ホルモンほじゅう‐りょうほう〔‐レウハフ〕【ホルモン補充療法】
読み方:ほるもんほじゅうりょうほう
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/04 06:38 UTC 版)
成分一覧 | |
---|---|
エストロゲン | エストロゲン |
プロゲステロン | プロゲステロン |
臨床データ | |
販売名 | Clinorette, Femoston, Novofem, Tridestaなど |
投与経路 | 経口投与、皮膚への塗布(パッチ、クリーム)、膣リング[1] |
ホルモン補充療法(英語: hormone replacement therapy、HRT)、または、更年期ホルモン療法(英語: menopausal hormone therapy)は、更年期による障害の治療に用いられるホルモン療法の1つである[2]。更年期障害にはホットフラッシュ、寝汗、膣の乾燥、気分の問題、などがあげられる[3]。一般的にこのような症状の治療に推奨される[2]。がん、心臓病、骨粗鬆症などの長期間の健康障害の予防を目的とする一般的な使用は推奨されない[4]。いくつかの投与経路からの短期間での使用が推奨される[1]。
副作用には、胆嚢疾患、脳卒中、尿失禁、血栓、などがあげられるが、転帰不良や死亡の全体的なリスクは変わらない[4]。暫定的な証拠により、60歳未満の人への使用は害より効果の方が大きいことが裏付けられている[5][6]。一般的に肝臓に問題のある人や乳癌の人への使用は推奨されない[3]。ホルモン補充療法にはエストロゲンとプロゲストーゲンが使用される[7]。子宮体癌のリスクの増加を避けるためにプロゲストーゲンが使用されるが、子宮が摘出されている人には必要ない[4]。時にテストステロンなどのアンドロゲンが使用される場合もある[1]。
ホルモン補充療法は1890年代から行われている[8]。2024年の米国での費用は種類によって異なり、10米ドルから500米ドルである[9]。 2023年、エストロゲンの一種であるエストラジオールは、WHO必須医薬品モデルリストへの収載が却下されたが、収載を検討するよう勧告された[10]。2000年代には生物学的同一ホルモン補充がより「自然」であるという主張により人気を集めたが、その効果や安全性は不明であり、使用は推奨されない[11][12]。
出典
- ^ a b c “Types of hormone replacement therapy (HRT)” (英語). nhs.uk. NHS (21 July 2023). 17 January 2024時点のオリジナルよりアーカイブ。6 March 2024閲覧。
- ^ a b Crandall, CJ; Mehta, JM; Manson, JE (7 February 2023). “Management of Menopausal Symptoms: A Review.”. JAMA 329 (5): 405-420. doi:10.1001/jama.2022.24140. PMID 36749328.
- ^ a b “About hormone replacement therapy (HRT)” (英語). nhs.uk. NHS (21 July 2023). 19 October 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。6 March 2024閲覧。
- ^ a b c Gartlehner, G; Patel, SV; Reddy, S; Rains, C; Coker-Schwimmer, M; Kahwati, L (November 2022). “Hormone Therapy for the Primary Prevention of Chronic Conditions in Postmenopausal Persons: An Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force”. Evidence Synthesis. PMID 36413605 8 March 2024閲覧。.
- ^ Langer, RD; Hodis, HN; Lobo, RA; Allison, MA (February 2021). “Hormone replacement therapy – where are we now?”. Climacteric 24 (1): 3–10. doi:10.1080/13697137.2020.1851183. PMID 33403881.
- ^ “The 2022 Hormone Therapy Position Statement of The North American Menopause Society” Advisory, Panel (1 July 2022). “The 2022 hormone therapy position statement of The North American Menopause Society.”. Menopause (New York, N.Y.) 29 (7): 767-794. doi:10.1097/GME.0000000000002028. PMID 35797481.
- ^ “Treatment of Symptoms of the Menopause: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline”. J. Clin. Endocrinol. Metab. 100 (11): 3975–4011. (November 2015). doi:10.1210/jc.2015-2236. PMID 26444994 2024年2月20日閲覧。.
- ^ Stefanick, Marcia L. (December 2005). “Estrogens and progestins: background and history, trends in use, and guidelines and regimens approved by the US Food and Drug Administration”. The American Journal of Medicine 118 (12): 64–73. doi:10.1016/j.amjmed.2005.09.059.
