組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律とは? わかりやすく解説

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組織的犯罪処罰法

読み方:そしきてきはんざいしょばつほう
別名:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律、組織犯罪処罰法

組織的に行われる犯罪対す刑罰定め法律組織犯罪対策三法組対法)の一つとして改正刑事訴訟法および通信傍受法とともに1999年制定された。制定の背景には、当時暴力団による抗争企業支配などが社会問題となっていたことや、1995年オウム真理教により地下鉄サリン事件引き起こされたことなどがあるとされる

組織的犯罪処罰法では、組織的に行われる殺人詐欺などに対して刑法などで定められる通常の刑罰よりも重い刑罰科すことが定められている。また、組織的犯罪得られ権益没収追徴などについても定められている。組織的犯罪処罰法は、制定以後、主に暴力団反社会的行為に対して適用されてきたが、組織的な悪徳商法に対して適用された例もあった。

2013年12月現在、政府は、組織的犯罪処罰法の処罰対象実行行為必須としないように改正すること、すなわち「共謀罪」の新設検討している。その理由としては、現行の法律組織的犯罪対す計画段階での強制捜査処罰を行うことはできないこと国連越境組織犯罪防止条約批准国共謀罪定め法律制定求められていること、2020年東京オリンピック向けてテロ対策必要性高まっていることなどが挙げられている。共謀罪新設に伴い国家による監視強化され国民の権利侵害されるではないかという意見もあり、日本弁護士連合会などは改正案反対の立場表明している。

関連サイト
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 - e-gov
日弁連は共謀罪に反対します - 日本弁護士連合会

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/20 17:31 UTC 版)

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

日本の法令
通称・略称 組織的犯罪処罰法、組織犯罪処罰法、テロ等準備罪法、共謀罪法(平成29年6月21日法律第67号)
法令番号 平成11年法律第136号
提出区分 閣法
種類 刑法
効力 現行法
成立 1999年8月12日
公布 1999年8月18日
施行 2000年2月1日
所管 法務省刑事局
国家公安委員会
警察庁刑事局
主な内容 組織犯罪や犯罪収益に関する刑法の特別法
関連法令 暴力団対策法破壊活動防止法
条文リンク 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 - e-Gov法令検索
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組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(そしきてきなはんざいのしょばつおよびはんざいしゅうえきのきせいとうにかんするほうりつ、平成11年8月18日法律第136号)は、暴力団テロ組織などの反社会的団体や、会社政治団体宗教団体などに擬装した団体による組織的な犯罪に対する刑罰の加重と、犯罪収益の資金洗浄(マネー・ローンダリング)行為の処罰、犯罪収益の没収追徴などに関する日本法律で、刑法に対する特別法である。略称は組織的犯罪処罰法[1][2]組織犯罪処罰法[3][4]組処法[5][6]など。

暴力団による薬物・銃器犯罪や、地下鉄サリン事件など、組織的犯罪の規模拡大・国際化が大きな治安悪化要因となっていることから、これに対処するため本法は制定された。

構成

定義(2条)

団体
共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの
犯罪収益
財産上の不正な利益を得る目的で犯した犯罪行為により取得された財産、資金等提供罪により提供された資金、外国公務員等不正利益供与罪により供与された財産、公衆等脅迫目的資金提供罪に係る資金
犯罪収益に由来する財産
犯罪収益の果実として得た財産、犯罪収益の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他犯罪収益の保有又は処分に基づき得た財産
犯罪収益等
犯罪収益、犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産
薬物犯罪収益
薬物犯罪の犯罪行為により得た財産若しくは当該犯罪行為の報酬として得た財産又は前項第七号に掲げる罪に係る資金
薬物犯罪収益に由来する財産
薬物犯罪収益の果実として得た財産、薬物犯罪収益の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得た財産
薬物犯罪収益等
薬物犯罪収益、薬物犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産

組織的犯罪の加重処罰(3条以下)等

団体の活動として、下記の罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、通常の刑罰よりも重い刑罰が科される。また、団体に不正権益を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で、下記の罪を犯した者も、同様に加重処罰される。

「団体の活動」とは、団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。また、「不正権益」とは、団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪その他の不正な行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきものをいう。

  1. 刑法96条(封印等破棄)の罪 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科(通常は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
  2. 刑法96条2項(強制執行妨害目的財産損壊等)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科(同、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
  3. 刑法96条3項(強制執行行為妨害等)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科(同、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
  4. 刑法96条4項(強制執行関係売却妨害)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科(同、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
  5. 刑法186条1項(常習賭博)の罪 5年以下の懲役(同、3年以下の懲役。)
  6. 刑法186条2項(賭博場開張等図利)の罪 3月以上7年以下の懲役(同、3月以上5年以下の懲役。)
  7. 刑法199条(殺人)の罪 死刑又は無期若しくは6年以上の懲役(同、 死刑又は無期若しくは5年以上の懲役。)
  8. 刑法220条(逮捕及び監禁)の罪 3月以上7年以下の懲役(同、3月以上5年以下の懲役。)
  9. 刑法223条1項又は2項(強要)の罪 5年以下の懲役(同、3年以下の懲役。)
  10. 刑法225条の2(身の代金目的略取等)の罪 無期又は5年以上の懲役(同、無期又は3年以上の懲役)
  11. 刑法233条(信用毀損及び業務妨害)の罪 6年以下の懲役又は50万円以下の罰金(同、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。)
  12. 刑法234条(威力業務妨害)の罪 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(同、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。)
  13. 刑法246条(詐欺)の罪 1年以上の有期懲役(同、10年以下の懲役。)
  14. 刑法249条(恐喝)の罪 1年以上の有期懲役(同、10年以下の懲役。)
  15. 刑法260条前段(建造物等損壊)の罪 7年以下の懲役(同、5年以下の懲役。)

