエピアンドロステロン → アンドロステンジオン EC 1.1.1.145、EC 5.3.3.1
  4. アンドロスタンジオール → テストステロン EC 1.1.1.145、EC 5.3.3.1
  5. テストステロン → 19-ヒドロキシテストステロン EC 1.14.14.1
  6. 19-ヒドロキシテストステロン → 19-オキソテストステロン EC 1.14.14.1
  7. 19-オキソテストステロン → エストラジオール EC 1.14.14.1
  8. エストラジオール ⇔ エストロン EC 1.1.1.62
  9. テストステロン ⇔ アンドロステンジオン EC 1.1.1.64
  10. アンドロステンジオン → 19-ヒドロキシアンドロステンジオン EC 1.14.14.1
  11. 19-ヒドロキシアンドロステンジオン → 19-オキソアンドロステンジオン EC 1.14.14.1
  12. 19-オキソアンドロステンジオン → エストロン EC 1.14.14.1
  13. アンドロステンジオン → アンドロスタンジオン EC 1.3.99.5
  14. アンドロスタンジオン → アンドロステロン EC 1.1.1.50
  15. アンドロステンジオン → 11β-ヒドロキシアンドロステンジオン
  16. 11β-ヒドロキシアンドロステンジオン → アドレノステロン EC 1.1.1.146

反応の経路図

合成ステロイド・合成ステロール

さまざまな合成ステロイドや合成ステロールが創り出されている。その多くはステロイド化合物であるが、似た分子形状の為にステロイド受容体に作用しうる非ステロイド分子も含まれる。受容体作用の点でいくつかの合成ステロイドは天然型ステロイドよりも弱いが、あるものは天然型以上に強いものもある。

次に合成ステロイドホルモンの一部を示す。

  • 鉱質コルチコイド: フルドロコルチゾン[4]
  • ビタミンD: ジヒドロタキステロール[5]
  • アンドロゲン: オキシアンドロン[6], デカドラボリン[7] (タンパク同化ホルモン[8]として知られている)
  • エストロゲン: ジエチルスチルベストロール[9] (略号DES)
  • プロゲスティン: ノルエチンドロン[10], 酢酸メドロキシプロゲステロン[11]

医薬品

ステロイドホルモン、あるいは合成ステロイドは医薬品としても用いられる。

副腎皮質ホルモン(ステロイド)系(グルココルチコイド系)

最も著名なステロイド剤で日常的によく使用されているのが、グルココルチコイド系のステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)およびその合成アナログである。グルココルチコイド系ステロイドはリンパ球の走化を抑え、炎症を強力に抑制するなど、広く生体環境の恒常作用を有する。部位特異的に作用する薬剤とは異なり、遺伝子に直接的に作用して効果をもたらし、幅広い様々な病態改善に使用される。気管支喘息アトピー性皮膚炎を代表とするアレルギー疾患をはじめ、膠原病多発性硬化症など自己免疫疾患に対する治療薬として利用されるほか、悪性リンパ腫に対して著効する。一方で、感染症を併発している病態での使用はその感染源である細菌等の生体浸潤を助長するおそれがあるほか、特に重大疾患においては非常に効果が高い反面で重篤なものを含む多彩な副作用も認められており、その使用には慎重を要する薬剤の一つでもある。

抗炎症薬として使用されているものには、抗炎症活性を高め、かつ本来の血糖値制御などのホルモン活性を低める目的で修飾基を改変されたものもある(プレドニゾロンデキサメサゾンなど)。

ステロイド内服薬・ステロイド外用薬・吸入ステロイド・点滴座薬点眼薬などの形態が存在する。

医師による処方薬のみならず、一般に販売される市販薬にも含まれているものがある。

筋肉増強剤

筋肉増強剤に使用されるステロイドはアナボリックステロイド(蛋白同化ステロイド)とも呼ばれる。

脚注

注釈

  1. ^ コレステロールはリポタンパク質で形成された膜の中の脂肪といっしょになり輸送される

出典

外部リンク


副腎皮質ステロイド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:06 UTC 版)

ニューモシスチス肺炎」の記事における「副腎皮質ステロイド」の解説

HIV-PCPでは副腎皮質ステロイドの有効性確立している。米国疾病管理予防センターCDC)はガイドライン作成している。それによるとPaO2≦70Torr以下またはA-aDO2≧35Torr以上のHIV-PCP患者が副腎皮質ステロイドの適応とされている。投与時期抗菌薬開始同時で、できるだけ早期遅くとも抗菌薬開始3日以内とされている。投与スケジュールはPSL80mgを分2で5日間、40mgを分2で5日間、20mgを11日間の合計21日間というものであるCochrane summaryによると副腎皮質ステロイドはHIV-PCPに対して1ヶ月死亡率40%、3ヶ月死亡率30低下させる。また人工呼吸器使用60低下させる記載している。Non-HIV-PCPでは理論的にはより副腎皮質ステロイドが効果的予想される後ろ向き検討では有効性示さないという報告が多い。

※この「副腎皮質ステロイド」の解説は、「ニューモシスチス肺炎」の解説の一部です。
「副腎皮質ステロイド」を含む「ニューモシスチス肺炎」の記事については、「ニューモシスチス肺炎」の概要を参照ください。

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