- ^ “HRT Cost: Hormone Replacement Therapy Pricing Explained”. GoodRx. 2 March 2024時点のオリジナルよりアーカイブ。8 March 2024閲覧。
- ^ “eEML - Electronic Essential Medicines List”. list.essentialmeds.org. 7 December 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。8 March 2024閲覧。
- ^ Cobin, RH; Goodman, NF; AACE Reproductive Endocrinology Scientific, Committee. (1 July 2017). “Position Statement on Menopause – 2017 Update”. Endocrine Practice 23 (7): 869–880. doi:10.4158/EP171828.PS. PMID 28703650 1 March 2019閲覧。.
- ^ “Bioidentical hormones”. The Medical Letter on Drugs and Therapeutics 52 (1339): 43–44. (2010). PMID 20508582.
ホルモン補充療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 07:05 UTC 版)
バソプレッシンは、脳下垂体後葉の荒廃による分泌不全(中枢性尿崩症)に対して、注射剤として用いられている。また、誘導体であるデスモプレッシンは、注射・点鼻の形で用いられている。
※この「ホルモン補充療法」の解説は、「バソプレッシン」の解説の一部です。
「ホルモン補充療法」を含む「バソプレッシン」の記事については、「バソプレッシン」の概要を参照ください。
ホルモン補充療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 09:54 UTC 版)
閉経前後に体内で不足してきた女性ホルモン(エストロゲン)を、飲み薬(経口剤)や貼り薬(貼付剤)として補充するホルモン補充療法(HRT)が行われる。血管運動神経症状に著効するが、抑うつなどの精神神経症状にも効果を認める場合もある。更年期に伴って発症したうつ病に対しての効果は評価が定まっていない。欧米ではすでに30年以上の実績があり、日本でも十数年来行われてきた療法で、更年期障害を改善しクオリティ・オブ・ライフを高め日常生活を快適に過ごすために有効かつ適切な療法として評価・活用されているが、月経がある患者や、血中エストロゲンが保たれている患者は適応とならない。 HRTを継続して受けている間に、運動・食事・検診などにも注意するようになるという副次効果も推察されている。月経の有無や症状の種類に応じ、エストロゲン単剤あるいはエストロゲン・黄体ホルモン配合剤などが使用される。子宮筋腫などにより、子宮を摘出済みの患者に対しては、エストロゲン単独投与が行われる。HRTは骨粗鬆症改善効果や美肌効果、アンチエイジング効果、脂質代謝改善効果 も併せ持つが、投与方法によっては乳癌、子宮体癌、卵巣癌といった婦人科系悪性腫瘍が若干増加することがあるほか、下肢血栓症など血液凝固系疾患が増えるという欠点がある。ただし、子宮体癌については、黄体ホルモンを併用投与することで子宮体癌のリスクをゼロにすることができる。HRTの治療期間としては概ね5年間が目安とされ、それ以上の継続投与はケースバイケースである。 詳細は「ホルモン補充療法」を参照
※この「ホルモン補充療法」の解説は、「更年期障害」の解説の一部です。
「ホルモン補充療法」を含む「更年期障害」の記事については、「更年期障害」の概要を参照ください。
ホルモン補充療法(HRT)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/17 01:49 UTC 版)
「ホルモン療法」の記事における「ホルモン補充療法(HRT)」の解説
ホルモン補充療法(HRT) は、更年期の急激な女性ホルモン減少による更年期障害の緩和として行う経過措置である。また、ホルモン低下による骨粗鬆症の予防にも役立つ。閉経前・後の年数など、状況に応じて様々な投与方法がある。 ホルモン補充療法による冠動脈疾患や乳癌発症などの経済的負担が、骨折減少などの有益性を上回ると報告された。以後、米国でのホルモン補充療法は下火となり、352億ドルの医療費を軽減したと解析された。 性同一性障害の当事者に対する生物学的性別と反対の性ホルモンと投与もまた、ホルモン補充療法とみされている(詳細については性同一性障害の項目を参照)。
※この「ホルモン補充療法(HRT)」の解説は、「ホルモン療法」の解説の一部です。
「ホルモン補充療法(HRT)」を含む「ホルモン療法」の記事については、「ホルモン療法」の概要を参照ください。
- ホルモン補充療法のページへのリンク