なお、組織的な身の代金目的略取等における解放による刑の減軽、組織的な殺人等の予備の自首には刑の必要的減免がある。

犯罪収益等の没収・追徴(13条以下)

犯罪収益等の没収・追徴について、その範囲を拡大し、手続を整備した。

法13条1項6号の違憲性[7]

13条1号6号は、10条に違反する行為、すなわち犯罪収益の取得若しくは処分につき事実を仮装し、又は犯罪収益等を隠匿した行為から得た、生じた又はそのような行為の報酬として得た財産は没収することができる旨を定めている。

被告人は、商標法違反の行為によって得た財産を、その他の自己の財産と共に(商標法違反行為に得た財産とそうでない財産を混和させて)自ら管理する他人名義の銀行口座に預け入れ、もって犯罪収益等の取得につき事実を仮装したため、10条違反で起訴され、被告人がそのとき銀行口座に預け入れた財産全額が没収された。

被告人は、犯罪収益及び犯罪収益に由来する財産の額又は数量に相当する部分を超えて没収することは憲法29条財産権)を侵害するものだとして裁判で争った。

被告人は上告審まで争ったが、最高裁判所第三小法廷(平木正洋裁判長)は令和6年(2024年)12月17日に、以下のように判断した上で上告を棄却する判決を下した。

『取得等につき事実を仮装する行為や隠匿行為の客体となった財産全体について法10条の罪が成立するとした上で、同条の犯罪行為に関わる財産を広く任意的没収の対象とすることは、同条の犯罪行為を予防・禁圧するとともに、将来の犯罪活動に再投資されたり、合法的な経済活動に悪影響を及ぼしたりするなどのおそれのある財産の的確な剥奪を可能とするという、前記法の目的を達成するために必要かつ合理的な措置といえる。したがって、法10条の犯罪行為に関し、これにより生じた財産等を没収することができるとする法31条1項6号の規定は、憲法29条に違反しない。

参考文献

関連項目

脚注

出典

  1. ^ 組織的犯罪処罰法における没収等について[PDF: 174KB]
  2. ^ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(e-Gov法令検索)では附則中に「以下「組織的犯罪処罰法」という。」という文言がある事から、公的・行政的には正式な略称は組織的犯罪処罰法になるものと思われる。
  3. ^ 組織犯罪処罰法って何?違反となる行為と適用される刑罰 刑事事件弁護士ナビ
  4. ^ デジタル大辞泉 小学館
  5. ^ 犯罪収益対策の強化【主担当課:三重県警察本部刑事部組織犯罪対策課】
  6. ^ 第11 組織犯罪対策の強化 - 北海道警察
  7. ^ 最高裁判所令和6年12月17日 裁判所Webサイト 参照

外部リンク


組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 23:44 UTC 版)

共謀罪」の記事における「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律136号)」の解説

(定義) 第二条 この法律において「団体」とは、共同目的有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思実現する行為全部又は一部組織指揮命令に基づき、あらかじめ定められ任務分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約 第二条 用語この条約の適用上、 (a)組織的な犯罪集団」とは、三人上のから成る組織され集団であって一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。 (b)「重大な犯罪」とは、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪構成する行為をいう。 (c)組織され集団」とは、犯罪即時実行のために偶然に形成されたものではない集団をいい、その構成員について正式に定められ役割その構成員の継続性又は発達した構造有しなくてもよい。 第三条 適用範囲1 この条約は、別段定めがある場合を除くほか、次の犯罪であって性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団関与するものの防止捜査及び訴追について適用する(a) 第五条第六条第八条及び第二十三条規定に従って定められる犯罪 (b) 前条定義する重大な犯罪 2 1規定適用上、次の場合には、犯罪は、性質上国際的である。 (a) 二以上の国において行われる場合 (b) 一の国において行われるのであるが、その準備計画指示又は統制実質的な部分他の国において行われる場合 (c) 一の国において行われるのであるが、二以上の国において犯罪活動を行う組織的な犯罪集団関与する場合 (d) 一の国において行われるのであるが、他の国実質的な影響を及ぼす場合 第五条 組織的な犯罪集団への参加犯罪化1 締約国は、故意行われた次の行為犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。 (a) 次の一方又は双方行為犯罪行為未遂又は既遂係る犯罪とは別個の犯罪とする。) (i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって国内法求められるときは、その合意参加者一人による当該合意内容推進するための行為伴い又は組織的な犯罪集団関与するもの (ii組織的な犯罪集団目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図認識しながら、次の活動積極的に参加する個人行為a 組織的な犯罪集団犯罪活動 b 組織的な犯罪集団その他の活動当該個人が、自己の参加当該犯罪集団目的達成寄与することを知っているときに限る。) (b) 組織的な犯罪集団関与する重大な犯罪実行組織し指示し幇助し、教唆若しくは援助し又はこれについて相談すること。 2 1規定する認識故意目的又は合意は、客観的な事実状況により推認することができる。 3 1(a)(i)の規定に従って定められる犯罪関し自国国内法上組織的な犯罪集団関与求められる締約国は、その国内法組織的な犯罪集団関与するすべての重大な犯罪適用対象とすることを確保する当該締約国及び1(a)(i)の規定に従って定められる犯罪関し自国国内法上合意の内容推進するための行為求められる締約国は、この条約署名又は批准書受諾書、承認若しくは加入書の寄託の際に、国際連合事務総長その旨通報する

※この「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)」の解説は、「共謀罪」の解説の一部です。
「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)」を含む「共謀罪」の記事については、「共謀罪」の概要を参照ください。

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