骨格に沿って付いている筋肉のことで、その収縮によって身体を支え、動かしています。
一般的には単に筋肉という場合、この骨格筋のことを指します。自分の意志で動かすことができることから随意筋とも呼ばれ、組織上は横紋筋という種類になります。これに対し内臓筋は平滑筋であり、自由に動かせるわけではないので不随意筋であるといえます。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。老化が早く、20歳前後から急速に衰えるといわれています。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。年齢を重ねても衰えにくいといわれています。骨格筋の収縮は、筋繊維の中にあるアデノシン3リン酸(ATP)と呼ばれる化合物が分解してリン酸基がひとつはずれ、アデノシン2リン酸(ADP)になるときに発生するエネルギーを利用しています。
こっかく‐きん【骨格筋】
骨格筋
骨格筋
骨格筋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 13:08 UTC 版)
骨格筋(こっかくきん、英語: skeletal muscle)は、動物の筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉を指す。ここではヒトの骨格筋について記す。
骨格筋は組織学的には横紋筋であり、内臓筋が平滑筋であるのと対照をなしている。ただし浅頭筋などにみられる皮筋や、舌や咽頭、横隔膜の一部も骨格を支えているわけではないが、骨格筋組織である横紋筋である。
構造

(クリックして拡大)
骨格筋は、細長い筋繊維とその細胞間を埋めて束ねる結合組織からなる。
筋繊維(筋線維とも)はそれぞれが一個の細胞で、筋細胞と呼ばれる。筋細胞は多くの核を持っている多核細胞(合胞体)である。 筋繊維の集まりが筋束を構成し、筋束の集まりが骨格筋を構成する。
配置と形状
骨格筋は骨格に対して、関節をまたぐように結びついている。その結びつく関節との関係からは、大きく屈筋と伸筋に分けられる。前者はその関節の曲がる側についており、縮むことで関節が曲がるようになっている。後者はその反対側につき、縮むと関節が伸びる。筋肉は収縮時に力を出すが、自分自身で伸びることはできないので、屈筋と伸筋が互いに拮抗的に働くことで関節の曲げ伸ばしが行われる。
骨格筋の形状はさまざまであり、紡錘筋、羽状筋、半羽状筋、鋸筋などに分類される。
また骨格筋には枝分かれしているものがあり、筋頭(骨格筋の、体の中心に近い部分)の数で分類することができる。筋頭がひとつのものを単頭筋、筋頭が二つのものを二頭筋、三つのものを三頭筋、四つのものを四頭筋と呼ぶ。
速筋線維と遅筋線維
筋線維には大きく2種類あり、ミトコンドリアに富んで酸素を利用した持続的な収縮の可能な遅筋線維(Type 1、赤筋、色の原因は、酸素結合性タンパク質、ミオグロビンである)と、ミトコンドリアは比較的少なく解糖系による瞬発的な収縮の可能な速筋線維(Type 2、白筋)にわけられる。速筋線維の中でもやや持続的収縮に向いたものはType 2a、そうでないものはType 2X、Type 2bとさらに細分される。最も速い速筋繊維であるType 2bはラットなどのげっ歯類の骨格筋繊維に含まれているが、ヒトの骨格筋においてはほとんど含まれていない。
なお、遅筋線維、速筋線維はそれぞれ遅筋、速筋と呼ばれることが多い。さらには、両者の性質を備えた中間筋の存在も認められている。
神経と感覚器
骨格筋は運動神経に支配されており、運動神経から信号を受けると収縮して力を発揮する。1本の運動神経とそれに支配される筋線維をあわせて運動単位あるいは神経筋単位と呼ぶ。運動神経1本あたりの筋線維の数は、指などの精密な動きをする筋肉では少なく、大腿など大きな動きをする筋肉では多い。骨格筋線維を直接支配している神経線維は、α線維[1]と呼ばれる径の太い(神経伝達速度の速い)ものである。また、骨格筋には筋紡錘、ゴルジ腱器官と呼ばれる感覚器が存在する。
- 筋紡錘
- 骨格筋の長さの変化に反応する。筋紡錘もまた骨格筋線維からなる。これをIa群線維[2]と呼ばれる感覚神経のほか、γ運動神経と呼ばれる神経線維も支配している。γ線維は、筋紡錘を収縮させたり弛緩させたりすることで筋紡錘の感度を調節し、結果的に筋の緊張状態を調節している(γループ)。
- ゴルジ腱器官
- 筋-腱移行部に存在し、骨格筋の張力に反応する。Ib群線維[2]と呼ばれる神経につながる。腱紡錘とも呼ばれる。
脚注
関連項目
骨格筋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:23 UTC 版)
骨格筋の筋細胞では運動や筋収縮の結果、GLUT4は細胞膜に移行し、細胞膜上に存在するGLUT4の数が増加する。 運動中、身体はエネルギーとして利用するためにグルコースをATPへ変換する必要がある。グルコース-6-リン酸の濃度が低下するとヘキソキナーゼの阻害が解消され、ATPの合成を行う解糖系や他の酸化的経路の進行が可能になる。また、筋細胞内のグルコース濃度が低下するにつれ、より多くのグルコースを取り込めるようになる。この時に細胞内のグルコース濃度を高めるために利用される主要なトランスポーターがGLUT4である。 運動と同様、筋収縮もGLUT4の細胞膜への移行を誘導するが、この2つの過程では、細胞内で異なる形態で存在するGLUT4が細胞膜へと移行される。GLUT4を含む小胞にはトランスフェリン陽性のものと陰性のものがあり、それらは異なる刺激によって呼び寄せられる。トランスフェリン陽性GLUT4小胞が筋収縮の際に利用されるのに対して、インスリン刺激や運動によって活性化されるのはトランスフェリン陰性小胞である。
※この「骨格筋」の解説は、「GLUT4」の解説の一部です。
「骨格筋」を含む「GLUT4」の記事については、「GLUT4」の概要を参照ください。
「骨格筋」の例文・使い方・用例・文例
- ブタ、ネズミおよび人間の腸で生じて、骨格筋で嚢胞を形成する幼虫を生産する寄生線虫
- 骨格筋
- 骨格筋の活動に関連している電波を記録する医療機器
- 痙攣の治療に使われる骨格筋弛緩薬(商標名バキシン)
- 重度の肉離れとパーキンソン症候群を治療するのに用いられる骨格筋弛緩薬(商標名ノルフレックス)
- その収縮によって身体のある部分を伸ばす骨格筋
- 収縮によって関節を曲げる骨格筋
- 胸郭を後方や下方に引く骨格筋
- 腕を内転、回転させる骨格筋
- 肩甲骨を下に引く、または肋骨を持ち上げる骨格筋
- 身体部を下方へ引く骨格筋のいずれか
- 臀部を形成し腿部を動かす3つの大きな骨格筋
- 2つの起始を持つ骨格筋(特に前腕を曲げる筋肉)
- 収縮する時に前腕と伸ばす3つの起始を持つ骨格筋
- 胴または頭の骨格筋
- 脛骨から起こる各脚の2骨格筋のどちらか
- 顔の骨格筋
- 骨格筋にグリコーゲンが異常に蓄積する遺伝的疾患
- 脊髄神経セルと脳の神経細胞の衰えが骨格筋の萎縮と弛緩性麻痺につながる常染色体劣性疾患
- 骨格筋という動物の器官
骨格筋と同じ種類の言葉
- 骨格筋のページへのリンク