骨格筋のエネルギー発生の仕組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 09:59 UTC 版)
「有酸素運動」の記事における「骨格筋のエネルギー発生の仕組み」の解説
骨格筋の直接のエネルギー源はアデノシン三リン酸(ATP)である。ATPがアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸に分解されるときに発生するエネルギーが筋収縮に用いられる。しかしATPの貯蔵量は少なく数秒程度で使い切ってしまうため、体内ではエネルギーを使って再合成が行われている。 ATP再合成のためのエネルギー発生の仕組みにはリン酸系、解糖系、有酸素系の3種類がある。 リン酸系はCP系とも呼ばれ、クレアチンリン酸(CP)の分解によりADPからの無酸素的なATPの生成に使われ、ATPによりエネルギーを発生させるものであり、最高の運動強度で約10秒間持続可能である。例えば陸上競技の100メートル競走では、主にこれをエネルギー源とする。 解糖系は乳酸系ともよばれ、グリコーゲンがグルコース、ピルビン酸を経て乳酸に分解される過程でグルコース1分子あたり2分子のATPを生成、消費することによりエネルギーが発生する(詳細は「解糖系」を参照のこと)。最高の運動強度で持続時間は1~2分間程度である。例えば400メートル競走や中距離走は主にこれをエネルギー源とする。リン酸系でも解糖系でも酸素は消費されない(詳細は「無酸素運動」を参照のこと)。解糖系によるATP合成は、TCA回路によるATP 合成の約100 倍の速度を持つ。このため、激しい無酸素運動などでは解糖系によるATP合成が活発になる。。 これらに対して有酸素系では酸素を消費し、長時間に渡り持続できる。グリコーゲン、グルコース、乳酸あるいは脂肪からアセチルCoAが生成され、ミトコンドリア内でアセチルCoAが酸素を消費する反応を含んだ化学反応を経てグルコース1分子あたり38分子のATPが生成されてエネルギーが発生する(化学反応の詳細はクエン酸回路、電子伝達系、脂肪酸のβ酸化、呼吸を参照のこと)。 主としてこの有酸素系から多くのエネルギーを取り出す運動が有酸素運動であり、有酸素系以外(リン酸系と解糖系)からエネルギーを取り出す運動が無酸素運動である。
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