アミノ酸の一種であるクレアチンがリン酸化されたもので、肝臓で合成され、血液によって筋肉に運ばれます。クレアチンとリン酸に分解するときにエネルギーを発生します。
筋収縮の直接のエネルギー源はアデノシン3リン酸(ATP)であり、ATPが分解されてアデノシン2リン酸(ADP)になるときに放出されるエネルギーが使われますが、ATPは筋繊維の中にわずかしかないため、激しい運動ではすぐに尽きてしまいます。そこでクレアチンリン酸がすみやかに分解してADPにリン酸基を引き渡し、急速にATPが再合成されます。たとえば100m走のような激しい運動では、競技者はほとんど呼吸をせず、酸素が供給できません。筋収縮に必要なATPを供給し続けるために、まず筋肉内でクレアチンリン酸を分解してATPを短時間で供給します。しかしクレアチンリン酸機構だけでは短時間しかATPを補充できないため、運動を続けるために乳酸系機構が働き始めます。これらは酸素を必要としない(嫌気的)反応であり、この2つを合わせて無酸素性エネルギー産生機構といいます。
クレアチン‐りんさん【クレアチン×燐酸】
クレアチンりん酸
分子式: | C4H10N3O5P |
その他の名称: | ネオトン、ホスホクレアチン、クレアチンホスファート、クレアチンリン酸、Neoton、Phosphocreatine、Creatine phosphate、N-[Imino(phosphonoamino)methyl]-N-methylglycine、クレアチンりん酸、N-Phosphorocreatine、N-(Phosphonoamidino)sarcosine、N-Phosphorylcreatine、Phosphorylcreatine、Creatinephosphoric acid、N-(ホスホルアミド)サルコシン、N-ホスホロクレアチン、りん酸クレアチン、Phosphoric acid creatine、N-(Phosphoramido)sarcosine |
体系名: | N-(N-ホスホノアミジノ)-N-メチルグリシン、N-[イミノ(ホスホノアミノ)メチル]-N-メチルグリシン |
クレアチンリン酸
クレアチンリン酸
【英】:CrP
クレアチンリン酸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:21 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動クレアチンリン酸 | |
---|---|
![]() |
|
![]() |
|
2-[メチル-(N'-ホスホノカルバムイミドイル)アミノ]酢酸 |
|
別称
ホスホリルクレアチン
クレアチン-P |
|
識別情報 | |
略称 | PCr |
CAS登録番号 | 67-07-2 |
PubChem | 587 |
|
|
|
|
特性 | |
化学式 | C4H10N3O5P |
モル質量 | 211.113 g/mol |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
クレアチンリン酸(クレアチンリンさん、Phosphocreatine)はリン酸化されたクレアチンで、骨格筋にとって重要なエネルギー貯蔵物質である。ADPからの無酸素的なATPの生成に使われ、2秒から7秒程度の反応時間でクレアチンキナーゼによってリン酸基が外され、クレアチンに戻る。この反応は可逆でATP濃度の調整にも役立っている。クレアチンリン酸は、脳や筋肉など多くのエネルギーを消費する組織で重要な役割を果たしている。
クレアチンは主に腎と肝臓の共同作業で合成され、血流に乗って筋細胞や脳に運ばれ、細胞内に取り込まれたのちリン酸化されてクレアチンリン酸になる。
歴史
クレアチンリン酸はユダヤ人の生化学者であるDavid Nachmansohnによって発見された。
参考文献
Schlattner, U., Tokarska-Schlattner, M., Wallimann, T. (2005). Mitochondrial creatine kinase in human health and disease. Biochemica et Biophysica Acta .27. (Published ahead of print)
クレアチンリン酸と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- クレアチンリン酸のページへのリンク