逆差別
ぎゃく‐さべつ【逆差別】
逆差別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/13 01:17 UTC 版)
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逆差別(ぎゃくさべつ、英語:reverse discrimination)は、差別を改善し撤廃しようとする過程で、優遇されて来た集団の優位性や平等性が失なわれることで起こる差別である。
アメリカなどの国々においては、過去の差別政策の結果により生じた民族間、経済的階級間の格差を是正するために、伝統的に被差別グループ(少数民族、貧困層など)に属する人々を企業や官公庁の雇用や大学入学などで優遇するアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)が行われた。逆差別は、こうした施策を否定する文脈で用いられることが多い。
例えば、差別を受けていた(受けている)黒人を救済するため、大学進学などにおいて黒人枠を設け、本来入学できる成績の白人の入学枠を狭める施策が取られることがある。こうしたアファーマティブ・アクションに対して、白人差別(強者差別)の一種であって他の差別と同様に認めてはならないという主張がなされる。
各国の事例
アメリカ
アフリカ系アメリカ人の立場からアメリカにおける逆差別問題を論じたシェルビー・スティールは『黒い憂鬱』の中で次のように述べている[1]。
「もっともありふれた捏造行為は、人種差別を口実にした被害者的立場の捏造である。これはとくに危険な捏造行為である。なぜなら、この捏造行為は、歴史的な事実に根ざしている。たしかに過去において黒人はひどい虐待を受けたことは誰も否定できないし、以前より巧妙な差別が存在することも誰も否定できない。だが、実際の人種差別の産物であるかどうかを検討しないで、黒人共通の問題である貧困を、すべて人種差別に起因すると考える傾向はどうだろうか。人種差別による被害者であるという言葉自体が、主観的で曖昧な言葉である。自己を被害者と定義すれば、困難な事態に対する責任から放免され、罪悪感を感じないですむ。社会不正があれば、我々が無垢であることが確認されるからである。そして、黒人は社会不正の名によって被害者的立場を捏造し、自己の責任の重荷を他人に転嫁しているのではないだろうか」 — シェルビー・スティール 、 『黒い憂鬱』
ソビエト
ソビエト連邦(現ロシア)では少数民族に対する教育の機会が十分保障されていなかった段階で民族比率による雇用を進めたため、専門職に少数民族が配置される場合があり、能力と地位のギャップが生じた。いずれの場合も、基本的人権にかかわる格差が減少することによって、同時に逆差別となる要因自体が減少すると考えられる。中華人民共和国でも同じように、「一人っ子政策」において漢族やチワン族以外の少数民族は優遇される一方、教育面・習慣面(大学入試における少数民族の加点、ハラール認証の一般化など)において政府は少数民族を擁護するような政策を取っているため、逆差別だと批判されることもある。
日本
全国社会保険診療報酬支払基金労働組合(全基労)に属する職員のみが昇格人事において優遇されていたことに対し、社会保険診療報酬支払基金労働組合(基金労組)に属する職員が、これにより生じた賃金格差の是正のため経験年数に基づく「選考抜き一律昇格」を要求した。これはしかし全基労に属する職員には適用されなかったため、経験年数を満たしていながら全基労に属しているが故にこの是正の恩恵を受けられず昇格できない職員が「逆差別」を被るとされた[2]。
関連項目
脚注
- ^ シェルビー・スティール 著、李隆 訳 『黒い憂鬱 : 90年代アメリカの新しい人種関係』五月書房、1994年7月、122-123頁。ISBN 4-7727-0074-9。
- ^ 1990年7月4日、東京地裁、社会保険診療報酬支払基金男女昇格差別事件
逆差別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:35 UTC 版)
詳細は「逆差別」を参照 差別を受けているとする人々や団体に対して雇用や教育に関する優遇政策(ポジティブ・アクションなど)がとられることがあるが、これが逆差別であると批判されることがある。
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